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伝説の映画監督スパイク・リーがサウジアラビアに戻って来る

28 Feb 2020
米国映画監督、スパイク・リーの代表作『マルコムX』がサウジアラビアの映画館で初めて上映される。(資料提供/ゲッティ)
米国映画監督、スパイク・リーの代表作『マルコムX』がサウジアラビアの映画館で初めて上映される。(資料提供/ゲッティ)
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Updated 29 Feb 2020
28 Feb 2020

ドバイ、ウィリアム・ムラリー

3月13日、紅海国際映画祭の開幕式の一環として、かの有名な米国映画監督、スパイク・リーの代表作『マルコムX』がサウジアラビアで初めて上映される。

この上映はサウジアラビアの映画史では画期的な出来事である。約30年前、この映画は聖なる街メッカで、初めて上映を許可されたドキュメンタリー以外の映画で、かつ、米国映画だったからだ。

2019年に『ブラック・クランズマン』でアカデミー賞をとったリーがこの上映会に出席する予定で、王国の芸術的伝承に加わることを非常に誇りに思っている。

「これまで35mmカメラがメッカに持ち込まれたことはないんだ」 と、私がドバイで主催したパネルトークでリーは話した。「イスラム法高等裁判所での話は長かったが、彼らはマルコムXが誰なのかがわかり、認識したんだ。我々は足を踏み入れることになった。映画を撮るためにイスラム教のクルーを雇用する必要があったんだよ。」

リーは中東とアフリカ全体の伝説的な信仰および文化的人物の人生を扱う名作を撮った。(ゲッティ)

リーは中東とアフリカ全体の伝説的な信仰および文化的人物の人生を扱う名作を撮った。彼がずっと誇りに思っているものだ。彼はいつか作品の撮影のために戻ってきたいと言い添えた。

「『マルコムX』のために我々はメッカにいたんだ。カイロで撮影し、南アフリカで映画を完成させたよ。南アフリアでは偉大なる故ネルソン・マンデラ氏で映画の最後を締めくくっている。私は映画の撮影のために戻ってきたいと心から思っているよ。どんな映画になるかはわからないけど、楽しみにしているんだ」とリーは述べた。

デンゼル・ワシントンは、役にかける熱意でリーを驚かせた。(ゲッティ)

リーは、先に決まっていたカナダ人の監督を説得して身を引かせ、懸命になって〈マルコムX〉プロジェクトへの参加を手にした。リーとリーが関わる前に既に配役されていたデンゼル・ワシントンは、この魂の指導者の人生とその時代をさらに深く掘り下げた。既にリーの友人だったワシントンは役にかける熱意でリーを驚かせた。

「デンゼルのしたことは滅多にないことだ。あの映画を見る度に衝撃を受けるよ」とリーはアラブニュースに話した。「デンゼルはあの役の役作りに一年をかけたんだ。豚肉を食べるのをやめたんだ。断酒もしたよ。アラビア語の祈りも覚えた。コーランを読んでいた。なぜかって?私の見解では、デンゼルは世界で最も知的な俳優だからだよ。人物伝の映画はたくさんあるが、その人物の話し方を真似たり、メイクや衣装で真似たりしても、それは表面的なものだ。彼にはわかっていたんだ。どうにか一年間、この器で取り組んだが—— 俳優なら、その肉体が器だ——その役作りをすれば、マルコムXの魂が自分の肉体に降りてくることを。」

撮影時にワシントンが大舞台でスピーチをしていた一コマは記憶に残るものだ。脚本の台詞が終わってもなお、ワシントンは話し続けたのだ。リーはカメラクルーにフィルムがなくなるまで撮り続けるように指示した。

「デンゼルのしたことは滅多にないことだ。あの映画を見る度に衝撃を受けるよ」とリーはアラブニュースに話した。(ゲッティ)

「フィルムがなくなって、私はカットを叫び、デンゼルのところに歩いて行ったんだ。私は〈大丈夫かい?〉言った。彼は「大丈夫だよ」と。私は「あの言葉は何なんだい?さっきの台詞は?あの演技はどこから来たんだい?」と言ったんだ。「スパイク、わからないよ」と彼。「今言ったばかりのことを覚えていないのか?」と私が言うと、彼は「わからない」と言った。彼は陶酔していたんだ。マルコムの魂が彼の中に入ったんだ。ただし、彼は努力しなければいけなかった。それは偶然の出来事ではないからね」とリーは語った。

リーはまた、紅海国際映画祭の開催中、若くて意欲的なサウジアラビアの映画製作者に対して、マスタークラスを開く予定である。ニューヨーク大学Tisch School of the Artsの教授であるリーにとって、サウジアラビアの映画製作者に教えるのは初めてのことではない。最近、リヤド生まれで、受賞短編映画「Dynya’s Day」の監督であるレイド・アルセマリを指導したことがあるからだ。

今年の始め、アルセマリはアラブニュースにこのように話している。「スパイク・リーのオフィスで自分の短編映画を彼に見てもらい、感想を聞くというのはシュールだったわ。彼は笑ったのよ!彼は楽しんでいたわ。彼は私に次に取り組んでいる作品はどんなものかを尋ねて、いくつかのアイデアに対して感想を言ってくれたの。彼と映画を共有できることはすばらしいことだわ。」

リーはジッダでこれから開催されるセッションで、若き参加者たちに対し、自分の映画愛や芸術形式の技術的手腕の話に加え、自分の好きな人生の教訓をいくつか披露しようとしている。主な教訓の一つは、一夜の成功などないというものだ。

リーはまた、紅海国際映画祭の開催中、若くて意欲的なサウジアラビアの映画製作者に対して、マスタークラスを開く予定である。(ゲッティ)

「努力をしなければいけない」とリーは述べた。「その場しのぎや悪い方へ流れるのはあり得ない。私の授業に参加する学生に話す最も重要なことはこれだ—— 次の成功物語は自分だと思っているのなら、頑張って努力しなければいけない。袖を捲り上げなければいけない。分析したり体裁を整えたりして、ただその辺でぶらぶらしていてはだめだ。少し何かがわかるかもしれないが、長続きはしないよ。」

リーは、スクリーン上でも私生活でも、偏見や差別に真正面から取り組むことで、経歴を積んできた。彼は、歯に衣を着せない活動家として、アラブや周縁コミュ二ティの映画製作者も同じようにするよう、奨励している。

「(アフリカ系アメリカ人は)どのように奴隷制に対処したのか。女性は投票権がない時にどのように対処したのか。障害は常にあるが、突破あるのみだ。そういう状況は有色人種が勝つようにはできていないということがわかっているんだ。それで世の中うまく回っているだろう?一度これに気づいたら、あるいは一般に言われているように、「目覚めた」ら、それは楽なことではないんだ。そのことを知られたくない圧力が自分にかかってくるのはわかるだろう?その否定的な要素をプラスに利用するんだ」とリーは語った。

サウジアラビアの意欲的な映画製作者は、分断の解消のために、自分たちの生活や文化、歴史を世界と共有する手段として映画を利用する必要があるとリーは言う。彼の意見では、固定観念や誤解と闘うためにはこれが最善の方法である。

「自分の物語を語ろう。真実は自分がどのように見るかなんだ。一つの映画が固定観念や誤解のイメージを葬り去ることはないけれど、始めなければいけない。その物語を語るためには、他の人たちの熱意や献身が必要だ。人々はそれを聞きたがっている。彼らは期待しているんだ」と彼は話した。「人々は君たちを頼りにしているんだ。君たちのコミュ二ティがその物語を語るかどうかは君たちにかかっているんだ。」

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