



Rashid Hassan、Haifa Al-Belaihid
リヤド:今年のサウジアラビアのクリスマスは、はっきり明らかに違った感じがする。クリスマスツリーとデコレーションはリヤドのギフトショップで販売されている。サウジ首都のショップでサンタクロースの衣装、金ぴかの飾り、他のオーナメントを買う人々の光景は、他の宗教と信仰に対する拡大された寛容さの紛れもない印だ。
近年、リヤドにはクリスマスセールスが徐々に導入されている、これは、2016年に内閣が発効した、サウジ勧善懲悪委員会が違反者を追求逮捕することを制限する法令で始まった、社会解放プロセスを反映している。
2月には赤いバラとテディベアがバレンタインデーを祝うためショップで販売したが、たった2年前には全く考えられなかった進展である。今、リヤドでのクリスマス飾りの販売は、サウジ新時代の精神を完全に捉えている。
確かに、全世界のキリスト教徒家庭では、今年のクリスマスはこれまでになかったものだ。パンデミックに関連した家庭の集まりの禁止とロックダウン措置が原因の財政的困難の組み合わせで、12月25日の祝日からは輝きが失われていた。
COVID-19関連の各種制限が残る、サウジアラビアのキリスト教徒海外居住者コミュニティにとって、その日はお祝いよりも内省の時になるであろう。
湾岸地域での状況は世界の他と違いはない。大家族の集合、宗教的集会、友人同僚とのパーティ、アルパインがテーマになったクリスマス市場は、政府が旅行を制限し、家族の交流に制限を課し、お付き合いの計画を中止にしたので、今年はオンライン化されるか全てキャンセルされた。
サウジアラビアはコロナウイルスの大流行を封じ込めるため、3月に旅行制限を課した。サウジは9月15日に飛行便禁止を一部解除したが、ヨーロッパで新種のウイルス株が出現しているとの報告の後、国際便全ては再び12月20日、1週間中止された。
「サウジアラビア在住のキリスト教徒として、家族から離れて一人でクリスマスを祝っています。」とリヤドで働くアメリカの国外居住者Jeruel Trinidad氏はArab Newsに語った。
「例年この時期には帰国して家族と再会します。でも今年は明らかですが、今いるところで立ち往生しています。クリスマスは、好みの料理が出る居心地のよいレストランで自分にご褒美を与え、祖国の親戚とビデオ電話をたくさんして、自分と同じような窮地にいる友人と会い、そして最も重要なことですが、望郷の念を忘れられるよう忙しくなるよう働き続けます。全てが終わったら、出来るときに帰国します。」
キリスト教徒の家族の多くはパンデミックが12月までに制圧されることを望み、分離と隔絶の数カ月後にお祝いでの再開を夢見ていた。しかし世界保健機関は、「もうすぐのホリデーシーズン期間中でのCOVID-19感染増加の著しいリスク」を警告し、専門家は不要な旅行と室内での宗教集会に反対するアドバイスを与えた。
コプト系キリスト教徒がコプト正教会カレンダーに従ってキリスト誕生を祝う新年1月7日まで、この状況は大きく変わりそうにない。
がっかりするが、サウジアラビアに国外居住するキリスト教徒の多くはこの日を記念する決心だ。リヤド在住のインド国民であるBerney James氏は、物事は同じにはならないが、パンデミックで祝日気分を削ぐことはできないと語っている。
「クリスマスの祝いは自宅のような場所はありません」と同氏はArab Newsに語った。「期待はたくさんありますが、今回、パンデミックの中での旅行制限でがっかりしました。それでも自宅を飾り友人との食事を企画しています。」
イギリスの国外居住キリスト教徒は、このパンデミックの年の他の場所と同様、悪い状況を最大限に活用しようとして、プラスの面に注力している。
リヤドにあるプリンススルターン軍メディカルシティの専門セラピストFina Concepcion氏は、拡大家族と祝うため通常はフィリピンに帰国している。
今年、同氏は幼い息子のためにクリスマスをできるだけ魅力的にしようと試みている。間に合わせで作ったクリスマスツリーの下には、クリスマスの朝に息子が開封するため、真新しいギフト包装のおもちゃが待っている。
夜のミサ(シンバン・ガビ)は、クリスマスを先行して、フィリピンで毎年行われる重要な9日間の宗教的祝賀だ。
今年、同氏の家族と多くの他のカソリック系フィリピン人は参加しない。パンデミックが間もなく制圧されて、里帰りが予約できることを同氏は希望している。
親しみのあるクリスマスの伝統で気晴らしを試みる国外居住者の家族もいるが、祖国への願望を鎮めようとサウジの娯楽を受け入れる家族もいる。
サウジの都市ブライダ在住のフィリピン人国外居住者であるArnold Gonzales Pineda氏は、Arab Newsに語った。「クリスマスイブの日にはごちそうがあり、少し歌い、余裕のあり次第ですが贈り物を交換する予定です。」
