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サル痘はサウジアラビアの脅威か?

(SPA)
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07 Aug 2022 05:08:19 GMT9
07 Aug 2022 05:08:19 GMT9
  • 中東呼吸器症候群(MERS)と新型コロナウイルスの流行に対する政府の対応の成功体験のおかげで、サウジアラビアでは健康上の脅威を撃退できる態勢が整っている
  • 効果的な監視、封じ込め、予防戦略、低い感染率という利点がある

ラワン・ラドワン

ジェッダ:欧州や米州の保健当局の多くが、サル痘を公衆衛生上の緊急事態であると宣言し、その感染拡大に警鐘を鳴らしている。

一方、サウジアラビアでは、3人の患者が確認されただけで、サル痘への対応はより控えめだ。

サウジアラビアの専門家によると、同国が抑制的なアプローチをとる理由は、過去の感染症発生時の対応により、監視・検知・予防の手段が確立されていること、地域的に感染率が極めて低いことなどが挙げられるという。

サウジアラビアの医師、ナワフ・アルバリ博士は、アラブニュースに対し、「特に湾岸地域とサウジアラビアでは、増加する症例を記録し、それらを検出するための厳格な取り組みを行うために力が注がれ、サル痘の蔓延を防ぎ、医学的見地からただちに治療を行えるように、正しい予防策と治療法がきちんと講じられてきた」と説明する。

「各国は、国境で適切な監視の基準を設定し、スクリーニングを増やし、国境内外の診断能力を高める必要がある」と付け加えた。

かつては比較的稀な病気であったサル痘は、1970年代以降、中央・西アフリカの数カ国に常在し、過去40年の間に感染例が100を超えない程度の流行が偶発的に生じてきた。

この病気にかかった人は、性器や肛門とそれらの周辺、あるいは手足、胸、顔、口などの部位に発疹が出やすい傾向がある。

発疹は、かさぶたなどのいくつかの段階を経て治癒する。最初はニキビや水疱のように見えることがあり、痛みやかゆみを伴うこともある。

その他の症状としては、発熱、悪寒、リンパ節の腫れ、疲労感、筋肉痛、背中の痛み、頭痛、喉の痛み、鼻づまり、咳などがある。

これらの症状は、通常、サル痘ウイルスに感染してから3週間以内に始まり、通常2〜4週間持続する。

5月以降、欧州、北米、その他の地域で数十人の感染者が発見され、世界の感染者数は22,000の大台を突破した。

世界保健機関(WHO)は7月23日、サル痘を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に相当すると宣言した。現在までに、ナイジェリアとコンゴを中心に、アフリカでは少なくとも75人のサル痘の疑いによる死者が出ている。

7月29日、ブラジルとスペインはともに、アフリカ以外で初となる、サル痘による死亡例を発表した。スペインは翌日に2人目の死亡を報告し、インドは8月1日に最初の死亡を報告した。

サウジアラビアでは、ヨーロッパから帰国した乗客に間で、わずか3例が検出されたのみである。

地域別では、UAEで16例、カタールで2例が確認されており、世界の他の地域に比べて感染拡大がかなり緩やかであることを示している。

サル痘は、動物や人、汚染された物質からサル痘ウイルスに接触することで感染する。

皮膚との接触によって広がることが多く、すべてではないが、多くの場合、男性同士の性的接触で広がる。

アルバリ博士は、「感染経路は、肌と肌の接触、あるいは、汗などの体液との接触、性器や陰部のような局部との接触だ」と説明する。

「このような接触や親密な接触は、(湾岸地域では)それほど一般的ではない。存在しないわけではないが、それほど一般的ではない」と付け加えた。

リヤドのキング・サウード・ビン・アブドルアジーズ健康科学大学で感染症学助教授を務めるアブドルアジーズ・アル・アンガリ博士は、WHOはサル痘を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」であると宣言したが、まだパンデミックには至っていないと指摘する。

「ウイルスの感染経路を考慮すると、感染率の広がりは遅く、限定的だ」と、同博士はアラブニュースに語った。

オッズ比(2つの事象の関連の強さを定量的に表す統計値)を算出するためには、十分な数の症例を検討する必要がある。現在までのところ、結論を出すにはサウジアラビアでの症例数が少なすぎる。

「アンケート調査(人口統計データ、病歴、習慣、旅行情報など)など、症例に関するより詳細な情報が必要だ」とアル・アンガリ博士は説明する。

サウジアラビアをはじめとするいくつかの国は、こうしたリアルタイムのデータを収集し、蔓延を防ぐために必要な措置をとっている。これは、過去のウイルス感染症のアウトブレイクから学んだ教訓だ。

