• ヒズボラと自由愛国運動（FPM）は、自分たちに不利になると感じれば選挙を中止する可能性がある、とアナリストはアラブニュースに警告した

ナジャ・フーサリ

ベイルート： 5月15日のレバノン議会選挙に出馬する候補者の最終的な人数は1,043人となった。出馬する女性の数は155人で、登録された候補者の15％にあたる。

これは、レバノン政治史上最多の候補者数だ。いくつかの選挙区では1議席に対する候補者数が予想を上回った。

2018年の選挙での登録候補者総数は976人で、その中で女性は111人だった。

今回の選挙は、現在政権を握る与党と、当局の腐敗を糾弾し、武装民兵組織やイランによるレバノンの「占領」に反対する市民運動側とのぶつかり合いとなる。

選挙で選ばれた多数派は新たに国会を形成し、10月に国を統治する大統領を選出する。野党側は、対立と政治的争い、経済破綻に満ちたミシェル・アウン大統領時代からの緊急な改革を望んでいる。

候補者は4月4日までに各選挙区の選挙人名簿を確定することになっており、立候補の事態を申し出る締め切りは3月30日だ。辞退した場合、1500ドルの供託金は戻ってこない。

全員が名簿に登録することは不可能なため、選挙当日の立候補者数は半分になると予想されている。

バサム・マウラヴィ内務大臣は、「政府の公約通り、選挙を実施する準備はできている。国民は真の祖国を思う心に従い、票を投じなくてはならない」と語った。

また、地域と国際社会に対し、「透明性と完全性、政府の完全な公平性を確かなものにする」ため、投票の監視に参加するよう呼びかけた。

マワラヴィ内務大臣は、さらに「実施における障害」はなく、政府は選挙に関するすべてのニーズを満たすために努力していると述べた。

現時点での候補者の顔ぶれは、力を持つ弁護士の存在が特徴的だ。特にベイルート弁護士会の前会長で、市民運動の活動家の一人であるメルヘム・カラフ氏や、数名のメディア関係者の存在が目を引く。

政治アナリストのトニー・フランシス氏は、アラブニュースに対し、候補者数の増加は驚くべきことではないと語った。「レバノンには様々な政治勢力が存在している。保守的で議席を確保したい者もいれば、市民運動の中で力を得てきた者もいる」

フランシス氏は、特に競争が激しく、候補者が選挙人名簿について合意に達することができない選挙区では候補者数は半減する可能性が高いという。ベイルートやレバノン山、北部、ベカー地方などの選挙区が挙げられる。

また、フランシス氏はシーア派のヒズボラとアマル運動の党派はすでに有力地域で候補者を決定しており、この競争は原則的に無効であると指摘した。

ヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長は、次の選挙戦は「味方同士の戦い」だと述べ、政府と国会のおけるヒズボラの存在は「抵抗勢力を守るために必要だ」と付け足した。

ナスラッラー書記長は、「我々は勝利を目指している。今回の選挙は決定的なもので、最も重要で危険な政治的戦いが見られるだろう」と語った。

「選挙を実施しなければ、国会は存在できない。だからこそ、選挙には真摯に取り組み、投票率を上げる努力をしなくてはならない。公の場での集会だけでなく、自宅訪問を行わなくてはいけないとしてもだ」

フランシス氏は、「政権政党はベイルート港爆発事件や財務の不正で告発された者がいる中で、同時期に議員だったメンバーをそのまま指名するという決断を崩していない。これは、国民への冒涜だ」と、語った。

また、ヒズボラと自由愛国運動は、たとえそれが選挙当日の数分前であっても、既存の議会における力のバランスが自分たちに不利になると感じたら、選挙を中止することを辞さないだろうという危惧を表明した。

ナビーフ・ビッリー議長率いるアマル運動の一員であるアンワール・アル・カリル議員（84）は、現行の選挙法は「レバノン史上最悪の法律」だと述べた。

アル・カリル議員は、タイフ協定に基づく憲法条文の実施に専念するため、選挙には出馬しないという。