





リヤド:サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は、11日に開催されたアラブ・イスラム首脳会議の冒頭演説で、「パレスチナの人々に対して行われている犯罪」の責任はイスラエルにあるとしたうえで、ガザ地区における即時停戦を改めて呼びかけた。
皇太子殿下は、イスラエルによるガザ地区への継続的な攻撃と住民の強制移住をサウジアラビアは「明白に」拒否すると強調した。
また、国際人道法の適用における「二重基準」を指摘するとともに、パレスチナ民間人への侵害行為に対する国際社会の沈黙を非難した。
皇太子殿下は次のように述べた。「我々は人道的大惨事に直面している。これは、国連安全保障理事会と国際社会がイスラエルによる侵害行為を止められなかったことを証明するものだ。この問題は二重基準を示している」
また、ガザ地区における軍事攻撃を即時停止するよう、また人質を解放し命を救うよう改めて求めた。
続けて、アラブ・イスラム諸国の協調的・集団的努力により、包囲を解除しガザ地区に人道救援物資を搬入するための効果的な行動を取るよう呼びかけた。
「ガザ地区での攻撃開始以来、サウジアラビアは絶え間ない努力を行っており、戦争終結に向けた協議を続けている」
さらに、地域の安定を実現する唯一の解決策は占領と入植地建設を終わらせることだと強調した。
「1967年の境界線に基づき東エルサレムを首都とするパレスチナ国家が樹立されなければならない」
#WATCH: #SaudiArabia's Crown Prince Mohamed bin Salman says #Israel bears responsibility for ‘crimes’ against #Palestinians in #Gaza, calls for immediate ceasefire https://t.co/X9ejS1HwGb #قمة_التضامن_مع_فلسطين #قمة_عربية_إسلامية_بالسعودية pic.twitter.com/6tDP0ETS8E
— Arab News (@arabnews) November 11, 2023
サウジアラビアは、パレスチナのガザ地区で起こっている異常な状況を受け、努力を結集して統一的・集団的立場を発表する必要性を各国が感じる中でこの緊急首脳会議を開催した。
この首脳会議にはアラブ諸国やアジア諸国の首脳らが集まり、ガザ地区の戦争の即時終結を求めた。
イランのイブラヒム・ライシ大統領のほか、パレスチナのマフムード・アッバース大統領、エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領、イラクのアブドルラティフ・ラシド大統領を含むアラブ諸国の首脳らが、11日に開かれた首脳会議に出席した。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領やリビアのムハンマド・アル・メンフィ大統領評議会議長も出席した。
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領やキルギスのサディル・ジャパロフ大統領を含むアジア諸国の首脳らの姿もあった。
この首脳会議で演説したパレスチナのアッバース大統領は、パレスチナ人は「類を見ない大量虐殺戦争」に直面しているとしたうえで、米国に対し、イスラエルに圧力をかけガザ地区における攻撃をやめさせるよう呼びかけた。
また、イスラエルによる攻撃に直面するパレスチナ人の国際的保護を求めた。
さらに国連安保理に対し、パレスチナ人に対する攻撃をやめさせ、ガザ地区への支援物資搬入を可能にすることで責任を果たすよう促した。
「ガザ地区における軍事的・治安的解決策を我々は受け入れない」
行動の時
イランのライシ大統領はイスラム諸国に対し、イスラエルに石油や商品に関する制裁を科し、同国軍を「テロ組織」に指定するよう求めた。
また、イスラエルはガザ地区において国際的に禁止されている武器を使用しており、国際人道法に違反していると非難した。
続けて、米国はイスラエルによるガザ地区への犯罪の主要なパートナーであり、攻撃を無条件に支持して日々武器を供与していると述べた。
さらに、ガザ地区における戦争を停止するよう、イスラム諸国が協力してイスラエルと米国に圧力をかけることを求めた。
「現在の最優先事項はガザ地区における停戦だ」とライシ大統領は述べた。「ガザ地区からイスラエル軍を排除するために努力しなければならない」
同大統領はこれに先立ち、リヤドに向かっていた際に、この紛争に対し言葉ではなく行動を起こすべき時が来たと語っていた。
「現在、イスラム諸国の結束が非常に重要だ」と同大統領は述べた。
この首脳会議で演説したカタールのタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長は、ガザ地区に拘束されている人質の解放に向けた同国の交渉努力を強調したうえで、国際社会は責任を果していないと述べた。
同首長は次のように問うた。「国際社会はいつまで、イスラエルが国際法を超越しているかのように扱うのか」
「21世紀にもなって病院が公然と爆撃され、無差別爆撃によって家族が市民登録から抹消されるなどとは、誰が想像しただろうか」
さらに、ガザ地区に支援物資を搬入するために人道回廊を恒常的に解放するよう求めた。
ヨルダンのアブドッラー2世国王は演説の中で、中東における真剣な和平プロセスの開始を求めた。
また、ガザ地区の戦争は70年以上前に始まった占領の延長線上にあるとしたうえで、二国家解決こそがパレスチナに平和をもたらす唯一の方法だと強調した。
「イスラエルがガザ地区で行っている戦争は憎むべきものであり、止めなければならない」と同国王は述べた。さらに、イスラエルが同地区への食料や医療物資の搬入を拒否していることは「戦争犯罪」にあたると指摘した。
一方、エジプトのエルシーシ大統領は、イスラエルによるパレスチナ人の強制移住を非難したうえで、同国によるガザ住民への侵害行為に関する国際的調査を実施するよう呼びかけた。
また、ガザ地区における持続的停戦を「制限や条件なしに」即時行うよう求めた。
「ガザ住民に対する集団懲罰政策(…)は容認できず、自衛などのいかなる主張によっても正当化できない。即時やめさせなければならない」
さらに、ガザ地区の戦争を終わらせることができなければ地域全体への拡大につながる恐れがあると警告した。
「国際社会は圧力をかけて流血を止めるとともに、紛争の根本原因に対処しなければならない」
サウジアラビアは占領下のパレスチナ自治区における流血を終わらせるよう一貫して求めてきた。
同国は11日と12日にイスラム協力機構(OIC)首脳会議およびアラブ連盟首脳会議という2つの臨時首脳会議を開催する予定となっていた。サウジ外務省によると、ガザ情勢に鑑み、2つの別々の会議に代わるものとしてアラブ・イスラム共同首脳会議が開催されることになった。
同省はこの共同会議について、「パレスチナのガザ地区で起こっている異常な状況を受け、努力を結集して統一的・集団的立場を発表する必要性を各国が感じる中で開催される」と述べた。
今週、イスラエル軍はガザ地区北部のガザ市へと進軍し、その結果として大量の民間人が、イスラエルがより安全だと約束した南部に殺到した。
ガザ保健省によると、この戦争が始まって以降の死者は1万1000人、負傷者は2万7000人に達した。10月7日にハマス戦闘員らがガザ地区近郊に住むイスラエル人1200人を殺害して以降、イスラエルは同地区に対し大規模な軍事作戦を実施している。
世界保健機関(WHO)は10日、ガザ地区の医療サービスは限界にあると述べた。病院では極めて重要な医療物資がほぼ枯渇し、水や電力の不足で業務が妨げられている。医師は麻酔なしで患者の治療を行っている。
イスラエルは作戦の一環として封鎖を実施しており、ガザ地区に搬入される人道支援物資の数を制限している。