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リヤド航空はサウジの首都を旅行・物流の主要ハブに変える

リヤドに新たに建設される総面積57平方キロメートルのキング・サルマン国際空港は350万トンの貨物取扱能力を備え、2030年までに年間1億2000万人、2050年までに年間1億8500万人の旅行者を収容する予定だ。(提供写真)
リヤドに新たに建設される総面積57平方キロメートルのキング・サルマン国際空港は350万トンの貨物取扱能力を備え、2030年までに年間1億2000万人、2050年までに年間1億8500万人の旅行者を収容する予定だ。(提供写真)
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14 Mar 2023 01:03:07 GMT9
14 Mar 2023 01:03:07 GMT9
  • この新しい航空会社はサウジアラビアの非石油GDPに200億ドル寄与し20万人以上の雇用を創出すると見込まれている
  • 今回の発表に先立って、2030年までに年間旅客数1億2000万人を見込むキング・サルマン国際空港の建設が発表されていた

モハメド・アル・キナニ

ジェッダ:サウジアラビアは新しい国営航空会社を設立すると発表した。観光促進や経済多角化を図るとともに、同国を地域における旅行・物流の主要ハブにし、航空産業を拡大するのが狙いだ。

アジア、アフリカ、欧州の三大陸の間というサウジアラビアの地理的位置のおかげで、リヤドは貿易や民間航空旅行のための理想的な玄関口となっている。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は12日、第2の国営航空会社としてリヤド航空(RIA)を設立し、世界中の旅行者にサウジアラビアのリゾート地や観光名所を訪れたり中東地域を探索したりする機会を提供すると発表した。

RIAはサウジアラビアの非石油GDPに200億ドル寄与し、20万人以上の雇用を創出し、同国の国内および世界における航空エコシステムを形成すると見込まれている。RIAの設立により、同国は2030年までに年間1億人の旅行者を誘致するという目標に一歩近づきそうだ。

推定6200億ドル以上の総資産を誇る世界最大級の政府系ファンドであるサウジアラビア公的投資基金(PIF)が100%出資するこの新航空会社は、同国が主要な旅行先として急速に浮上しつつある中で設立されることになる。

PIFによる航空部門への最新の投資の目的は、サウジビジョン2030の目標を達成するためにこの産業の財務的持続可能性を向上させ国際競争力を強化することだ。(提供写真)

PIFは声明の中で次のように述べた。「リヤド航空は、最先端技術を備えた高性能航空機の全てに世界最高の持続可能性基準・安全基準を採用する世界クラスの航空会社となる」

RIAの設立は、より多くの旅行者がサウジアラビアを訪れることができるようにするとともに、航空輸送の選択肢を増やし、貨物輸送能力を高め、ひいては国際旅客輸送を増やすことで、サウジ国家運輸物流戦略やサウジ国家観光戦略を促進するものだと、声明は続けている。

RIAの設立は、国の収入源を炭化水素以外に多角化するべく有望な国内部門が秘めた可能性を解き放つというPIFの戦略に沿ったものだ。

国の経済・社会改革アジェンダであるビジョン2030のもと、サウジアラビアは2030年までに年間旅客数を3倍以上の3億3000万人にし、年間貨物取扱量を最大500万トンにすることを目指している。

皇太子殿下は昨年11月、リヤドに新たに建設されるキング・サルマン国際空港の基本計画を発表した。総面積57平方キロメートルとなる同空港は350万トンの貨物取扱能力を備え、2030年までに年間1億2000万人、2050年までに年間1億8500万人の旅行者を収容する予定だ。リヤドの既存の空港の旅客収容能力は年間約3500万人である。

サウジアラビアが2030年までに年間1億人の旅行者を誘致する目標を掲げる中、リヤド航空は同国がその目標の実現に一歩近づく助けとなりそうだ。

2021年6月に国家運輸物流戦略が立ち上げられた際、皇太子殿下は、サウジアラビアは乗り継ぎ旅客数に関して世界5位になり、就航する目的地を世界250都市以上に増やし、新しい国営航空会社を設立することを目指していると述べていた。

RIAとキング・サルマン国際空港は、サウジビジョン2030の目標を達成するために航空産業の財務的持続可能性を向上させ国際競争力を強化することを目的としたPIFによる航空部門への最新の投資の一環だ。