2012年に、MERSコロナウイルスによる中東呼吸器症候群の最初の患者がサウジアラビアで確認された。

ヒトは感染したヒトコブラクダに直接または間接的に接触することで感染することが研究で分かっているが、正確な感染経路はいまだに不明だ。

この経験から、サウジアラビアは検出と封じ込めのための戦略とインフラの整備を進め、2020年に新型コロナウイルスが発生した時に即座に対応した。

保健省は指令センターを立ち上げ、サウジアラビア疾病管理予防センターの設立を加速させた。

「私たちの地域でのMERSコロナウイルスの経験は、痛みを伴う特殊なもので、2013年から2015年にかけて、保健当局は疾病予防、封鎖、市場やラクダに関連する特定の商業活動の閉鎖の重要性を理解した」とアルバリ博士は解説する。

「したがって、疾病管理に関しては早期介入の有効性を理解している。私たちは、そのような能力と世界の医療システムに対する危機感を身につけてきた」と同博士は説明を加えた。

アル・アンガリ博士は、早期発見と記録の重要性を改めて強調し、「世界の医療システムは、最近のパンデミックの結果として、データ収集、監視、追跡システムにおいて大きな発展を遂げた」と述べる。

「これと共に、新たな集団にウイルスが持ち込まれるのを防ぐためには、接触者の追跡が必須だ」と述べ、「現時点では必要ないかもしれないが、『タワッカルナ』と呼ばれるアプリのようなシステムの使用は、ある時点で検討されるかもしれない」とアル・アンガリ博士は指摘する。

サウジアラビアのデータ・人工知能庁は、新型コロナウイルスに立ち向かう政府の取り組みを支援するためにコロナ対策アプリ「タワッカルナ」を開発し、ロックダウンが実施されている状況で自宅からの外出を許可するプロセスを管理し、ウイルスが広がるのを抑えるのに貢献した。

パンデミックに対する組織レジリエンスと革新的な対応が評価され、同アプリは6月、国連の2022年公共サービス賞を受賞した。

新型コロナウイルスへの規制緩和後、旅行需要が急増する中、アル・アンガリ博士は入国における監視の重要性を強調する。

「(サル痘)ウイルスはヒトからヒトへ感染するため、必要な対策をすべて講じる必要がある」と同博士は指摘し、「サーマルカメラの設置は、この病気だけでなく、今後発生するすべての病気に対して常に必要であり、動物由来感染症を防ぐためには、定期的に動物と接触している人の無作為の健康診断が重要となる」と説明する。

新型コロナウイルスのパンデミック初期と同様、空港の到着ロビーに設置された赤外線カメラは、症候監視プロセス(健康関連のデータを収集、分析、解釈し、健康脅威の早期警告を提供するプロセス)の不可欠な部分となっている。

「カメラが病気の症状(体温の上昇など)を検出すると、サウジアラビアの予防措置の一環として、その患者は空港で隔離され、患者と接触した可能性のある他の人々も検査を受けなければならない」とアルバリ博士は解説する。

「こうして感染者が発見され、その後調査が開始されたが、現在まで他の感染者は発見されていない」と説明を加えた。

アルバリ博士は、監視だけでなく、サル痘の感染が多いとされる国へ向かう旅行者に対し、保健当局は十分な情報とガイドラインを提供しなければならないとも指摘する。

「新型コロナウイルスの大流行から学んだ主な教訓は、ウイルスと自分自身を守る方法に関する地域社会の意識の高まりだ」と同博士は指摘する。

「サウジアラビアではほとんど感染者は出ていないが、今回の大流行にも同じ経験則が適用できる。保健当局による透明性の高いコミュニケーション戦略により、防疫意識はさらに高まり、将来の大流行から地域社会をさらに保護することになるだろう」と見解を示した。

米国、英国、デンマーク、スペイン、ドイツ、フランス、カナダなどでサル痘ワクチンの接種が開始されている。

しかし、子どもや高齢者、免疫不全者といった最も弱い立場の人々を守るために必要でない限り、サウジアラビアで接種が実施されることはないだろう。

「ワクチンの導入の可能性はある」とアル・アンガリ博士は言うが、「しかし、少なくとも(この地域では)現時点で脅威ではないため、すぐにワクチン接種が行われると思わない」と見通しを述べた。

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