リヤド在住のNonie Sagadal Jr.氏は、サウジアラビアのフィリピン人は通常、クリスマスを違った風に祝うと説明した。「プログラムを企画し贈り物交換で宿泊所やキャンプでパーティを企画するものがいます。このような集まりの間、グループで歌い、音楽に合わせてダンスもします。」
「外出してクリスマスの夜を祝う友人や同僚のグループもいます。台所仕事から休憩して外食します。」
一方では通常、公共の公園でクリスマスの日を過ごし、レストランで会食を家族で楽しむと同氏は語った。
ブラジル出身のフィットネス/マーシャルアーツのパーソナルトレイナーLidiane Ramos Faubel氏にとって、友人や家族と時を過ごすことはクリスマスの宗教行事よりもっと重要だ。
ホームシックを軽減するため、ホリデーを共有するジッダのブラジル人友人のコミュニティに感謝している。
ジッダのキング・アブドゥルアズィーズ大学の英語インストラクター兼ホリスティックコーチであるLydia Diggs氏は、家族とクリスマスを過ごしたいが、今シーズンの重要性は、個人レベルでは物質的なことよりも精神的なことだと語った。
それでも、歓迎する環境を生み出しているので、学生からの「メリークリスマス」のあいさつには感謝していると付け加えた。
キング・アブドゥッラー科学技術大学 (KAUST)のサウジ基礎産業公社(SABIC)の企業研究開発センターでポリマー素材科学のシニアマネージャであるDon Owens氏は今年、サウジアラビアでクリスマスを初めて過ごしている。
拡大家族と一緒に祝日を過ごすためアメリカに帰国するより、クリスマスのキャンプ旅行でサウジアラビアの自然の驚異を探検するため、この時間を使っている。「この時期にサウジアラビアで行うお気に入りのことの一つが砂漠旅行です」と同氏はArab Newsに語った。
「KAUSTの友人数名とグループになることを決め、砂漠で2日間のキャンプ旅行をします。砂漠で夜を過ごすのはこれが初めてで、家族全員がワクワクしています。」
ダーランのジョンズホプキンスアラムコヘルスケアで働くSarah Palmer氏は、Arab Newsに語った。「私はオーストラリア人で、太陽が降り注ぐサウジのクリスマスは私にぴったりです。家族同様に親しくなった友人がいて、クリスマス当日は、完璧な天気を楽しみながら、プール際でアウトドアランチを食べます。」
遠く離れた家族にはインターネットが何カ月もの分断の恵みになっている。
「こどもが従兄弟やおじいちゃんおばあちゃんを見るため、世界中の家族とのメッセージ、こどものプレゼント開封ビデオ、食べ物の写真、そしてFaceTimeの共有が大量にあるでしょう。」と同氏は語った。
特に祖国から遠くは離れて祝いの期間を過ごす海外居住者には、今年のクリスマスは違うかもしれない。でもサウジでは環境がますます開放的で寛容になり、ショッピング通路で故郷をちょっぴり思い出したり、スマホ技術のちょっとした手伝いで、確実に記憶に残る。
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「現代的な人生観」
2018年3月、エジプト公式訪問で、サウジのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子はコプト正教会指導者、教皇タワドロス2世をサウジに招待した。カイロの聖マルコ大聖堂へのツアー中、コプト正教会キリスト教徒はサウジアラビアで全員歓迎すると皇太子は語った。
Arab News編集長ファイサル・ J・アッバス氏との後日の独占インタビューで、タワドロス教皇は会合を思い出して語った。「皇太子は『現代的な人生観を持った偏見のない方で大いに喜ばせた』。代表団は後しばらくしてサウジアラビアを訪問し、サウジに住むコプト教キリスト教徒にプライベートな説教を行った。
同教皇は皇太子とサウジ関係者が開催している会合は「宗教、政治、文化を問わず、あらゆるレベルで国民と王国に非常に有益で人類発展に貢献している」とも語った。
また2018年3月には皇太子はロンドンでカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーと私的に会合し、サウジアラビアで進行中の改革について論じた。「皇太子は異なる信仰の伝統繁栄の促進と、サウジ国内とそれを超えた信仰間対話を固く約束した」と大司教事務所は語った。
2019年9月には、福音派キリスト教指導者の代表団がサウジアラビアを訪問し、信仰間の調和促進を狙った会合を開いた。アメリカ人作家ジョエル・ローゼンバーグ氏を代表とする一行は皇太子に迎えられ、共存と寛容の促進と、過激派とテロと戦う取り組みに重点を置いた。