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サウジアラビアのクリエイター夫婦が日本美術の夢を追う

サウジアラビアにルーツを持ちながら、ファティマ・アル・ドバイスさんとアーティストであるその夫、アル・マダンさんの日本美術への愛は深い。(提供)
サウジアラビアにルーツを持ちながら、ファティマ・アル・ドバイスさんとアーティストであるその夫、アル・マダンさんの日本美術への愛は深い。(提供)
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07 Feb 2024 01:02:23 GMT9
07 Feb 2024 01:02:23 GMT9
  • ファティマ・アル・ドバイスさんとモハメド・アル・マダンさんはサウジアラビア全土にその芸術への愛を広めている

ジャスミン・ベージャー

ダーラン:サウジアラビアのクリエイティブな夫婦、ファティマ・アル・ドバイスさんとその夫のモハメド・アル・マダンさんに会ってまず驚くことは、彼らがどれほど日本の美学とサウジアラビアの感性を融合させることを愛しているかということだ。彼らはしばしば日本関連の話題に夢中になりながらも、それぞれの手を休めない。アル・ドバイスさんは鮮やかな色の紙を素早く折り鶴にしながら語りかけ、アル・マダンさんは独特のアニメスタイルでスケッチしながらそれに答える。サウジアラビアにルーツを持ちながら、彼らの日本美術への愛は深い。

アル・ドバイスさんとアル・マダンさんはともに東部州で育った。アル・ドバイスさんは折り紙、アル・マダンさんはアニメや漫画と、それぞれが若い頃から日本美術への憧れを育んできた。彼らは2016年にクリエイティブの世界で出会い、以来、人生と仕事のパートナーになった。

「私たちはサウジアラビアの友人たちの間で、「ジャパニーズアートの夫婦」として知られています」と、アル・マダンさんはアラブニュースに笑顔で語った。

サウジアラビアにルーツを持ちながら、ファティマ・アル・ドバイスさんとアーティストであるその夫、アル・マダンさんの日本美術への愛は深い。(提供)

実際、このクリエイティブな夫婦は過去7年間、自分たちの日本風アートをサウジアラビアに広めることに注力し、何百人もの生徒たちに向けたワークショップを開催し、自分たちが選んだ伝統的な日本美術を作品に融合させたいと願う地元の人々に個人指導を行ってきた。それでもなお、こうした作品は新鮮で「サウジ」的なものを保っている。

2010年、アル・ドバイスさんがサイハットにいた12歳の頃、物語は始まっていた。学校で知らない生徒が紙で小さな鶴を折り、他の女の子たちにあげていたのだ。彼女自身はもらったことはなかったが、アル・ドバイスさんはすぐに魅了された。紙のようなありふれた日用品を、自分の手を使ってまったく別のものに変えるというアイデアに興味を持ったのだ。ただ、その芸術形式が何なのかは知らなかった。

ハイライト

・ アル・ドバイスさんとアル・マダンさんはともに東部州で育ち、それぞれが若い頃から日本美術への憧れを育んできた。

・ 2人は日本美術への愛と、サウジアラビア人としてのアイデンティティを作品に織り込む創造的な方法を見つけることへの興味から、仕事上の絆を深めた。

・ 彼らは多くのコラボレーションを行ってきた。ナツメヤシから抽出した素材など、地元にあるものを使用してアートを制作している。

YouTubeが流行り始めたばかりのその年、アル・ドバイスさんは両親に許可を得て検索してみた。ネットに接続するとすぐに、彼女は紙に関するアートを調べようとしたが、適切なキーワードがわからなかった。そんなある日、アルゴリズムが折り紙動画のサムネイルを表示し、彼女はそれをクリックした。それが彼女の折り紙への旅の始まりだった。

その後、彼女は自宅で何時間もかけて、小さな紙片を小さな芸術作品へと形作る方法を独学で学んだ。彼女の母親は、新しい芸術の形を探求し、創造的であることを常に彼女に勧めていた。そして、彼女はそれに応えた。

サウジアラビアにルーツを持ちながら、ファティマ・アル・ドバイスさんとアーティストであるその夫、アル・マダンさんの日本美術への愛は深い。(提供)

「折り紙を学び始めたとき、私の母は私の最大の支援者でした。周りの多くの人々は、『何をしているんだ、ただ紙を何度も折って、そんなの芸術的でもなんでもないじゃないか』と言っていましたが、私は楽しんでいたし、母は彼らを無視するように言いました。それは『なんでもない』ものではなく、すぐに彼らもそれを知ることになったのです」とアル・ドバイスさんはアラブニュースに語った。

