

アレキサンダーウッドマン
バルーク香澄教授は3歳の時に彼女の音楽家としてのキャリアーが始まった。東京の武蔵野音楽大学声 楽家故佐藤玲子氏に師事。故佐藤玲子氏の優れた指導のもと香澄教授は並外れた声楽の才能を示しそして5歳の時声楽と並行してピアノを習い始める。その後武蔵野音楽大学ピアノ科猿田和子氏、ブラウン大学ピアノ科教授リンダ・ナジー氏、ボストン大学ピアノ科教授トン・イル・ハン氏、ニューイングランド音楽院ピアノ科バレンティナ・ラス教授の細やかな指導を受ける。バレンティナ・ラス氏はモスクワ音楽院出身で特に協奏曲の指導において名高い。これら教授陣の指導はバルーク香澄の豊かな音楽性に持続的な効果を与えている。
香澄教授はオーケストラと多くの優れたピアノ協奏曲を共演。プラハ室内管弦楽団(プラハ・チェコ共和国)、モラビア室内管弦楽団(モラビア・チェコ共和国)、チェコバロックアンサンブルオーケストラ(ブルノ・チェコ共和国)、ボストン室内管弦楽団(ボストン・米国)、オーケストラオブザスワン(バーミンガム・英国)、マンハイム室内管弦楽団(マンハイム・ドイツ連邦共和国)、ヒラリス室内管弦楽団(ブラティスラヴァ・スロバキア共和国)、ウィーンコンサートフェライン(ウィーン楽友協会レジデントオーケストラ、オーストリア)、ミシュコルツ交響楽団(ミシュコルツ・ハンガリー)、ティタノ室内管弦楽団(サンマリノ共和国)、シンフォニエッタクラコヴィア(クラコフ・ポーランド)、シンフォニエッタブラティスラヴァ(ブラティスラバ・スロバキア共和国)、ジョージアンシンフォニエッタ(トビリシ・ジョージア国)などとヨーロッパ、アメリカを中心に各地で演奏。
また静岡、青森、東京など日本の都市、サウジアラビアのリヤドほか多くの都市でのピアノ演奏で聴衆を魅了する。
2010年より香澄教授は東京のデンタルファミリーオーケストラの首席ピアニストの名誉あるポジションに就き現在に至る。
私はバルーク香澄教授とアルコバールの高級住宅地にある贅沢な邸宅でお話しできる素晴らしい機会を持ちました。インタビューの全容はサウジリアルチャンネルでご覧になれます。
アレキサンダーウッドマン: あなたは初の日本人女性教授として選ばれサウジアラビアで教える栄誉をお持ちになりました。このことについてお考えをお聞かせください。またこの王国の女性の自信・権限についてどのようにお感じになられますか?
ある方々には少し不思議に感じられるかもしれませんがわたくしは生来、男性・女性とネガティブな面で区別したことはありません。多分わたくしが育った環境のせいでしょう、また職業上初めから区別を感じたことはありません。もちろんサウジアラビア初の日本人女性教授としてこの王国の医療、社会に貢献できることを大変光栄に思います。
アレキサンダーウッドマン: 先生のサウジアラビアでの経験の中で何かチャレンジに会われましたか?他の人たちへの道を開く利点などについてお話ししてください。
どの新しい経験でもそうだと思いますがサウジアラビアの生活は空港に到着した瞬間からわたくしにとってはチャレンジでした。でも本当にサウジの人たちの思いやりと親切に助けられて過ごすことができたことを心から感謝するとともにサウジ人のわたくしに対する素晴らしいマナーを尊敬いたします。さらにわたくしを尊敬を持って親切にしてくださったこのような素晴らしい関係が世界のどの国でも同じであることを望んでおります。誰でも尊敬を持って接するべきですし、また私たちの誠実さと善意を
表すどの機会も捉えることが大切ですね。
アレキサンダーウッドマン: とても小さい時からあなたの音楽家としての道が始まりました、そして現在は自然科学の分野でご活躍です。あなたの人生の中で新しい道に乗り出すことになったきっかけについてお話ししてください。
承知しました。私が高校を卒業した後、周囲の誰もが私は音楽大学に行くと思っておりました。
でもその時私は音楽大学に行くパッションは何故かありませんでした。
代わりに歯科医学を学ぶために歯科大学に入学しました。わたくしの家族は全員歯科医師で且つ音楽愛好家です。どうやら私の家族の環境がわたくしの将来の仕事に強く影響したようですね。
そして歯科大学卒業後数年の臨床経験を経てボストン大学歯周病科大学院で専門医教育を受けたのち、今思えば自然だったのでしょう、ボストンのニューイングランド音楽大学にパートタイムの学生として音楽を勉強する時だと思ったのです。本当に長い間音楽の道を辿るのを待っていたのですね。音楽は私の生活の中でいつも大きな部分でしたから。
もし次の人生があって職業を選ぶとしたら、歯周病専門医と音楽家に又なりたいと思います。
アレキサンダーウッドマン: 医学と音楽の分野でのあなたの主な仕事を考えて見てください。この二つの全く異なる分野での仕事ではそれぞれがなくてはならないものですか?
