
パリ:木曜日に発売されるアクション・アドベンチャー大作アサシン クリード シャドウズは、苦境に立たされているフランスのゲーム大手ユービーアイソフトだけでなく、ヨーロッパのゲーム・エコシステム全体にとって、明暗を分ける瞬間となる。
18,000人近い従業員を抱え、世界規模で事業を展開しているにもかかわらず、ユービーアイソフトは近年、期待はずれのリリース、株価の下落、元上司に対するハラスメント疑惑、度重なるストライキなど、次々と挫折を味わってきた。
そんなユービーアイソフトが、長年の稼ぎ頭であるアサシン クリードに再び着手、今回は中世の日本を舞台にしたエピソードで低迷から抜け出そうとしている。
ミッドキャップ・パートナーズのアナリスト、シャルル=ルイ・プラネード氏は、発売を前にAFPに対し、欧州業界全体がユービーアイソフトに注目しており、「このような状況は見たことがない」と語った。
ユービーアイソフトの17以上のスタジオは数百人の従業員を抱え、5年の歳月をかけてシャドウズに取り組んでいた。
初期のレビューは好意的で、レビュー集計サイトメタクリティックでは「おおむね好意的」な81/100点を獲得している。
これは、これまでシリーズの収益性の高さを示してきた2020年リリースのヴァルハラよりも1ポイント高い。
アメリカのゲームジャーナリスト、スティーブン・トチロ氏は自身のウェブサイトゲームファイルで、最新作について「ユービーアイソフトの18年前のシリーズのほぼどの作品よりもルックスもプレイも良い」と投稿している。
一方、ゲームサイトIGNによるシャドウズのレビューでは、「(シリーズの)エッジを完全に磨き直すことなく、シャープに洗練させた」と評している。
シャドウズは、カナダのケベックシティにあるユービーアイソフトのスタジオで一部開発された。
ユービーアイソフト・ケベックのアーティスティック・ディレクターであるティエリー・ダンセロー氏は、ケベック市内で開催された発売記念イベントでAFPに対し、同社の「開発者たちは最高のゲームを作るために全力を尽くした」と語った。
文化産業を専門とする経済学者ジュリアン・ピロ氏は、ゲームの仕組みに大きな変更がないことは「一部のプレイヤーを疲弊させる」危険性があると述べた。
同氏は、ユービーアイソフトの最近の圧倒的なリリースは、「観客が同社のゲームに愛想を尽かしている兆候かもしれない」と示唆した。
とはいえ、プラネード氏は 「誰もがこの発売が大成功することを祈っている 」と述べた。
フランス国内だけでも、ユービーアイソフトはゲーム開発に携わる15,000人の雇用のほぼ3分の1を占めているという。
ソーシャルメディアへの投稿で、ユービーアイソフトは発売は成功したようだと述べた。
「ここカナダではまだ午後4時前だというのに、アサシン クリード シャドウズのプレイヤー数はすでに100万人を突破している!」と同社はXで述べた。
多くの新進クリエイターが研修を終えてユービーアイソフトに入社する一方、元社員はフランスをはじめ世界中に新しいスタジオを設立している。
ユービーアイソフトは2023年に、スタジオの閉鎖や2000人近いレイオフを含むコスト削減策を打ち出した。
同社の株価は10年前の100ユーロ(現在のレートで109ドル)以上から9月には史上最低の9.01ユーロまで下落した。
株価は、シャドウズ発売直後は良かったにもかかわらず、水曜日には5.6%近く下落し、市場が閉まる頃には12.60ユーロで取引されていた。
同社は、期待された超大作がリリースされる前から、将来のために「様々な戦略的・資本的選択肢を積極的に模索している」と述べていた。
初期の噂では、株式の10%を保有する大口投資家である中国の大手テック企業テンセント(騰訊控股)の支援を受けて非公開化する可能性もあるとされていた。
さらに最近では、ユービーアイグループがコアタイトルに集中するため、ゲームカタログの多くを売却する可能性があると複数のメディアが報じている。
プラネード氏は、同社の将来について「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と述べ、シャドウズの商業的成功が交渉におけるユービーアイソフトの手腕を強めそうだと語った。
AFP