ジェッダ:2回目となる民間主導の国際宇宙ステーション(ISS)滞在ミッションにおいて、ISSで8日間にわたる科学調査を終えたサウジアラビア人宇宙飛行士2名を乗せた宇宙船が5月31日にフロリダ州沖に無事着水した。
2人を乗せたスペースXの宇宙船「クルードラゴン」は、ISSから12時間の飛行の後、猛烈な熱が発生する大気圏再突入を経て、パラシュートを展開してメキシコ湾へ向けて降下し、フロリダ州パナマシティ沖に無事着水した。
この着水の模様は、スペースXと今回のミッションを運営したAxiom Spaceによる共同Webキャストで生中継された。
ミッションスペシャリストのアリ・アル・カルニ氏とラヤナ・バルナウィ氏は、ISSでの8日間の滞在の一環として、サウジアラビアの学校の子供たちが参加する実験に参加した。
帰還した宇宙船のドアが開くと、アラブ人女性として初めて地球周回軌道を飛行したラヤナ・バルナウィ氏は、カメラに向かって親指を立ててみせた。
4人の宇宙飛行士は宇宙船回収チームに助けられて宇宙船から搬出された。その後、ヘリコプターに乗り込み、家族が待つケープ・カナベラルへ移動するための飛行機が待つ地点へ向けて飛び立った。
この着水により、ヒューストンに本社を置くAxiom Spaceが全額民間資本で企画、装備、訓練を行った2回目のISS滞在ミッションが完了した。Axiomは米航空宇宙局(NASA)の元ISSプログラムマネージャーが率いる創業7年のベンチャー企業だ。
サウジアラビア初の女性宇宙飛行士となった幹細胞研究者のラヤナ・バルナウィ氏と、戦闘機パイロットのアリ・アル・カルニ氏の2人の宇宙飛行士のために、サウジアラビア政府は数百万ドルの費用を負担した。
今回のISS滞在ミッション「Axiom Misson 2(Ax-2)」のクルーを率いたのは、元NASA宇宙飛行士のペギー・ウィットソン氏(63歳)だ。同氏は3回の長期ISS滞在ミッション(10回の船外活動を含む)に参加しており、米国人最長となる累積宇宙滞在日数665日を記録している。
Ax-2ミッションでは最先端の技術を活用して任務が遂行され、2人のサウジアラビア人宇宙飛行士は科学、技術、工学、芸術、数学の分野でグローバルアンバサダーとして活躍した。
https://twitter.com/rbalsaud/status/1663748424468951040?s=20
厳密に言えば、バルナウィ氏は宇宙に行った最初のアラブ人女性ではないと主張する人もいる。
確かに、2022年8月にジェフ・ベゾス氏の宇宙観光ベンチャー「ブルーオリジン」が実施した地球周回軌道に入らない短時間のサブオービタル飛行(弾道飛行)で、サラ・サブリー氏がアラブ人女性、そしてエジプト人として初めて宇宙へ飛び立った。
しかし、宇宙へ飛び立ち、地球周回軌道を飛行したのはバルナウィ氏が初めてだ。
アル・カルニ氏とバルナウィ氏のISS滞在は、アラブ首長国連邦のISS第69次長期滞在クルーであるスルタン・アルネヤディ氏のISS滞在と重なったことでも注目され、アラブ圏の宇宙飛行士3人が同時にISSに滞在した初めての例となった。
29日のミッション最後のお別れ会では、Ax-2のクルーは宇宙滞在を振り返り、感極まって涙した。
バルナウィ氏は「どんな物語にも終わりがありますが、これは私たちの国や地域にとって新たな時代の始まりに過ぎません」と語った。
バルナウィ氏とともにサウジアラビア人として初めてISSに滞在したアル・カルニ氏は、「今日は私たちの重要なミッションの最後の日です。私たちはすべての任務を達成し、このことは将来、私たちの国や国民に利益をもたらすでしょう」と語った。
両宇宙飛行士は、微小重力下での14の先駆的な実験を完了した。そのうちの3つの実験は教育や動機付けを目的としたもので、サウジアラビア全国の47校から、12,000人の生徒が参加した。
宇宙飛行士らとともに、宇宙船はNASAのハードウェアと20を超えるさまざまな実験で得られたデータを含む貨物を積んで地球に帰還した。
今回の宇宙飛行では、5月21日にNASAのケネディ宇宙センターから宇宙船が打ち上げられ、5月22日にISSとドッキングした。
5月21日に打ち上げを行ったISS滞在ミッションAx-2は、NASAが地球低軌道の商業利用を拡大しようとする中、税金ではなく民間投資と裕福な搭乗者から資金調達を行っている一連の宇宙探査の最新ミッションである。
2022年4月に初めて4人の宇宙飛行士チームをISSに派遣したAxiomは、ISSに初となる商用スペースを増設する契約をNASAと締結したことも明らかにしている。
ツイッターを所有し、電気自動車メーカー、テスラの最高経営責任者(CEO)を務めるイーロン・マスク氏が設立したカリフォルニアに本社を置くスペースXは、Axiomのクルーが搭乗したクルードラゴン宇宙船と、ISSへ向けた打ち上げ時にそれを搭載したロケット「ファルコン9」を提供した。
NASAは、フロリダ州ケープ・カナベラルのケネディ宇宙センターにある発射台を提供し、地球上空約400kmを周回するISSに滞在中のAxiomクルーの責任を負った。
(With agencies)