また、病気の医学的治療に於ける音楽の治癒効果についてお話しして下さい。
わたくしにとっては単に表現と分析の違いだけなのです。
わたくしの心の中では科学と音楽は一つの実態なのです。例えば私たちは輝いているお月様をみていますよね。でも輝いている後ろでは暗い部分があってそれは通常地球の私たちからは見えない、でも存在します。そんな感じなのです。
多くの音楽愛好家、プロの音楽家も含めてオーケストラと協奏曲を演奏する機会はあまりありません。幸運なことにわたくしはヨーロッパ、アメリカ、日本でたくさんのオーケストラと協奏曲を演奏してきました。
そして2019年、わたくしの主人と第1回バルークコンチェルトコンクールをサンマリノ共和国で開催いたしました。このコンクールはアマチュアの音楽家で31歳以上の方、オーケストラと演奏できる技量を持つ方なら誰でもエントリーできます。ただし音楽で生計を立てていないことが条件です。参加者は声楽を含めたどの楽器でもオーケストラと協奏曲を演奏して審査員から評価を受けるのです。第1回のコンクールは大成功でした。第2回はチェコ共和国のプラハで2022年に開催の予定です。もっともコロナの状況が収束しているかどうかによりますが。私たちコンクール関係者は開催されることを強く望んでいます。
さて音楽の治癒効果について、わたくしには明らかですが音楽はわたしたちの感情に多大な影響を与えますね。わたくしが長男を産んだ時婦長がわたくしとそこにいらしたスタッフのみんなをリラックスさせるためにすぐにモーツアルトの曲をかけました。モーツアルトのクラリネット協奏曲の第2楽章でした。
今でもその時どんなに幸せな気持ちになったか昨日のことのように覚えています。
アレキサンダーウッドマン: サウジで生活している間、あなたの心にはどの交響曲が奏でられていますか?毎年どのような交響曲をあなたの人生の旅に加えているか共有させてくださいますか?
シューベルトのシンフォニー5番です。わたくしは色彩豊かな、わたくしに語りかけてくる音が大好きです。それらはメッセージをささやくこともありますし時には笑わせたり泣かせたり。でもこれらの音は必ずしも人間からくるのではないですよね。風も私たちに語りかけるし森も彼ら独特の音楽を歌っていますね。雨ももちろんお話するし太陽の光は私たちに微笑みかけることもあると思うのです。わたくしはいい匂いを感じられる音をわたくしのピアノで出せたらいいなあ思うのです。わたくしにとってピアノを弾くことは歌うこと、そして祈ることなのかもしれません。つまり美しい音には何の説明も要らないように。
アレキサンダーウッドマン: 音楽家としてあなたは世界の一流のステージで演奏をしてこられました。あなたの文化的経験は一つのステージから別の国々のステージでの演奏にどのように影響しますか?
はい。それぞれのコンサートホールの雰囲気と場所は大変わたくしに影響します。
例えば、もし演奏する場所があまり洗練された場所でない場合、充実した雰囲気そして特にクラシック音楽の場合優雅な雰囲気を醸し出すようにしたいのです。
もっと大切なことはどの観客もわたくしの演奏の鏡だと思うのです。そしてわたくしの演奏も観客の鏡なのだと思うのです。
ですから演奏者は観客の文化を注意深く認識して彼らをより楽しませる演奏を心がけようとしています。
アレキサンダーウッドマン: サウジアラビアと日本の歴史には共通する一つのコンセプトがあります。それは伝統。21世紀における両国の伝統の価値と意義についてお話ししてください。
わたくしは伝統とはその手技の変化にかかわらず文化を保護し継続する長い年月を経て培われた一種の方法だと思います。それは同じプロセスを繰り返すことを保存するのではなく、状況に応じてプランを変更しそのユニークで現在のプロセスのクオリティーを維持することなのだと思います。
最終的には我々は新しいプランを立てるかもしれない、それが伝統になるのだと思います。
どの国もそれぞれの慣習があります。それらが他国との違いを明確に際立たせます。
より深くより創造的な文化は又、より多様性があるのだと思います。それが伝統を守る私たちのゴールの一つなのだと思います。
わたくしは美しいものに囲まれて育ちました。それらが何かを創り出すあるいは心に詩が浮かぶことを助けていることは間違いありません。わたくしの中で生きた伝統がいつも維持されることを期待します。
アレキサンダーウッドマン: 2030、サウジ日本ビジョンは安倍前総理とサルマン国王が立ち上げられました。9つの異文化間と経済の柱からなるコラボレーションです。このコラボレーションがこれらの2つの国の若い世代にどのように影響するかあなたのお考えをお聞かせください。
まず最初に、コラボレーションのどの過程もユニークなプロジェクトを創出するためにお互いが自由であることが大切だと思います。そのためにはチームのどのメンバーも彼らのアートを作るために自分自身がそうでありたいと思うような自由な精神を持っていることが良いのではないでしょうか?両国の若い世代が健康的な関係で全てのプロジェクトで優秀な意思の疎通を楽しむであろうことを確信しております。