• モノのインターネット」デバイスとAIの統合により、リアルタイム監視とスマートな脅威検知が可能になり、セキュリティが向上する
• テック企業Smart Citizensの事業拡大は王国のビジョン2030に沿ったもので、革新的なテクノロジーによって生活水準を向上させる。

ガディ・ジュダ

リヤド：サウジアラビアは、データ主導、AIを駆使した経済のリーダーとしての地位を確立しようとする動きの一環として、住宅に革命をもたらす人工知能の変革を活用しようとしている。

AIと機械学習技術は、住宅やアパートをより賢く、効率的に、住みやすくしている。また、安全性も向上している。

セキュリティビデオのリアルタイム監視、脅威の特定、居住者への自動アラート、その他のスマートホームデバイスとの統合は、住宅所有者が自分の資産を守る方法を完全に変えるだろう。

ハイテク企業のスマート・シチズンズ（Smart Citizens）のような業界大手は、他の地域での成功を受けてサウジアラビアに進出している。

UAEを拠点とする同社は、特にスマートホームの自動化において革新的で最先端のソリューションを提供しているという。

スマート・シチズンズのCEOであるアシュラフ・ヌーリ氏はアラブニュースに、「Smart Citizensは、AIがサウジアラビアのホームセキュリティと安全性において最も魅力的な進歩を促進すると信じている」と語った。

同氏は、データを接続・交換できるデバイスのネットワーク（「モノのインターネット」として知られる）とAIの統合により、リアルタイムの監視とスマートな脅威検出が可能になり、ホームセキュリティが強化されると説明した。

スマート・シチズンズの拡大戦略は、「サウジアラビアのビジョン2030に沿ったもので、生活水準が現代的な概念に合致し、技術革新が促進されることを望んでいる」とヌーリ氏は述べた。

会計事務所PwCによると、AIは2030年までにサウジアラビア経済に1350億ドル以上貢献し、王国の国内総生産の12.4％を占めると予測されている。

サウジ・データ・AI庁（Saudi Data and Artificial Intelligence Authority）は2019年に設立され、王国のAI能力を推進し、データ駆動型経済における世界的リーダーになることを支援している。

サウジアラビアはAIへの投資も活発化させており、このテクノロジーへの世界の主要投資国のひとつとしての地位を固めようとしている。

家庭用AI技術の導入は、スマートシティ開発のリーダーになるという王国の使命に合致している。その重要な例が、先進技術とスマートホーム・ソリューションを統合し、コネクティビティと持続可能性を促進する未来型メガシティ・プロジェクト、NEOMだ。

ヌーリ氏は、AIが中東の住宅セキュリティをどのように再構築しているかについて詳しく説明し、同社は包括的なAI対応セキュリティ・エコシステムを開発したと述べた。

このシステムは、「新世代のスマートホームセキュリティ 」を提供するものだと彼は述べた。

これには、AIによる侵入検知、音声によるセキュリティ制御、予知保全などが含まれる。

ヌーリ氏は 「我々のAI技術は次のような領域で活用されています： ビデオ監視と物体検出のためのコンピュータ・ビジョン、音声対話と分析のための自然言語処理、メンテナンスと異常検出の予測分析を推進するためのニューラルネットワークです」と語った。

スマート・シチズンズがサウジアラビア市場に参入する準備として、ヌーリ氏は、同社が提供する新技術について消費者に教えることを約束すると述べた。

「スマート・シチズンズは、サウジアラビアにおける先進技術、特にホーム・セキュリティと安全性の導入のため、消費者教育において統合的なアプローチを採用しています」

同社の戦略には、一般向け啓発キャンペーン、ワークショップやセミナー、教育機関との提携、関与と採用を促進するインセンティブ・プログラムなどが含まれると同氏は付け加えた。

これらのイニシアチブは、デジタルトランスフォーメーションとスマートシティ開発のためのビジョン2030の野心に沿ったものだとヌーリ氏は述べた。

また、「このようなプログラムを通じて、ホームセキュリティと安全性の革新に対応できる技術社会を促進することを望んでいる」と付け加えた。

ヌーリ氏は、同社が「AIを活用した行動分析システムを導入し、家庭の日常的な行動を潜在的な脅威からフィルタリングしている」と説明した。これにより、脅威検知の精度が高まったという。

これは、システム全体の有効性に不可欠な「モノのインターネット」デバイスの統合によって実現された。

ヌーリ氏は 「IoTデバイスは、センサー、スマートロック、カメラから重要なデータを収集し、私たちのシステムのバックボーンを構築している。このデータのリアルタイムでの処理と分析は、我々のAIモデルを通じて行われる」という。

スマート・シチズンズがユーザー体験を優先していることを強調し、彼はこう付け加えた。「我々は、ユーザーがスマートホームシステムを簡単に制御・監視できるよう、操作しやすいインターフェースを設計しています。」

同社のAIシステムは時間をかけて個人の好みを学習することができ、各住宅所有者のライフスタイルに合わせた自動化を可能にしている、と彼は述べた。

ヌーリ氏は、プライバシーに関する懸念に迅速かつ効果的に対処するため、強固な対策が講じられていると述べた。

「私たちのシステムでは、プライバシーとセキュリティに対処するための複数のアプローチがあります： 暗号化プロトコル、ローカライズされたデータ処理、英国基準やアラブ首長国連邦基準への準拠などです」と述べ、サウジアラビアの規制への完全準拠にも取り組んでいることを明らかにした。

UAEでは、高級アパートや住宅にAIを搭載した技術を積極的に取り入れる人が増えていると同氏は付け加え、UAEの住宅所有者は 「ライフスタイルを向上させ、快適さを確保するためにハイテクイノベーションを積極的に取り入れる人たち 」だと説明した。

ヌーリ氏は、ホームセキュリティにおけるAIの役割の拡大について楽観的で、AIはますます自律的になり、日常生活にシームレスに統合されると考えている。

「スマート・シチズンズが提供するスマート・エネルギー管理や照明ソリューションのようなソリューションは、さらにパーソナライズされた予測機能を提供するように進化するだろう」とヌーリ氏は語った。

サウジアラビアは、2030年までに年間2億7800万トンの二酸化炭素排出量を削減するため、社会全体のアプローチを採用している。

Environment Internationalに掲載された2019年の研究によると、家庭のエネルギー消費は世界の二酸化炭素排出量の3分の1を占めており、ホームオートメーションはこれらの排出量を12.78％削減できる可能性があるという。

ヌーリ氏は、生体認証によるセキュリティ強化や、よりユーザーに近いデバイスでデータを処理するエッジコンピューティングなど、新たなホームセキュリティのトレンドは、より迅速でプライベートな運用を可能にすると述べた。

そして、これらのソリューションの影響は測定可能で、「誤報を最大40％減らす」ことができるという。

「当社が提供するこれらのAI搭載ソリューションは、リアルタイムの脅威検知、パーソナライズされたセキュリティ、シームレスに統合された自動化により、住居をより安全にし、常時保護を保証します」とヌーリ氏は語った。

この新しいAI技術は、ホームセキュリティを強化すると同時に、居住者により大きな安心と居住空間のコントロールを与える。

スマート・シチズンズは、人々の日常生活のためのAIを活用したソリューションでサウジアラビア市場に参入する企業の一例に過ぎない。

今後も多くの企業が、私たちの生活を一変させるようなデータ主導の技術を導入していくだろう。