たしかに、人々はそれを知ることになった。寝室で何年も小さな紙細工を作り続けていたアル・ドバイスさんの母親は2013年、彼女にサプライズがあると告げた。彼女の母親はサイハット市の地元アーティスト数人と話をしており、アル・ドバイスさんに、彼女の紙の作品をいくつか梱包するように言った。それらをアートショーで披露するという。その時初めて、彼女は自分が正統なアーティストであり、自分の作品が展示されるに値すると感じたのだ。彼女はその経験から多くを学び、他のアーティストたちとの交流は、彼女をフルタイムのアーティストになるよう後押しした。それから1年後の2014年、彼女は地元からそう遠くない場所に新しい文具店がオープンしたのを機に、きちんとした折り紙を買うようになった。毎週木曜日、彼女は店に折り紙を買いに行った。その後、彼女はアマゾンで注文するようになった。

遠い距離からでさえ、私たちの作品や生活にインスピレーションを与えてくれた日本に行くことは、私たちの夢です

サウジアラビア人アーティスト、ファティマ・アル・ドバイスさんとモハメド・アル・マダンさん

高校在学中に折り紙に関するワークショップを始めたアル・ドバイスさんは、2015年に卒業した後、本格的に活動することを決意した。

彼女は、地元の人々と折り紙について語り合っているときに、サウジアラビアと日本を行き来する仕事をしている男性と出会った。その男性は、彼女に日本の大使館を紹介したいと申し出た。アル・ドバイスさんの母親は、彼女を首都リヤドに連れて行き、そこで彼女は自分の芸術について人々に語り、プロとして折り紙を学び続ける自信を得た。

一方、アル・ドバイスさんより数歳年上のアル・マダンさんは、彼女の故郷からそれほど遠くない場所で育ち、日本の芸術への愛を持っていたが、彼の興味の対象は主にマンガとアニメだった。彼は常にクリエイティブな子供であり、また手仕事をするクリエイティブな家庭で育った。

サウジアラビアにルーツを持ちながら、ファティマ・アル・ドバイスさんとアーティストであるその夫、アル・マダンさんの日本美術への愛は深い。(提供)

「2016年、私はカティーフでアートのワークショップを指導しており、アシスタントが必要でした。そこに、今は私の夫であるモハメドがボランティアとして参加したのです」とアル・ドバイスさんは笑いながら語った。2人は日本美術への愛と、サウジアラビア人としてのアイデンティティを作品に織り込む創造的な方法を見つけることへの興味から、仕事上の絆を深めた。

当時米国に留学していたアル・マダンさんは大学に戻った。彼の専攻は経営学だったが、楽しみとしてアートのクラスも受けていた。

「そこでアニメーションのクラスを取り、自分のスタイルを確立しました」と彼は語った。

サウジアラビアに帰国後、彼はアル・ドバイスさんにプロポーズした。パンデミックの最中であり、彼らの結婚式はとても小規模なものだった。その後、彼らの生活は日本にインスパイアされたアートを中心に回ることになる。

夫のアートワークについてアル・ドバイスさんは次のように語った。「夫だからというわけではありませんが、彼のスタイルがとても好きです!アニメの要素がありながら、もう少しリアルで、現実的に見えるのが特徴です。彼はあなたに話しかけ、あなたの話に注意を払いながら、同時に彼の手はあなたを描いています。それが彼のコミュニケーション方法なのです」

かつては紙を使った伝統的な方法でアートを作成していた二人だが、現在はデジタルツールに移行しており、もはや紙から始めることはほとんどない。というのも、ほとんどのことはデジタルで行う方が実用的かつ効率的で、時間とエネルギー、そして材料の節約になるからだ。

以来、彼らは多くのコラボレーションを行ってきた。ナツメヤシから抽出した素材など、地元にあるものを使用してアートを制作している。

昨年は、サイハットの地元カフェで折り紙にインスパイアされた巨大なフクロウのアート作品「Sova」を制作し、話題となった。ウクライナ語でフクロウを意味する「Sova」は、地元の人々が触れ合えるような大規模なアート作品を作るために、2人の技術を結集した物理的な表現となった。

二人はまた、ダーランのイスラや、国の反対側にあるジェッダのヘイ・ジャミールでも多くのワークショップに協力した。これまでに、夫婦は王国内のほとんどの主要都市でイベントを開催し、何百人もの生徒を指導してきた。

それでも、彼らは今も学び続け、創造し続けている。彼らはまだ足りない経験が残っているという。それは、現在自分たちの生活の中心となっている芸術形式を体験するために、まだ日本を訪れたことがないということだ。

「私たちは(パンデミック中に)結婚し、新婚旅行で日本に行く予定でしたが、まだ実現していません。日本を訪れ、勉強する機会が得られることを願っています。遠い距離からでさえ、私たちの作品や生活にインスピレーションを与えてくれた日本に行くことは、私たちの夢です」と2人は語った。

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