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謎に覆われたジェッダの非イスラム墓地の歴史

墓地は街で最も賑わう道路の近くにあるが、ほとんどの人は高い壁の向こうにキリスト教や他の宗教を信じる人々が安らかに眠っているとは知らずに通り過ぎる。(提供)
墓地は街で最も賑わう道路の近くにあるが、ほとんどの人は高い壁の向こうにキリスト教や他の宗教を信じる人々が安らかに眠っているとは知らずに通り過ぎる。(提供)
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13 Nov 2020 10:11:13 GMT9
13 Nov 2020 10:11:13 GMT9
  • 墓地の歴史は16世紀にさかのぼり、何千人もの外国人が埋葬されてきたと信じる者もいる。

ラワン・ラドワン

ジェッダ:水曜日、ジェッダの非イスラム墓地の平安と静謐は爆発音によって破られた。この墓地が攻撃の対象となったのはおそらくこれが初めてだ。

墓地は街で最も賑わう道路の近くにあるが、ほとんどの人は高い壁の向こうにキリスト教や他の宗教を信じる人々が安らかに眠っているとは知らずに通り過ぎる。墓標はおよそ300ほどだが、設置以来、何千人もの人々がこの墓地に埋葬されてきたと信じる歴史学者もいる。

この墓地の由来についての秘密や噂話はひそやかにささやかれてきたが、埋葬がいつ始まったのかを本当に知る者はいない。いつしかこの場所は地元ではアラビア語で「外国人」を意味する「Khawajat」と呼ばれるようになった。

一部の研究者や歴史学者は、墓地の歴史は200年ほど前にさかのぼると推測する。当時、オスマン帝国の支配下にあったジェッダは多くの外国人商人が行きかっていた。貿易の中心として栄え、アラビア半島への入り口でもあった。

墓地はもっと以前からあったと主張する専門家もいる。16世紀、特に1517年のロポ・ソアレス・デ・アルベルガリア率いるポルトガル帝国とアミール・フセイン・アル=クルディ率いるマムルーク朝のジェッダをめぐる戦いの際につくられたとする説だ。

2018年11月11日、第一次世界大戦終戦100年を記念し、ヨーロッパ各国の総領事が共にジェッダの非イスラムの墓で花輪を供え、各国の協力を表した。(GermanyinKSA)

Sポルトガル軍が都市を包囲したのは3ヶ月という歴史学者もいれば、13ヶ月もの間包囲は続いたとする者もいる。どちらの軍にも死傷者はあり、命を落としたポルトガルの兵士たちは街の外に埋められたと考えられている。地元の住民たちは、その後、その地区を非イスラムの人々とを埋葬する場所として保存した。

ジェッダは何世紀もの間、様々な国籍や宗教の旅人を歓迎してきた。ただ通過するだけの者もいれば、移住する者もいた。歴史的に、ジェッダで亡くなった外国人の遺体を母国に移送するのは困難で、費用もかかり過ぎただろう。そのため、多くの外国人にとってジェッダは骨を埋める場所となった。

長年、イギリスやアメリカ、フランス、ドイツ、エチオピアなどの領事館が墓地を維持し、管理者を雇う費用を提供してきた。

18年以上も墓地の管理者を務めてきたのはアフリカ系イスラム教徒のユーニスだ。彼は墓標を磨き、枯れた花を取り除き、訪問者に木陰を提供する木々を刈るなど、墓地の手入れをしてきた。

「この墓地のことを奇妙な場所だと思う人も多いが、その理由は私にはわからない」と、ユーニスは言った。「他のどの墓地とも変わらない。50~60年前、またはもっと昔から人々が埋葬されてきた」

「立ち寄って死者に敬意を払う人もたくさんいる。それぞれの宗教や伝統の祈りを捧げるんだ。蝋燭を灯す人もいるし、墓に米を巻く人もいる。非イスラムの人たちがお参りをするための場所なんだ」

エチオピア領事館の職員がMBCに語ったところによれば、埋葬費は大人が一人2,500サウジ・リヤル(600ドル)、子どもなら1,500サウジ・リヤルだという。歴史学者は、この墓地には軍の大尉や領事、子どもの他に、第二次世界大戦の兵士も埋葬されているという。ヒンズー教、仏教、キリスト教など、彼らの宗教は様々だ。

[写真]

「卑劣で不成功に終わった」とされる水曜日の爆破攻撃は、この墓地を攻撃対象にした初のケースだと見られている。ここが墓地だと知っている周辺の住民は、神聖な場所であることを理解し、埋葬された死者がまるで自分たちの家族であるかのように敬意を払っている。

「昔はこの墓地はジェッダの街の外にあった。この辺りにも都市化が進んだのはほんの数十年前のことだ」と、アッシュ・シャティー地区に住む80歳のアミーン・アル-サベインは語る。「歴史上の街としてのジェッダを知る人は、墓地はもともとは街を囲む塀の外にあったと知っている」

彼はまた、墓地は昔は「キリスト教墓地」として知られ、これまで静かに尊重されてきたと付け足した。

「塀で囲われていて、管理している国の者以外は入れないようになっている」と、彼は言った。「都市化がここまで広がったためにジェッダの中心地の一部になっているが、私たちはこの墓地に干渉せずそっとしておいたんだ」

現在調査中の爆破事件は外国籍の住人や、フランス領事を含む要人が第一次世界大戦終戦から102年を祝う戦没者記念日の式典の最中に起こった。ギリシャ領事館の職員一名とサウジアラビア人の警備員一名が爆発によって負傷した。

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