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気候変動緩和に向けた地域的機運の醸成を目指すサウジ主催のMENA気候ウィーク

MENA気候ウィークでは、パリ協定で設定された目標の達成のためにサウジアラビアが導入した数多くの気候変動の取り組みが紹介される。サウジアラビアは、自国と中東におけるグリーン・イニシアティブを開始し、持続可能性プロジェクトの最前線に立っている。(サウジ通信社)
MENA気候ウィークでは、パリ協定で設定された目標の達成のためにサウジアラビアが導入した数多くの気候変動の取り組みが紹介される。サウジアラビアは、自国と中東におけるグリーン・イニシアティブを開始し、持続可能性プロジェクトの最前線に立っている。(サウジ通信社)
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08 Oct 2023 05:10:17 GMT9
08 Oct 2023 05:10:17 GMT9
  • リヤドで開催されるMENA気候ウィークは、サウジアラビアの持続可能性に向けての多数の取り組みを国内外にアピールする機会となる
  • サウジアラビアは、気候変動問題への対応のために、様々な組織や国々とのパートナーシップを模索するものと期待されている

ニルマル・ナラヤナン

リヤド:サウジアラビアは中東・北アフリカ(MENA)気候ウィーク(10月8日 – 12日)を主催する。この会議には、気候分野の専門家や政策立案者らが集まり、サウジアラビアにとっては同国のエネルギー転換の取り組みを内外にアピールする機会となる。

今年11月の国連機構変動会議(COP28)先立ってドバイで開催される最重要イベントの1つとして各所から注目を集めているMENA気候ウィークでは、政府当局者、活動家、科学者が地球温暖化の影響の緩和方法について議論をする。

「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」の協力によりリヤドが主催するこのイベントは、また、サウジアラビアがサウジ・グリーン・イニシアチブ(SGI)や再生可能エネルギーの導入といったプログラムにより、MENA地域のグリーン移行をいかに主導しているかを内外に示す機会ともなる。

UNFCCCは、気候変動の脅威への国際的対応を支援する任務を負っている。MENA気候ウィークは、、国連開発計画や国連環境計画、世界銀行と協力して開催される。

MENA地域に拠点を置くパートナーには、国際再生可能エネルギー機関、イスラム開発銀行、アラブ連盟事務局、国連西アジア経済社会委員会が含まれる。

サウジアラビアのエネルギー省は、MENA気候ウィークはサウジアラビアを気候変動に関連した議論の最戦線に位置付け、COP28の議論の流れを作り、排出目標に関する今後の交渉の成立に貢献すると最近の声明で述べた。

MENA気候ウィークは、数々の文化的アクティビティと共に、地域的および国際的な催し物や会議、展示会などの行われる充実した内容のイベントとなる。

サウジアラビアは、MENA気候ウィークの期間中に、主要な議論を通して、自国の循環型炭素経済の取り組みについての認知の国際的拡大を図り、また、気候変動問題の緩和に向けて様々な組織団体や国々との将来的なパートナーシップのための端緒を見出すことを企図している。

循環型炭素経済とは、「Reduce(削減)」「Reuse(再利用)」「Recycle(リサイクル)」「Remove(除去)」という4つの「R」を含む、排出量の管理と削減のための 閉ループシステムである。サウジアラビア政府とアラムコは、二酸化炭素排出量を削減するための方策としてこの枠組みを導入している。

「私たちの世界は、気候変動問題に対処するために、早急な変革を必要としています」と、サウジアラビアのエネルギー省は声明で述べた。「サウジアラビアとMENA地域はパリ協定において合意に至った大目標の達成のために、、あらゆる取り組みを模索することに力を尽くします」

世界経済フォーラムの「効果的なエネルギー転換の促進2023年報告書」は、サウジアラビアが、サウジ・グリーン・イニシアティブ(SGI)と独自の地域自主炭素市場の構築により、2021年以来、エネルギー転換指数で24ランク上昇したことを明らかにした。(提供画像)

パリ協定は、2015年に採択された気候変動に関する国際条約で、世界の気温上昇を産業革命以前の水準から摂氏1.5度以内の上昇に抑制するよう署名国に義務付けている。

「気候変動対策では、社会のどの部分も置き去りにはできません。解決策を見出すにあたっては、産業を含む社会のあらゆる部分が役割を担う包括的なアプローチが必要なのです」と、サウジアラビアのエネルギー省は付け加えた。

