
ドバイ:第15回ASDA’A BCWアラブ・ユース・サーベイによると、中東と北アフリカ(MENA)に住むアラブの若者は現在、自国に見習ってほしい国のトップ5のひとつにサウジアラビアを挙げている。
ASDA’A BCWアラブ・ユース・サーベイは、この種の調査としては最大規模のもので、中東全域と南スーダンに住む18歳から24歳の男女の意見、希望、不安について調査した。
ASDA’A BCWの創設者で社長のスニール・ジョン氏は、「今年調査対象となった若者は、アラブの春やダーイシュの盛衰といった、この地域の重要な出来事を経験していないZ世代が中心です」と言う。
今年の報告書のタイトルは「新たな現実を生きる」だ。ジョン氏はアラブニュースに、「それはある意味で彼ら(Z世代)が、アラブ世界が過去に経験したこととは大きく異なる、新しい現実を生きているからです」と語った。
今週発表された調査の第1部では、「私のグローバル・シチズンシップ」というテーマに焦点を当て、地政学、地域紛争、モデル国家に関するアラブの若者の見解を探っている。
今年は、2017年の調査開始以来初めて、アラブの若者が自国に見習ってほしい国トップ5にサウジアラビアがランクインした。「自国に最も見習ってほしい国があるとすれば、世界のどの国ですか?」という質問に対して、11%がサウジアラビアと回答し、イギリスを挙げた若者たちと同じ割合だった。
1位はUAE(アラブ首長国連邦)の22%、2位はアメリカ(19%)、3位はカナダ(16%)、4位はカタール(15%)だった。
トップ5に湾岸諸国が3か国ランクインしたのも2014年以来初のことで、UAEのエキスポ2020やカタールで開催されたFIFAワールドカップ、サウジアラビアのビジョン2030といったイベントの影響が見られる。
サウジアラビアの経済・社会改革について質問したところ、10人中9人が、新卒者、卒業生たちが民間企業でキャリアを積むことを奨励する政策を支持しており、91%が、経済全体における民間企業の役割の拡大を支持すると回答した。
また、経済の多様化と雇用創出の促進を目指す、サウジアラビア国内の観光やレジャーのさまざまな「ギガ・プロジェクト」については、96%もの若者たちが賛成を表明した。
サウジアラビアの若者はまた、同国の女性重視のイニシアチブを支持している。89%が、女性の運転や舞台芸術への参加を認める法律など、女性のより積極的な社会進出を奨励する政策を支持すると回答し、86%が女性の労働力への参加に賛成している。
アラブの若者は国際政治や地域政治についても強い意見を持っていた。調査によると、アラブの若者の3分の2近くがイラン、イスラエル、西側諸国間の緊張が軍事衝突につながると考えており、レバントではそう考える若者の割合は72%におよんだ。
こうした緊張が外交的手段によって解決されると考えているのはアラブの若者の33%のみで、とりわけ、「核保有国が戦争に関与することが極めて危険になり得る」事実を考えると、これは「非常に驚くべきこと」だとジョン氏は述べた。
さらに、3分の1以上が、イランは内乱に向かっており(16%)、軍事クーデターの可能性もある(20%)と答えている。イランが神権政治から世俗政治に移行すると考えているのはわずか7%である。
パレスチナとイスラエルの紛争が今後5年以内に解決される見通しについては、アラブの若者はおおむね悲観的なようだ。GCC(湾岸協力会議)加盟国の若者の方がより楽観的で、60%が同期間内に紛争が解決する可能性が高いと考えているが、レバントの69%、北アフリカの57%の若者が、紛争解決の可能性は低いと考えている。
調査ではまた、アラブの若者の大半がイスラエルとの関係正常化に反対していることが明らかになった。例外として、UAE(UAE)の75%、エジプトの73%、モロッコの50%、そして南スーダンの47%が、自国政府の決定を支持していた。
しかし、シリア、イエメン、チュニジア、クウェートの若者の80%以上がイスラエルとの関係正常化に反対しており、この割合は、サウジアラビア(98%)、レバノン(98%)、リビア(99%)、イラク(100%)ではさらに高い。
それでもジョン氏は、ほんの数年前と比較して「かなり劇的な改善」が見られると述べた。
今年の調査のもうひとつ重要な点は、アラブ諸国の同盟国として、アメリカとイギリスの代わりにトルコと中国が選ばれたことだ。
今年の非アラブ諸国の同盟国のトップは、トルコ(82%)、中国(80%)、イギリス(79%)、ドイツ(78%)、フランス(74%)である。
アメリカは同盟国としてインドの次になり、7位にダウンした。
とはいえ、66%が今後5年間にアメリカはロシアよりも、62%が中国よりも強い同盟関係になると答えた。
「アメリカの影響力を遠ざけたいという願いは見られません」とジョン氏は言う。アラブの若者の33%が、アラブ世界に対して最も影響力を行使しているのはアメリカであると考えており、UAE(11%)、サウジアラビア(10%)、イスラエル(10%)、ロシア(8%)、イラン(5%)と続く。
しかし、これは必ずしも、アラブの若者がアメリカの影響が続くことを望んでいるという意味ではない。
「アメリカは(まだ)積極的に関与しているとはいえ、ここしばらくは関与の度合いを減らしています」とジョン氏は付け加えた。
調査では、米国がこの地域に関与しなくなることについて感想を尋ねたところ、アラブの若者の過半数(61%)が賛成と答えた。
アラブ諸国の中ではカタールが同盟国のトップとなり、92%が自国の「強い同盟関係にある」、もしくは「ある程度同盟関係にある」と回答し、クウェート(91%)、エジプト(89%)、UAE(88%)と続いた。
「カタールがトップに躍り出たのは驚きで、私たちはこれを、”ワールドカップ効果”と呼んでいます」とジョン氏は述べた。
しかし、全体的には、サウジアラビアが最も強い同盟国としてランクされている。54%が同国と「強い同盟関係にある」と回答し、合計86%が「強い同盟関係にある」、もしくは「ある程度の同盟関係にある」と考えている。
「明らかに、サウジアラビアの若者の間には楽観的なムードが漂っており、私たちの最新のアラブ・ユース・サーベイもそれを反映しています」とジョン氏は語った。
同氏は次のように付け加えた。「サウジアラビア国外での同国に対する認識も改善しており、これはもうひとつの顕著な傾向です。私たちの最新の調査によると、この地域の若者たちは、サウジアラビアで進行中の変化を、自分たちの国が見習うべき成功モデルと考えているようです」