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サウジアラビアのアーティストたちはいかにして職人技を通して文化遺産を取り入れているか

ハナ・アルミリ氏による『Echoes of Alienation』。(提供)
ハナ・アルミリ氏による『Echoes of Alienation』。(提供)
ハナ・アルミリ氏による『Through the earth, I come back home』。(提供)
ハナ・アルミリ氏による『Through the earth, I come back home』。(提供)
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22 Sep 2023 10:09:39 GMT9
22 Sep 2023 10:09:39 GMT9
  • 織物の芸術、サドゥ織りはユネスコの無形遺産に登録されている
  • サウジアラビアの職人技と一族の遺産は、織物や創作物を通して継承されている

スラファ・アルクナイジ

リヤド:サウジアラビアの職人技と一族の遺産は、織物や創作物を通して継承されている。 

現代織物職人のハナ・アルミリ氏は、サドゥ織りでパターンを探求し、伝統的な工夫を凝らした傑作を生み出している。 

アルミリ氏はアラブニュースに対し次のように語った。「絶え間なく進化する世界において、芸術性を探求しながら伝統を積極的に守っている数少ない人たちの一員でいるということは、意味のある貢献だと感じています。それは、伝統の不変の価値と、時間と空間を超越する芸術の能力を証明するものです」 

サドゥ織りは、アラビアの遊牧民族の豊かな文化遺産を芸術的に表現した、古代部族の織物工芸である。 

マルチメディアアーティストとして、また芸術・文化経営のプロフェッショナルとして、アルミリ氏は伝統を存続させることに使命感を感じているという。「私の家族のためだけでなく、何世代にもわたって、形に残るアッサンブラージュを通して歴史を残すことができるのです」 

建築学の学士号取得のため留学していた3年目に、アルミリ氏はやがて自身の学びの道筋を変えることになる啓示を得た。 

アルミリ氏は次のように語った。「私は自分の芸術活動を掘り下げたいと考え、また、私の子ども時代の思い出で常にあった織物の慣習を取り戻したいと思いました。小さい頃、祖母が編み物をしていて、またかぎ針編みも好きだったので、祖母との思い出を取り戻したいと思い、編物の課程を受講することにしました」 

その後、アルミリ氏はテキスタイルの学士号取得へと転向した。 

「学位取得のために自分がやりたいことはこれだと分かっていました。遺産を復活させるという形のものが、私のノスタルジアと癒しを蘇らせることになったのです」と彼女は言った。 

ハナ・アルミリ氏による『Through the earth, I come back home』。(提供)

アルミリ氏が自らのサウジアラビアの伝統について深く掘り下げて研究したのはこの時期だった。 

「私はサウジアラビア人です。留学で海外に行った時、私は疎外感を感じ、故郷、家族、友人、そして故郷での暮らしを恋しく思いました。遠く離れていても、身近に感じたいと思いました。パターンを研究するにしても、サウジアラビアやサドゥ織りに関する本を探すにしても、あるいは現代的なパターンで間接的に作品に取り入れるにしても、それは常に何らかの形で私の作品に存在するのです」と同氏は語った。 

同氏は2019年にカリフォルニア芸術大学を卒業し、テキスタイルの学士号とクリエイティブ・ライティングの副専攻科目を取得した。 

2022年、同氏はイタリアのローマビジネススクールで芸術・文化経営の修士号を取得した。 

トルコ、シリア、クルド、そしてサウジアラビアの系譜を受け継ぐアルミリ氏の生き方は、「アイデンティティについての問い」によって動かされている。 

同氏は次のように語った。「絶え間ない疎外感を探求する中で、私のイデオロギーはアル・ゴルバ(異国の地での疎外感)という言葉を発見し、表現するまでに発達しました。その結果、私の視覚構造は、織り、染め、刺繍、写真の技術を通してノスタルジアを問いかけるものになっています」 

「私のアート活動は研究に基づいており、その中でテキスタイルやアッサンブラージュという物質的文化を通して、影響を受け、復興したアイデンティティの再創造というアイデアを探求しています」と同氏は続けた。 

アルミリ氏によれば、自身の作品は記憶、ノスタルジア、アイデンティティ、感情などが原動力になっているという。 

「こうした要素が常に相まって、自分の遺産についてさらに研究したいという好奇心が生まれ、それに対して詩の作品を書くようになり、最終的にはそれが作品の視覚化につながるのです」と同氏は語った。 

「それは私の心の中にあるものであり、この上なく誇りに思っています。伝統と自分の芸術表現を結びつけることができるということは、本当にやりがいのある体験です。過去に命を吹き込むと同時に、新しくて革新的なものを生み出すようなものなのです」 

織物の芸術であるサドゥ織りは、ユネスコの無形文化遺産に登録されている。 

サウジ遺産委員会はアラブニュースに対し、サウジアラビア文化の保存と普及を目的としたプログラムの立ち上げに尽力していると語った。 

「こうしたプログラムやプロジェクトは、次の3つの価値観や目標を推進するものであります。遺産の重要性に対する国民の意識の向上、規則や規定の確立とライセンスの発行、文化財や遺跡のポートフォリオの保護、およびそれらを効果的に管理することです」と同委員会は語った。 

同委員会は、無形遺産の要素を強調する6つのプロジェクトを発足した。プロジェクトの一つは、ユネスコの無形文化遺産リストに登録申請するための無形文化遺産資料の作成である。 

「こうした観点から、無形文化遺産をその文化的要素とともに保存することの重要性が導き出されるのです。したがって、サウジ遺産委員会は、『サウジ・ビジョン2030』の目標に沿うように、この分野を発展させる戦略に基づいて活動しています」 

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