今週は、また、サウジアラビアの温室効果ガス排出削減の進捗状況や、同国が2060年までにネットゼロ目標を達成するために行っている多様な取り組みも紹介する。

「MENAは、世界で最も急速に経済が成長している地域の1つです」と、サウジアラビアのエネルギー省は述べた。「革新的なソリューションを通して、気候変動という課題に対処しながら、我が国の開発目標を達成することは可能なのです」

「MENAの主要なエネルギー輸出国として、また、研究開発への主要な投資国として、サウジアラビア王国とその周辺地域は、環境への影響の削減を為し得る道筋を提供できます」

サウジアラビアは、自国と中東におけるグリーン・イニシアティブを開始し、持続可能性プロジェクトの最前線に立っている。(AFP / 資料写真)

実際、サウジアラビアのエネルギー省は、気候変動対策が経済発展や世界のエネルギー安全保障を犠牲にするものであってはならないと述べている。

MENA 気候ウィークでは、変革、包摂、解決という主柱となる3つのテーマに焦点が置かれる。

第1の主柱である変革は、気候変動のリスクを軽減するために、社会生活や労働のあり方、経済の機能を変質させる必要性の認識を促す。湾岸諸国は、既に、変化の必要性を理解しており、一層環境に配慮した未来に向けた取り組みを進めている。

包摂とは、公共や民間、市民社会を問わず、この変革において誰一人取り残さないという協力的なアプローチを促進していくことを意味する。

国内の水需要への対応を図るイラク政府による無認可の池沼の取締り後のヒッラ(バグダッドの南約 100 km )内のアルブ・ムスタファ村にある干し魚生産場の様子。2023年7月6日。(AFP)

MENA気候ウィークの初日には、開会式に続いて、「公正で公平なエネルギー転換にむけた包括性と循環性の推進」をテーマとした閣僚らによるパネルディスカッションが行われる。

また、同じく初日には、閣僚らによる第2、第3のパネスディスカッションが行われる。それぞれのテーマは、「パリ協定の目標に向けた包括的な資金調達と経済の多様化」と「1.5度世界への適応に関連する国際的目標の達成に向けて」である。

MENA気候ウィークの第2日目に行われるイベントの中で特に重要なものは、COP28への期待についてアラブ連盟諸国が話し合う円卓会議である。

サウジアラビアは、自国と中東におけるグリーン・イニシアティブを開始し、持続可能性プロジェクトの最前線に立っている。SGIは、2030年までに炭素排出量を年間2億7,800万トン削減することを目標としている。

SGIの一環として、サウジアラビアは、また、今後数十年間で国内全域に100億本の植樹を行い、2030年までには陸域と海域の30%を保護地域に指定する予定でもある。

サウジアラビアの「レッド・シー・グローバル」は、2030年までに5,000万本のマングローブを植えることを目標とした苗床プロジェクトを実施する。(レッド・シー・グローバル提供画像)

他方、より広範な地域を対象としている中東グリーンイニシアチブでは、その対象とする全域で6億7,000万トンの二酸化炭素相当量を削減し、500億本の植樹を行うことを主目標としている。

サウジアラビアの自治体や農村、住宅省が開始した「グリーン・サウジ・シティーズ」構想は、首都リヤド全域の公共の公園や庭園に最大3,200万本の植樹を行うことを目標としている。

この計画は、3段階にわたって実施される、リヤド市内の437.5平方km相当の面積を対象とする緑化プロジェクトである。このプロジェクトは2031年までに完了する予定となっている。

2030年までにサウジアラビアの首都の10分の1近くが緑化される計画となっている。(資料写真)

2030年までにリヤドに750万本の植樹を行い緑地の割合を9%まで増加させる「グリーン・リヤド」プロジェクトにより、サウジアラビアの首都にも大規模な環境変化が訪れつつある。

このプロジェクトの中心的要素として、世界最大の都市公園造成事業であるキング・サルマン公園の建設工事が進められている。計画中の公園の全面積16.6平方kmの内、11平方kmが100万本以上の樹木から成る緑地で覆われる予定となっている。

第3回SGIフォーラムは、COP28期間中の12月4日に開催され、影響力を持った著名人やオピニオン・リーダー、気候専門家らが参集して、気候変動問題に効果的に取り組むための見識や提案を共有する。

世界経済フォーラムの「効果的なエネルギー転換の促進2023年報告書」は、7月初旬、サウジアラビアが、SGIと独自の地域自主炭素市場の構築により、2021年以来、エネルギー転換指数で24ランク上昇したことを明らかにした。

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