



リヤド:現在、サウジ・フィーストフード・フェスティバル(サウジごちそう祭り)で作品を展示している受賞歴のある芸術家、スルタン・アル・ムルシュード氏は、幼少期の農場での生活からイスピレーションを得て、木を材料として超写実的な自然の彫刻作品を彫り出す芸術を極めている。
アル・ムルシュード氏は、このフェスティバルの一部である、オリーブの食品および化粧品としての利用を紹介するオリーブ・エキシビジョンにブースを出している。同氏によると、作品に魅了された人々が長時間集まっていることが頻繁にあるという。
彫刻家である同氏は、ワシ、ヘビが絡みついた木製の杖、ココナッツの木とオリーブおよびデーツ(ナツメヤシ)の種で作った手細工のロザリオ数点を含む作品の数々を展示している。
アル・ムルシュード氏は3点のヘビの杖を作っており、それぞれの完成までに約3か月を要したという。このフェスティバルにおいて文化省の支援を受け、最新のものを30,000サウジアラビア・リヤル(8,000ドル)で販売した。7年前にはスルタン・ビン・サルマン王子が杖を求め、王子がそれを当時のバーレーン外相、ハーリド・ビン・アハマド・アール・ハリーファ氏に贈っている。
「私の各作品は、出来事やサウジアラビア文明の古代史に関わるもので・・・モーセの杖の物語を具現化したヘビ(の杖)は、私の名声の一部です。スルタン・ビン・サルマン王子がお求めになったものです」と、同氏は語った。
同氏は、カスィーム州の有名な杖収集家にも1点を販売した。
アル・ムルシュード氏は以前、木彫刻によりスーク・オカズ・コンペティションで3位を獲得した。スーク・オカズは、UAE・クウェート・バーレーン・オマーン・イラク・エジプト・ヨルダン・レバノン・モロッコ・チュニジアの食品・芸術・品物を通してアラブ文化を紹介するターイフ・シーズンの一環だ。
アル・ムルシュード氏は、自身のヘビの杖について周囲から好意的な反響を得ているという。「サウジアラビアで見られる最も珍しい杖のひとつとして分類されています・・・サウジアラビアに多くの彫刻家がいないために、非常に重要で意義深いものとなっています。訪れる人の反応は、賞賛と驚嘆ばかりです」
同氏は、自身が育った場所であるブライダの農場のイメージからインスピレーションを得ている。「人生の一部を素朴な農場で過ごしました。農場での幼少期は冒険に満ちていて、いつも木の棒で遊び、それで何かの形を作ったものです。芸術家になるとは思っていませんでしたが、身近にあるものを何でも使って傑作を作り出そうとしていました」
「私は幼少期からずっと芸術家で、彫刻家になる前は絵描きでした。彫刻の芸術は、幾何学、創造力、彫刻スキル、多くの手法の活用に依存する複雑なプロセスです」
アル・ムルシュード氏は、「穏やかな孤独、瞑想、散歩が混在する状態」の時にインスピレーションを得るという。
同氏は現在、文化省でインストラクターを務めており、木彫刻のクラスにおいて自身の知識をサウジアラビアの若者に伝えている。
木彫刻家として直面する困難について、アル・ムルシュード氏は「正確で迅速な作業の助けとなる手動機械が購入しづらいこと」を挙げた。
同氏はニッチな市場を相手にしており、難しさもあるが、独占的であることの魅力もある。「サウジアラビアに多くの木彫刻家がいれば、価格は下がるでしょうが、サウジアラビアでは木彫刻家の数が非常に少なく、私たち手細工の制作者の価値は増します。そのため、私たちのような個人がとても重要視され、評価されています」