

鵜飼太士はドバイ在住の日本人マジシャンだ。若い頃からマジックを始め、大観衆を前にしたステージショーや、目の前で行うクロースアップトリックなど、様々なタイプのマジックを得意とする。
ホテルや結婚式、誕生日会などのイベントで、忘れられない瞬間を演出する。
鵜飼氏はアラブニュース・ジャパンにマジックが好きになったきっかけを「11歳の時、友達が見せてくれたとても簡単なカード・トリックで、シャッフルしたデックを指でパチンと叩くと、突然私のカードがデックのトップに出てきたんです。今でも大好きなトリックのひとつです」と語った。
彼は大学時代に初めて有料マジックショーを行ったという。「初めて仕事でマジックをしたのは大学生の時でした。当時はカードマジックが好きだったので、手品師として働いていました」と付け加えた。
鵜飼氏はハリウッドにある有名なアカデミー・オブ・マジカル・アーツ、通称マジック・キャッスルのメンバーでもある。ここは世界中のVIPやセレブが国際レベルのマジックショーを見に行く人気の場所だ。
鵜飼氏は、入会するのがいかに難しいかを 「マジックキャッスルのマジシャンメンバーになるためのオーディションを受けるには、2人以上のマジックキャッスルメンバーの推薦が必要です」とまずアカデミーについて語った。「オーディション当日は、多くのマジシャンメンバーに囲まれてマジックを披露し、合否の結果を受け取る」のだという。
マジシャンとしての道のりについて、鵜飼氏は「マジシャンになると、自分がすごいと勘違いしてしまうことがあります。毎日、どこでも拍手や賞賛を受けるからです。でも、すごいのはマジックそのものであって、僕じゃない。それに気づくのに時間がかかりました。私はマジックを、人々の人生にポジティブな影響を与えるためのツールとして使っています。このことに気づいたとき、私はより豊かな人間になったような気がしたのです」と語った。
また、マジックが特別なのは、人々にさまざまな感情を生み出すからだという。「マジックの面白いところは、観客のさまざまな感情を呼び起こすことができることです。もちろん素晴らしいですが、怖くもなるし、楽しくもなるし、感動もするし、不気味にもなる。国や人種、文化によって観客の反応が違うのも興味深いです」と語る。
鵜飼氏は、江戸時代から続く日本の伝統的な手品スタイルである和妻にインスパイアされている。和妻は、扇子や傘、紙などのアイテムを使い、美しく意味のあるパフォーマンスを創り出す。
「おもてなしと思いやり。マジシャンはただマジックを見せびらかすだけになってしまいがちですが、なぜマジックをするのかを考える必要があります。マジックは人を幸せにするための道具だということを忘れてはいけないのです」と彼は語った。
彼は2024年2月に初めてドバイを訪れた。「まず驚いたのは、外国人の多さでした。日本は人口のほとんどが日本人で、公用語は日本語だけです。UAEは多様性に富んだ国で、とても親切な人が多く、安全な国だという印象を受けました」
現在ドバイに住む鵜飼氏は、中東の人々に日本の文化や美を反映した新しいマジックを楽しんでもらえるよう、和妻ショーをもっと上演したいと願っている。
マジックを学びたい人へのアドバイスはシンプルだ: 「マジックは老若男女、国境を越えて楽しめるエンターテイメントです。一度学べば、人生が明るくなると思う。近い将来、多くの皆さんがホグワーツに招待されることを願っています」