


東京:日本現代美術シーンの大物を集めたブロックバスター展である。だが、新型コロナウイルスのパンデミックの真っ只中で、はたして美術館やギャラリーに人は集まるのだろうか?
それが森美術館の片岡真美館長が心に抱く問いである。日本の美術界で大きな影響力を持つ森美術館だが、5か月の休館を余儀なくされた。金曜日の再開にあたっては、近年で最も大きな注目を集める日本現代美術展をぶつけた。
「現在は『美術館の役割とは何か、美術の役割とは何か』と人から尋ねられる時代です」。今週開催される「STARS展:現代美術のスターたち― 日本から世界へ」のプレス向け内覧会で、片岡館長がAFPに語った。
同展は当初の予定では4月に開幕し、会期を夏の間中として、オリンピック目当ての訪問客が同館を訪れるよう意図されていた。そのため、草間彌生や村上隆といった日本の現代美術を代表する作家の作品を集めた。
だが、コロナによりオリンピックは1年の延期を余儀なくされた。日本でも感染症が増加し始めるなか、森美術館は2月に休館した。
「こうした状況にあっては、(美術館の)運営は困難です」と片岡氏は語った。
「STARS展」は、こうしてさまざまな課題を抱え、しかも東京では都知事が第二波を警告するなかでの決行となる。
このスター満載の展覧会には、日本の「オタク」サブカルチャーが染み込んだ村上隆の彫刻作品『Ko2ちゃん(プロジェクトKo2)』や、草間彌生の抽象絵画『インフィニティ・ネット(Infinity Net)』といった有名な作品が集められている。
このほか、杉本博司、李禹煥(リ・ウファン)、そしてロサンゼルスで大回顧展を準備中の奈良美智の作品も展示される。
片岡館長によると、同展では、比較的長かった無名時代に苦労を重ねたあと一気に世界のアートシーンを席巻したアーティストが集められているという。ミニマリストスタイルを代表する作品もあれば、伝統的な美学よりもアニメーションやポップカルチャー、サブカルチャーに美学を見出した作品もある。
「私には感謝の気持ちで一杯でした…この美術館が、長いキャリアを持つアーティストの作品を集めた、この力強い展覧会をもって再開できたことに」
インスタレーション作家および彫刻家として高い評価を受ける宮島達男氏は、記者団に対し、パンデミックにより美術関係者は、どんな作品なら直接目にする必要があると感じるのかを試されることになる、と語った。
同展に出展している宮島氏は、現在人々は「本当に行かなくてはいけない場所には行くし、会わなくてはいけない人には会う」だけの状態だと言う。
「選別」が行われ、美術館もそうした選別プロセスからは逃れられないという。人々は「本当に見なくてはいけない」作品を選んで見に来ることになる、と。
日本における新型コロナウイルス感染者数は比較的少なく、感染者数約33,000人、死亡者数は1,000人をわずかに上回るほどである。
だがここへきて東京では感染者数が急増しており、感染者数がさらに増加した場合にはさらなる対策が必要になるかもしれないとの当局の警告もあった。
「STARS展」の展覧希望者は、事前に予約し、マスクを着用し、手を頻繁に消毒するよう求められる。コスト回収策として、観覧料が値上げされ、展示期間が延長された。
こうした様々な困難に直面する同展だが、来てくれるファンは嬉しい驚きを感じてくれるだろう、と片岡館長は確信する。
「訪問者は本展を混雑していない空間で体験することができます。鑑賞体験の質が上がったと感じていただけると思います」
AFP