




ラワーン・ラドワーン
【ジッダ】ハッジ(大巡礼、巡礼月におこなうメッカへの巡礼)を除けば6か月以上の間を置いて、メッカのグランドモスクがウムラ(小巡礼)をおこなう団体巡礼者に門戸を開いた。新たなスタートとなる歓迎すべき徴候といえる。
4日朝6時に最初の幸運なウムラ巡礼者らが、ハッジ・ウムラ省が作った巡礼受け付け用アプリ・イートマルナー(Eatmarna、われら巡礼せり、あたりの意)経由の申請によりモスク入りした。世界の18億人以上のイスラム教徒らの歓びもひとしおだろう。
サウジアラビアは新型コロナウイルスの感染拡大への対抗として思い切った措置を取った。3月半ばにはウムラ巡礼と国内各地のモスクでの礼拝を一時中止とした。また、感染者が前例のないレベルに達するのを防ぐため、国際飛行便を停止するとともにロックダウンも実施した。
ハッジ・ウムラ省では1日6,000人の巡礼者を受け入れるため合流地点としてアル=ガッザ、アジヤード、アッ=シャシャなど5か所を設けた。巡礼者はそこからグランドモスク行きのバスに乗り、医療の専門家らも同道する。
グランドモスクへの久しぶりの巡礼者らを出迎えるのは、エントランスとホール内に設置されたサーモカメラだ。体温の急上昇をモニターしつつ、問題があれば警告が発せられる。
訪問者の安全を守り、潜在的なウイルス感染者へ速やかな対応をおこなうべく、こうしたプランは感染拡大の当初から練られていた。
二聖モスク宗務総局ではその他当局とも連携を取り、厳格な予防措置をともなって巡礼者を受け入れる準備を整えた。グランドモスクでのウムラ巡礼にともなう儀式をモニターする要員として約1,000名の職員へ職務訓練もほどこしている。モスクは毎回の巡礼グループの滞在の合間を縫って1日10回の清掃がおこなわれる運びだ。泉水、絨緞の敷かれたスペース、浴室など密になりやすい箇所についてはさらに念入りに清掃される。最上階に続くエスカレーターにも消毒器具が備えられ、手を消毒する備品もモスクの各エントランスに設けられている。
空調システムについても紫外線殺菌技術を整備した。エアフィルターは1日9回、3段階に分けた清掃スケジュールがスタッフらにより維持される。
宗務総局では「カンマーマート(Kammamat, 顔面被覆マスク)」などの巡礼者の安全確保に向けたアイデアもいくつか採り入れている。
カーバ神殿を取り巻くマターフと呼ばれる巡回スペースは250万人の巡礼者を収められる広さがあり、ここがウムラ巡礼者の儀式用に選ばれた。8月にハッジ巡礼者を受け入れた際と同様、アクセスを容易にするため通路は指定される。
二聖モスク宗務総局のアブドゥッラフマン・アッ=スダイス師(総長)はサルマーン国王より以下の認可が下りたことにふれた。それによると、国王は、予防措置の遵守を条件にグランドモスクへのウムラ巡礼を許可するとともにメディナにある「預言者のモスク」の庭園(ラウダ)の訪問も認めたという。
国王からの今回の許可は、サウジ指導部がメッカとメディナの二聖モスクへの訪問者の安全を守ることにいかに熱心であるかのあらわれであり、ウムラ巡礼をおこないたいというイスラム教徒の願いに応えたものだと、スダイス師は語っている。