Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

金融詐欺の新たな波でサウジアラビア人が標的になる

SAMAによると、銀行の情報を尋ねる偽のメッセージが増加しているという。詐欺師は政府当局の人間を騙ることが多い。(ロイター通信/Shutterstock)
SAMAによると、銀行の情報を尋ねる偽のメッセージが増加しているという。詐欺師は政府当局の人間を騙ることが多い。(ロイター通信/Shutterstock)
Short Url:
09 Nov 2020 08:11:21 GMT9
09 Nov 2020 08:11:21 GMT9
  • 当局は、詐欺に注意し、知らない人に銀行の情報を教えないように警告している
  • 詐欺師は中央銀行やパブリック・インベストメント・ファンドなどの信頼できる機関の人間を騙る

Hebshi AlShammari 

リヤド:デジタルの世界では、説得力のある詐欺メッセージや誤解を招くようなオンライン広告が横行しており、サウジアラビアの住民の中に、疑うことを知らない被害者を騙そうとする詐欺に引っかかり続ける人がいることに驚きはない。

詐欺師は、貯蓄が危険にさらされていると警告してきたり、簡単に大金を稼ぐ方法を提案したりしてくる。例えば、最近では、銀行口座が危険にさらされているので保護しなければならないと主張し、そのために個人的な金融情報を要求するテキストメッセージが送られて来る。

もう1つの手口は、偽の投資機会のための偽のオンライン広告で、サウジアラビア通貨庁(SAMA)やパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)など、サウジアラビア国内の本物の信頼できる組織の名前を許可なく使用していることがよくある。

退職したエンジニアのM・アル・マンスーリ氏は、政府機関を名乗って電話してきた人物からの電話に出た日のことを後悔している。最終的に同氏は約5万リヤル(1万3千ドル)を失うことになった。同氏が話した女性は、サウジアラビアIDの詳細や銀行カードの数字の下4桁など、同氏の個人情報を再確認する必要があると言っていた。

「30分もしないうちに、私の銀行カードの情報がお金を得るために使用されていたことを示すSMSメッセージを受け取りました。何かの間違いだと思いましたが、メッセージは止まらず、突然、私の口座から約5万リヤルが盗まれたことが分かりました」とアル・マンスーリ氏は話した。

サウジアラビアの銀行の広報担当者、タラト・ザキ・ハフィズ氏は、詐欺師はソーシャルエンジニアリングや、個人情報を入手するために人為的なミスを利用した細工技術を用いて潜在的な被害者をおびき寄せるとアラブニュースに語った。

「この技術は、詐欺師が詐欺を達成するために徐々に被害者をおびき寄せ、銀行情報だけでなく個人情報を入手することを可能にします。彼らはこの手口を大規模に利用して、詐欺が被害者の目にとまるよう有名な団体の正式名称や知名度の高い個人の名前などを使って被害者をおびき寄せています」と同氏は付け加えた。

幸運にも、詐欺師が詐欺的な電子メールやメッセージ、ウェブサイトで使用するさまざまなトリックや戦術について、一般の人々の認識が高まっている。H・アル・ルワイク氏が見知らぬ人からのメールを受信し、その内容がサウジアラビアの主要な慈善財団で働いていて、同氏の銀行口座に10万ドルを送金するという申し出だったとき、同氏はすぐに不審に思った。「すぐにそれがある種の詐欺だと分かったので、返信しませんでした。メールを単に無視しました」と同氏は話した。

詐欺師がもたらすリスクを知っていたA・アル・アナジ氏は同僚たちに、突然電話をかけてきた人が、ファンドを運用して海外の株式市場に投資する投資会社の人間を名乗る場合は信用しないようにとしばしば注意を促していた。残念なことに、同僚の1人が同氏の忠告に従わず、投資機会から毎月利益を得るという虚偽の約束に引っかかって、何千リヤルものお金を騙し取られてしまったという。同僚は取引をキャンセルしてお金を返して欲しいと頼んだが、返事が来なかった。その時に初めて詐欺だと気付いたという。

ファイナンシャル・アドバイザーのイブラヒム・アドスリ氏によると、詐欺師は疑うことを知らない被害者を騙すために洗練された技術を身につけており、しばしば信じられないほど説得力のある話をするという。すでに経済的なプレッシャーにさらされている人たちは、詐欺の被害に遭いやすいと同氏は付け加えた。彼らは、自分たちの問題を解決することができる一攫千金の計画に誘惑され、危険の兆候を無視し、助言を受けたり調査をしたりすることを怠ってしまう。

