




ハラ・タシュカンディ
リヤド:サウジのレジリエントな文化部門は「栄え」、今も続く新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック期間中の「求心力」であることが分かった。政府の報告書で明らかになった。
世界的な健康を脅かす危機によって多くの課題がもたらされたが、サウジ文化省にとっては成功を収めた1年だった。
「サウジアラビア王国における文化の現状2020年:文化のデジタル化」という表題の報告書の中で、同省は業績を収めた分野や成長分野とともに、挫折や関連する再生計画に焦点を合わせた。
バドル・ビン・アブドラ・ビン・ファルハン文化相は、文化部門は昨年、かつてない難問に直面したが、刺激的な機会も生み出した、とこの報告書の中で述べた。
「サウジ国民は自国の文化のビジョンに根深い信念を持っており、この1年間、彼らはそのビジョンを現実化するために懸命に努力した」
「大きな障害があり、社会的距離を取る対策が取られていたにもかかわらず、文化・クリエイティブ産業には、強い求心力として不可欠な価値があることが分かった」とファルハン王子は付け加えた。
文化部門は、インスピレーションを得ようと内省的になっていたので、「至る所に存在する創造的才能」と「創造力に富む適応力」を得た、と同氏は指摘した。
同相は「文化部門は、サウジ・ビジョン2030のバイタリティーを証明するものだ」と述べた。
「サウジは、新たな文化の地平を開拓しつつ、国の文化遺産を促進・保護することに尽力している。我々の文化を誇って、我々の旅路はともに間違いなく栄え続けるだろう」
同省によると、パンデミックが始まる前にサウジではさまざまな産業のデジタル化へ移行がすでに進んでいたが、新型コロナウイルスの発生によってデジタル化のペースが加速し、その重要性が増したという。
COVID-19の感染拡大を止めるために導入された、健康や安全のための規制が行われた後、仮想空間には幅広い文化シーンが根付き始めた。世界がオンラインでイベントを行うことに順応し、展示会や会議が専用のデジタルプラットフォームで開かれたり、学生が家庭用コンピューターでクラスに参加したりするようになったことで、同省はデジタル化のプロセスの加速に好機を見いだし始めた。
その結果、サウジの文化的環境をパンデミックの最悪の影響から確実に守るために行政部は決断を下した。
「アラビア書道年」を2021年まで延長する措置が4月に取られた。世界がCOVID-19との闘いに集中する中、このイベントの重要性が損なわれないようにするためだ。プラットフォーム「Al-Khattat(書家)」は文化省の支援を受けて作られ、ロックダウン中のサウジアラビア人数千人に、書道の動画の全データベースに無料でアクセスできるようにすることで、新しいクリエイティブなスキルを身につけたり、古いスキルを磨き直す機会を与えた。
書家のMarwan Al-Ajami氏はこう話した。「個人的には、Al-Khattatはロックダウン中の最も興味のあるイベントだった。ポートフォリオを拡大するのに使った新しいスキルを学び、ロックダウンが終わったときの楽しみにするものを得た。安全にイベントを開催できるようになったときに新しいスキルを見せるということだ」
必然的に、いくつかの部門は他の部門よりも大きな打撃を受け、同省はそれらをパンデミック前の成功のレベルに戻すために尽力してきた。
サウジの映画祭は、コロナ危機によって最も混乱した文化イベントの一つだった。第6回サウジ映画祭はオンラインで開催され、YouTubeで配信された。昨年3月に予定されていた第1回紅海国際映画祭は中止に追い込まれた。
ロックダウンが解除され、人々が再び映画上映に参加できるようになった7月には、Godus兄弟の『 Shams Al-Ma’arif 』(『太陽の本』)が公開されるなど、サウジの映画業界には明るい材料もいくつかあった。
ファッション部門は昨年最も大きな被害を受けた部門の一つだった。予防的な公衆衛生対策の結果、産業生産は46%減少した。衣料品と靴の売上収益は、2020年第2四半期には50億サウジアラビア・リヤル(13億3000万ドル)に下落した。
しかし同省の報告書によると、規制が解除され始めると、第4四半期までに売上高は90億サウジアラビア・リヤルを超え、ファッション業界は立ち直った。
演劇界は大きな打撃を受けた。2019年の公演数は169回だったが、昨年は68回だけだった。多くの俳優や脚本家、監督、プロデューサーが、バーチャルイベントやオンラインワークショップといった活動をすることを余儀なくされた。
アブドゥルアジーズ王世界文化センター(Ithra)の劇場コーディネーター 、Hadeel Mufti氏は、舞台芸術のオンライン授業を行った。
「これは、今の若者たちが向かって努力できる夢だ」と同氏は7月にアラブニュースに語った。「素晴らしいのは、サウジ劇場(・芸能)局とサウジ国立劇場の後援と激励が、我々をこの新しい舞台芸術の分野へと駆り立てていることだ」
文化省はまた、音楽部門の発展・調整のために音楽委員会を設立したが、それに関しては主にアマチュア、独学のアーティストに依存していたという。この問題に対処するため、同省は今年、サウジ初の音楽学校2校に許可証を発行した。
最近、サウジの標準職業分類でも音楽関連の職業が正式に認められたため、同国のミュージシャンはトレーニングを受けやすく、この分野で仕事をしやすくなる。
サウジ文化報告書の全文は、同省のウェブサイトで読むことができる。https://www.moc.gov.sa/sites/default/files/2021-03/Executive%20Summary%2…