
ラッシード・ハッサン
リヤド:サウジの起業家たちが、世界で最も起業に楽観的であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの経済的影響があるにもかかわらず、圧倒的大多数が、王国は今後も起業のための好機を提供すると思っていることが、ある新たな調査で明らかになっている。
18歳から64歳の成人を対象とした起業家精神に関する調査、グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)2020/2021調査報告書は、サウジアラビアで調査対象となった人々の90.5パーセントが、この地域には起業の好機があると思っており、調査対象となった43カ国中、起業の好機がある国のランキングで、サウジアラビアが世界で1位となった。
これと同時に、回答者の91.5パーセントが、サウジで起業しやすいと答えており、起業しやすさという問題に関してもまた、王国はそのランキングで第1位になった。その一方で、回答者の86.4パーセントが、起業するためのスキルと知識を自らが持っていると思っていると述べ、この問題に関しては、トーゴに次いで第2位だった。
楽観視している起業家が大多数であるにもかかわらず、パンデミックがこの国のビジネス界の前途に影響を与えた。3年以内に起業を計画していると答えるサウジの成人たちの割合は、2019年の32パーセントから、2020年には25パーセントにまで減少した。
こうした減少の主な理由としては、回答者の51.6パーセントが失敗を恐れていると述べており、王国は今後3年以内の起業計画があるとしている回答者数で、世界ランキング第6位となった。
起業したいと思っている人々のうち、90パーセントはこのパンデミックの結果として、自らの事業開始の日を遅らせたと答えており、イタリアだけが事業開始を遅らせた人数でこの90パーセントを上回っていた。
サウジの起業家にとっての好材料は、王国の資金調達実績だ。サウジアラビアは、資金調達実績のカテゴリーで6ポイントを獲得して、2019年の5ポイントから上昇し、全世界で第3位となった。
このことは、王国の銀行と金融機関により、サウジアラビアで2020年に中小企業(SMEs)への融資額が急増したことで実証されている。
1月後半にサウジ通貨庁(SAMA)が発表した数字は、2020年第三四半期のSMEsへの融資総額は、1,762億サウジ・リヤル(469億9,000万ドル)で、2019年第三四半期の1,150億サウジ・リヤルと、2018年第三四半期の1,067億サウジ・リヤルからは増額したことを示していた。
2019年に融資総額は、8.3パーセント増加したが、2020年には52.4パーセントも急増した。SAMAが分類した4つの企業カテゴリーの中で、融資額を最大限増額されたカテゴリーは、従業員が5人に満たない企業に分類される零細企業であり、こうした企業への融資総額は89パーセントも増加した。
こうした結果にコメントして、サウジアラムコの起業家部門、Wa’edのマネージングディレクター、ワシム・バスラウィ氏がアラブニュースに次のように語った。「2020年には、Wa’edでも融資、ベンチャー・キャピタル、インキュベーションサービスへの需要が高まりました。需要があったのです。私たちは自分たちの起業家たちに全幅の信用と信頼を寄せており、王国経済の重大な隔たりを埋め、経済的多様化を促進する新たな発想・ソリューション・製品を支えることに深く関わっているので、このようなことをしているのです」
また、バスラウィ氏はSMEsによる資金調達の高まる需要に応じて、Wa’edが今後3年間で取引量を倍増させる計画があることも正式発表していた。
また、GEMの調査では、起業家を支援したことのある成人がサウジアラビアには高い割合でおり、10人中1人が新興企業に個人的に資金援助したことを明らかにしていることが判った。これと比較して、その他の多くの国々では20人中1人だ。サウジの成人による平均投資額は、6,000ドルだ。
5月に、毎月発表さるIHS マークイットの購買担当者景気指数の調査では、非石油民間部門が3カ月間当たり、最も速いペースで景気回復を促進しており、王国の企業も5カ月ぶりに職員の数を急増させたことが明らかになった。
この調査結果は、サウジの成人の9.4パーセントが今後5年以内に6人以上の従業員を雇用する計画だと答え、調査対象となった全ての国々の中で、この割合が屈指の高い率であることを示すGEMの調査結果を裏付けるものとなっている。