「多くの被害者は、専門家に相談せずに急いで軽率な決断をする傾向があります。被害者は、電話の相手が女性である場合は特に、電話の相手の言うことを鵜呑みにする傾向があります。そのため、詐欺師は女性を利用してこのような手口を使うのです」とアドスリ氏は述べた。

「もう1つの要因は、被害者側の投資に対する知識や意識の欠如です。被害者の多くは、利益とリスクの間にはつながりがあり、その関係は直接的であることを知りません」

アドスリ氏は、国民の間で金融詐欺に対する意識を高めることが重要であるとし、当局がそのための取り組みを行っていることを歓迎した。同氏はまた、詐欺を発見したと思った場合は330330に電話して報告するよう促した。しかし、最終的には、自分の身を守るのは私たち一人ひとりにかかっていると述べた。

「詐欺犯罪は国家の責任ではなく、個人の責任だと考えています」と同氏は付け加えた。

SAMAを含む多くの政府機関は、メッセージで政府機関の名前を使ってお金を騙し取ろうとする詐欺師に関する注意を喚起するための啓発キャンペーンを開始した。金融の専門家によると、意識を高めることは、詐欺の被害に遭わないようにするための最も効果的な方法の1つだという。

SAMAによると、銀行の情報を尋ねる偽のメッセージが増加しているという。詐欺師はしばしば、政府機関の人間を騙り、給付金の支払準備ができていて受取人はリンクをクリックして銀行の情報を更新する必要があると言ってくる。指示に従うと被害者の情報は危険にさらされる。

SAMAは、一般市民に支払われるお金を保有しておらず、個人に代わって金融取引を行うことはないとしている。SAMAはまた、銀行の情報を確実に秘密にしておくことの重要性を強調し、銀行の情報は決して漏らしてはならないと警告した。

サウジアラビアの政府系ファンドのPIFはまた、人々を欺くためにPIFの名前を使う詐欺について警告を出している。PIFはTwitterアカウントで、個人に対する直接の金融や投資の相談を行っていないことを強調し、検証可能な公式の情報源によって提供された情報だけを信用するように国民に助言した。

外国為替市場(FX)における無許可の証券業務への対応に関する常任委員会は、FXで偽の投資や為替取引、その他の違法行為を提供すると主張する無免許業者に注意するよう国民に警告した。同委員会はまた、前もって立証済みの方法で信用性を厳密に確認しない限り、銀行の情報を誰にも教えてはならないと助言した。

法律コンサルタントのトゥルキ・アル・ラシード氏は、有罪判決を受けた詐欺師は多くの処罰に直面する可能性があると述べている。詐欺が複雑であればあるほど、罰則は大きくなる。これは特に、マネーロンダリングや麻薬取引などの国際的な詐欺で顕著だ。しかし、詐欺の中には、特に契約書の証明がない銀行振り込みなど、証明が難しいものもある。

アル・ラシード氏は、金融契約を検討する場合は、それがどんなものでも専門家の助言を得ること、そして、どんな素晴らしい約束も額面通りにとらないことを促した。契約が本当にしてはあまりに良いものなら、それはきっと本当ではないということだ。

コンサルティング会社Strategy Xのマネージングパートナーで、サウジアラビア金融協会(Saudi Financial Association)の理事、モハメド・アリ・アサラティーン氏は、当局は定期的に国民に注意を喚起し、詐欺師が使用するトリックに対する認識を高めなければならないと主張している。

また、従来のメディアや電子メディアも監視する必要があり、詐欺の事例はただちに報告されるべきであり、詐欺師に名前が使われている政府機関は、人々が被害に遭うリスクを減らすために周知しなければならない、と同氏は付け加えた。

ハフィズ氏は、当局が頻繁に国内の詐欺集団に関与している人を見つけ出して逮捕することに成功する中、詐欺の犠牲者の数を減らすために詐欺的なメッセージの受信者が匿名の送信者を疑い、決して応答しないことを提案している。

同氏は、警戒を怠らず、うっかり悪意のあるハッキングプログラムやスパイウェアのインストールを許可しないように、ウェブサイトの信ぴょう性や信頼性を点検しなければならないと付け加えた。

特に人気
オススメ

return to top

<