


アブダビ : 火曜日、日本の太鼓グループ「鼓童」がアブダビのニューヨーク大学で華麗なパフォーマンスを披露し、UAEの首都に本物の日本文化をもたらした。
1981年に結成された鼓童は、50カ国以上で7,000回以上の公演を行っている。2023年度文化庁長官賞などの主要な賞を受賞し、日本の伝統音楽業界にその名を刻んできた。
鼓童のUAEデビュー公演は、現在開催中の「アブダビ・フェスティバル2025」の一環で、今年は日本とUAEの友好50周年を記念して開催されている。彼らはこれまでにサウジアラビアとエジプトで公演を行った。
同グループのメンバーで今回の公演のディレクターでもある平田裕貴氏は、アラブニュース・ジャパンの取材に対し、両親も和太鼓を演奏していたため、和太鼓は常に彼の人生において重要な役割を担ってきたと語った。
「僕の両親は僕が生まれる前からアマチュアとして和太鼓を叩いていました。僕は生まれた時にすでに和太鼓に囲まれていたのです。気づかないうちに和太鼓を始めていた」と彼は言う。
鼓童のショーは、一般的な太鼓コンサートとは異なり、音と謡を融合させた演出で、荘厳かつ緻密なパフォーマンスを繰り広げる。 それは人間の言葉を超越し、観客を感動させる没入体験を作り上げる。
コンサート中、メンバーは自在に太鼓の音を操り、コンサートに革新的なレイヤーを加えている。さらに、琴など他の伝統楽器を演奏に加えることもある。アブダビでの公演は今回が初めてということもあり、メンバーは鼓童の代表的な楽曲を演奏し、観客に日本の伝統楽器の魅力を存分に紹介した。
「太鼓の音というと、皮の部分の面を叩く音と、太鼓の縁を叩く音の2種類をイメージする人が多いと思います。しかし、この太鼓ひとつをとっても、音の種類は想像以上に多いのです。ですので、太鼓の『音』の側面を特に意識して、楽器の音の幅や深み、面白さを引き出そうとしています」と平田氏は語った。
ディレクターである平田氏は、グループのために常にオリジナル曲を作曲している。彼は毎日聴いている曲や、YOASOBIのようなJ-POPのグループの音楽からもインスピレーションを得ているという。また、鼓童が手がけた様々なコラボレーションからもインスピレーションを得ている。例えば、平田氏は日本のバーチャル・アーティスト、初音ミクと3度コラボレーションしている。
「ミクとコラボレーションすればするほど、人間ではない存在とのコミュニケーションについて考えさせられました。プロジェクトが進むにつれて、ミクは人間ではないので、(自分たちの)人間という感覚がより高まっていきました。それは新しい感覚でした。ミクがいることで、(自分たちの)人間の側面がより強調されたのです。人間と人間でないものの間に相乗効果のようなものが発生したのです」と振り返った。
伝統的な和楽器のグループである鼓童であるが、ミクのような現代的なバーチャル・アイドルとのコラボレーションを通しても、音を進化させる道を常に切り拓いているのだ。
「鼓童は独自のサウンドを発展させてきましたが、同時に新たな挑戦にも前向きです。私たちは常に進化し、自分たちの音楽スタイルを革新するために新しい技術やアイデアを歓迎しています」と平田氏は語った。
平田氏は、アラブ首長国連邦の首都アブダビで演奏することに興奮を隠せない様子で語った。「アブダビは鼓童と似ていると思う。鼓童は伝統的な楽器をベースにしながらも、常に新しいアイデアで進化しつづけているからです。アブダビはとても伝統的な街だけど、同時にこの街を見ていると、様々な国籍の人が住んでいるおかげで、革新的で進歩的です。新しい場所を訪れることは、もうひとつのインスピレーションの源ですが、(中東を)訪れたことでこのエネルギーをまた日本に持ち帰ることができです」
グループは水曜日にアブダビで2回目の公演を行った。彼らは現在、ヨーロッパでのツアーの準備をしている。鼓童はまた、彼らの故郷である佐渡島で毎年夏に「アース・セレブレーション」と題した音楽祭を開催している。
アブダビ音楽祭は2月に新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で幕を開けた。14日には日本人打楽器奏者の加藤訓子を迎える。チケットはアブダビ・フェスティバルのウェブサイトで販売されている。