サウジ経済協会のメンバーであるアブドゥラー・アル・マグロウス博士によると、新しい航空会社の設立はしばらく前から議論されていたという。

同氏はアラブニュースに対し次のように語る。「新しい航空会社についての議論は2021年に、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下のビジョン2030の一環として国家収入源の石油依存を低減するために始まった」

「これらの積極的な動きは、これらの部門の強化、国内の民間部門とのパートナーシップの構築、ひいては国家経済とその収入源の多角化に貢献するだろう」

サウジアラビアの航空産業に対する投資は、航空部門が新型コロナパンデミックの大混乱の中から回復しつつあるタイミングで行われている。コロナ禍ではロックダウンや渡航制限によって民間航空旅行が停止し、航空会社は数十億ドルの減収に見舞われた。

国際航空運送協会によると、2023年の世界の航空産業の純利益は僅かに黒字転換し47億ドルとなる(純利益率は0.6%)見通しだという。純利益が264億ドルとなった2019年以来の黒字となる。

2023年の世界の旅客収益は5220億ドルと見込まれている。旅客数は2019年比で85.5%まで回復し、2019年以来初めて40億人を超えて42億人に達すると予想されている。

一方、2023年の航空貨物収益については下振れ圧力の高まりが見込まれ、2022年比で520億ドル少ない(2019年比では486億ドル多い)1494億ドルと予測されている。

中東の航空会社は2023年に2億6800万ドルの利益を計上すると予想されている。旅客数は23.4%の伸びを示し収容能力の成長率21.2%を上回ると見込まれており、さらなる投資の必要性が示されている。

国際航空運送協会は最近発表した年次評価の中で次のように述べている。「中東地域はウクライナ戦争に起因する一定のルート変更から利益を得ている。また、国際旅行市場の再開に伴い、地域の広範なグローバルネットワークを利用した旅行の繰延需要の高まりからさらに大きな利益を得ている」

サウジアラビアのサレハ・アル・ジャセル運輸物流相は、RIAの設立は航空輸送の未来の新たな夜明けだと述べた。

同大臣は声明の中で次のように述べた。「サウジアラビアは我が国の航空史上最大の航空プロジェクトを数多く目の当たりにしている」

そのようなプロジェクトは、サウジアラビアをアジア、アフリカ、欧州を結ぶハブに変えるために皇太子殿下が立ち上げた国家運輸物流戦略に沿って、世界の航空・物流のハブとしての同国の地位を強化するだろう。

国の経済・社会改革アジェンダのもと、サウジアラビアは2030年までに年間旅客数を3倍以上の3億3000万人にすることを目指している。(提供写真)

現時点で国内最多の旅客数を誇る国際空港は紅海沿岸の都市ジェッダにあり、ハッジやウムラの巡礼を行うイスラム教徒を年間数百万人受け入れている。

アル・ジャセル大臣はアル・アラビーヤに対し、RIAはジェッダを拠点とするサウジアラビアのもう一つの航空会社サウディアを補完するものになると説明した。

同大臣は次のように語った。「リヤド航空はリヤドと世界をつなぐ。一方、キング・アブドルアジーズ国際空港を拠点とするサウディアはジェッダと世界をつなぐことに重点を置く。そうすることで、国家運輸物流戦略の実行手順は我が国の民間航空のそれと調和するものとなる」

同大臣は、サウジの各空港を拡張する運輸物流省の計画に対するRIA設立の位置づけについてコメントする中で、キング・サルマン国際空港が世界最大級の空港になることに言及した。

「リヤドのキング・ハーリド国際空港のターミナル3と4がオープンした。これらの拡張計画はキング・サルマン国際空港の完全開業まで続く予定だ」

新たにリヤド航空CEOに指名された、運輸・物流において40年の経験を持つ航空業界ベテランのトニー・ダグラス氏は、アシャルク・ナウに登場した際に、RIA設立について「商用航空史に残る日だ」と述べた。

リヤド航空のトニー・ダグラスCEO。(提供写真)

「皇太子殿下が新たな国営航空会社の設立を発表した。素晴らしいことだ。我々のリヤド航空はサウジアラビア王国の首都と明らかにつながっているからだ」と語る同氏は、同航空は「2年以内にサービスの提供を開始する」と付け加えた。

「おそらく近々、最初の航空機の発注の発表があるだろう。それが、この新しい国営航空会社の背後にある規模と意図を伝えることになると思う。2025年の早い時期に最初のワイドボディ長距離機が到着する見込みだ」

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