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AIが法廷に登場する日が来る。しかし、人間の裁判官が常にコントロールする

「人工知能(AI)の法的側面」は、リヤドのリッツカールトンで開催されている「正義に関する国際会議」の第3セッションのテーマである。(Twitter @MojKsa)
「人工知能(AI)の法的側面」は、リヤドのリッツカールトンで開催されている「正義に関する国際会議」の第3セッションのテーマである。(Twitter @MojKsa)
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06 Mar 2023 09:03:02 GMT9
06 Mar 2023 09:03:02 GMT9
  • テクノロジー専門家がリヤドの会議で、法システムにおける人工知能活用の長所と短所を議論した

スラファ・アルクナイジ

リヤド: リヤドで開催されたイベントで専門家は、人工知能はまもなく法廷における有用なツールになり得るとはいえ、アルゴリズムが人間に判決を下すのはまだ遠い将来のことだと述べた。

リッツカールトンで開催されている司法に関する国際会議に出席した専門家たちは、「人工知能の法的側面」と題した討論会で、テクノロジーをいかに安全に運用できるかについて議論した。

AI技術コンサルタント会社のディレクターであるアンドレア・イソニ氏はアラブニュースに対し、AIを有効に活用する方法はたくさんあるだろうが、考慮すべき落とし穴もあると述べた。

ハーバード大学法科大学院、法とリーダーシップのローレンス・レッシグ教授(Twitter @MojKsa)

「書類の準備、大量の書類の読破を必要とする情報の読み取り、書類からの情報の抽出、これらのプロセスはすべて低レベルのセキュリティ問題で、AIの効率性を利用でき(る可能性があり)ます」と同氏は述べた。  

「AIに人を裁かせるような法体系はまだ整っていません。何かの試験でさえ、もしAIが採点したら誰が責任を取るのでしょうか。法律や裁判でも同じです」

「たとえテクノロジーが整っていも、誰が責任を取るかを決定するには、法体系の大きな変化が必要です。AIが間違いを犯した場合に、誰かが責任を追う必要があるのです」

サリー大学のリアン・アボット教授。(Twitter @MojKsa)

自身のコンサルタント会社のチーフAIオフィサーでもあるイソニ氏は、多くの国の司法制度は裁判の迅速化のためにAIに目を向けるべきだと述べた。

セッションでは、スピーカーたちが法手続きにおけるAI活用のメリットと課題について議論した。 

ハーバード大学法科大学院、法とリーダーシップのローレンス・レッシグ教授は、カリフォルニア州のAIが、同州の司法試験に合格できる法律知識を集めていたことに言及した。 

セッションのモデレーターは、AI テクノロジーのディレクター兼チーフAIオフィサーのアンドレア・イソニ氏だった。(Twitter @MojKsa)

「10年以内に、このテクノロジーによって弁護士の仕事の75パーセントは自動化が可能になると考えています。今すべき最も重要なことは、人間が確実にコントロールを維持するようにすることです」と同氏は述べた。

「システムは、弁護士の仕事の大部分を自動化するとはいえ、判断と公正を担う役割と、テクノロジーによって不当な扱いを受けた人がその間違いを修正する機会を、取り分けておかなければ(なりません)」

ケンブリッジ大学法学部の博士課程に在籍するクリストファー・マルコウ氏は、AIは法律の文言を知ってはいても、その「精神」を捉えることはできないと考えている。

「法の精神というのは、非常に柔らかな、グレーゾーンにあるものです。それは解釈を必要とする部分、文化的な個人が、法律の単なる文言ではなく、その社会的な意図や、達成しようとしていることを理解するよう助ける必要のある部分なのです」と、マルコウ氏は聴衆に語った。

サリー大学のリアン・アボット教授は、各国政府はAIの適切な規制を検討すべきだと述べた。

「ある質問に人間と同じように良い答えを出せるAIが存在するかもしれません。その場合、規制システムがどう対処すべきかを考慮しなければなりません」とアボット教授は述べた。

「法律が人間と機械をその行動において異なるものとして扱うとき、それは時に人間や社会の福祉にマイナスの結果をもたらします」

ジョージタウン大学ローセンターのスコット・K・ギンズバーグ教授、アヌパム・チャンダー氏は、機械学習型AIは、それが学習する材料のために、社会にすでに蔓延している偏見を悪化させやすいことが示されていると警告した。 

同教授はアマゾンのAI採用システムの例を挙げ、同社が後にそのシステムを破棄したのは、与えられた材料のせいで男性の応募者を優遇することを学習してしまったからだと述べた。

「AIは女性よりも男性を優遇していたのですが、その理由は、与えられた過去10年の在籍者データの多くが男性で、女性が持ち込みうる特性を適切に表せていなかったからでした」

アボット教授は、AIは言語や、音楽や芸術の製作など多くの分野で進歩しているが、AIが人間の関与なしに新技術を発明した場合、法律がグレーゾーンに陥ると述べた。

「ある発明に人間の発明者がいなければ、特許を取得できません。製薬会社が非常に高度なAIを使って新型コロナ感染症の新しい治療法を見つけることができたとしても、その薬の特許を取得できず、商品化の適切なインセンティブを得られません」とアボット教授は述べた。

これまでのところ、サウジアラビアと南アフリカでは特許申請が受理され、いくつかの国では保留状態になっている。 

「司法省と世界中の規制当局が考慮すべきことがあります。機械が人間のように振る舞う場合、我々はどうすればよいのでしょうか?機械が社会に有用な振る舞いをするよう促すにはどうすればよいのでしょうか?」とアボット教授は付け加えた。

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