

ナダ・ハミード
ジェッダ―フリーダイビングに情熱を注ぐ友人同士の3人が心を決めて、今月初めにサウジアラビア初のフリーダイビングスクールを開いた。
ジェッダ・フリーダイビング・スクール(JFS)の共同設立者であるオサマ・ジョウハリさん、イシャク・ファルシさん、マリアム・シャランさんの3人組は、ともに海辺で育った。10年以上もフリーダイビングを練習しており、これまでに地元地域、湾岸協力会議(GCC)、そして大陸レベルでの新記録を打ち立ててきた。
「私たちの目標は、同じチームの仲間、さらにはフリーダイビングのインストラクター仲間として、自分たちの考えを一つにすることです」。アラブニュースの取材に対し、この3人組チームはこう話した。「ウォータースポーツ好きのコミュニティの人たちと、自分たちの知識や経験を分かち合いたいのです。世界的なエクストリームスポーツの一つを、すべての人に体験してもらえるようにしたいと思っています」
このスクールの頭字語であるJFSは、Jouhari(ジョウハリ)、Farsi(ファルシ)、Shalan(シャラン)の3人のイニシャルでもある。
フリーダイビングは水中潜水の一形式で、呼吸装置を使用せず、水中に潜ってから再び水上に顔を出すまでどれだけ息を止められるかが勝負となる。
このチームのメンバーはそれぞれ潜水記録というレガシーを持っているが、スクール設立によりさらなる成功を手に入れようと願っている。
エジプト人女性フリーダイバーのシャランは母親がサウジアラビア人で、エジプトとアフリカでアラブ人としての最深潜水記録を達成した。アフガニスタン出身のファルシも、母国のフリーダイビングの最深記録保持者だ。
スクールでは、男女の受講生を対象に、理論面と実践面のトレーニングプログラムが行われる。主力インストラクターは、この3人の共同設立者と、その他のフリーダイビングの専門家たちだ。
「私たちがJFSで提供するすべてのマニュアル、プログラム、受講コースは、世界最大級のダイビング組織であるスキューバ・スクール・インターナショナル(SSI)の監修を受けています。そうしたマニュアルなどは、サウジ・スポーツ連盟の認可も受けています」。チームのメンバーはこのように話した。
チームのメンバーたちは、人々がこのスポーツに抱くイメージを変えることが課題だと言い、「従来とは異なる形で見せていく」ことを試みている。
3人組チームは、次のように話した。「フリーダイビングは、レクリエーションの活動にも、スポーツとしての活動にもなり得るのです。私たちは、サウジアラビアでこのスポーツを発展させて、紅海地域の人々が新記録を樹立する手伝いをしたいと考えています」
JFSは、アブドゥルマジード王子通りのノース・オブフル地区に位置し、「サウジ・ウォータースポーツおよびダイビング連盟」の認可を受けている。
10年超のフリーダイビングのインストラクター経験を持つジェッダ出身のマフムド・ザカリヤさんはアラブニュースの取材に対し、静寂のスポーツであるフリーダイビングは、美しい水中の世界を探求する機会を人々にもたらすものだ、と話した。
「フリーダイビングは、息を止めることがすべて。自分の肺にのみ空気を溜めて、深い海に潜っていくのです」。マフムドさんはこのように話した。
彼は、このスポーツが、人間が深海に対処し、生き延びるための原始的な方法ともみなされると付言した。フリーダイビングは、真珠の採取時にも使用される方法でもある。
「人間は生来、フリーダイバーです。フリーダイビングは、私たちの体内に宿っている自然のスキルです。しかし、柔軟な呼吸法とその制御術を体得し、平穏な心で海深く潜るためには、呼吸の訓練が必要です」。彼はこう話した。「フリーダイビングには忍耐力、自己認識、高い意識が求められるのです」
さらに彼は、このスポーツを最大限に楽しむためには十分な準備が必要だ、と警告した。「フリーダイビングには危険が伴い、最も過酷なスポーツの一つといわれています。競技上の役割も、境界線も、タイムアウトもありません」
そうしたフリーダイビングの性格上、安全対策は不可欠だ。JFSの共同設立者たちは、SSIのフリーダイビング・コースを通して、受講生に自分たちの安全対策を教え込んでいると話した。
「このコースは基本的に、純粋な形式のダイビングの導入部分となります。ここで正しい呼吸法が説明されます。それにより、トレーナー自身が横隔膜呼吸に習熟し、かつて経験したことがないほどに深く呼吸するのを後押しします。安全装置、準備、法的書類に加えて、こうした説明がスクールで行われています」。チームのメンバーはこう説明した。
ザカリヤさんは、ダイバーが安全を確保するためには、常に有資格ダイバーと一緒にダイビングを行った方がよいと話した。そうすることで、「経験の浅いダイバーが海水面に向けて浮上する際、浅い場所でのブラックアウトや、LMC(運動能力喪失)が起きた場合の救助や対処が可能になる」という。
JFSには、ダイビングストアも完備している。そこでは、フリーダイバーが必要とするあらゆるツールが手に入る。そうしたツールには、ダイビングスーツやフィン、シャツのようなカスタマイズされた現地製品、国際ブランド品が含まれている。