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冷静さを保ち、エアコンを切る。日本の省エネは欧州の模範

福島第一原子力発電所のメルトダウンを引き起こした2011年3月の地震と津波の後、省エネもしくは「節電」が日本の国家プロジェクトとなった。
福島第一原子力発電所のメルトダウンを引き起こした2011年3月の地震と津波の後、省エネもしくは「節電」が日本の国家プロジェクトとなった。
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29 Jul 2022 12:07:50 GMT9
29 Jul 2022 12:07:50 GMT9

東京:ロシアのガス削減によるエネルギー不足に備える欧州にとって、10年前に起きた日本のエネルギー危機は、照明を落としたり階段を使ったりするなど、家庭や企業にとって生き残るための教訓を与えてくれる。

EUのエネルギー担当大臣は火曜日、ウクライナ戦争の影響でロシアからの供給が不安定になる中、加盟国が8月から3月にかけて自主的にガスの使用量を15%削減する提案を承認した。

福島第一原子力発電所のメルトダウンを引き起こした2011年3月の地震と津波の後、省エネもしくは「節電」が日本の国家プロジェクトとなった。

その後、ショッピングセンターではエスカレーターが停止され、工場では組み立てラインの工期が短縮され、点滅する光や騒々しい音を出すマシンで有名なパチンコ店は一時的に閉鎖された。

日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎氏は、当時、多くの日本人が「何かしなければ、そうしないと大変なことになる」と考えていたと回想する。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの際にマスク着用をほぼ全面的に遵守させたような、強い社会的圧力も一因であったと、田中氏は述べている。

福島原発を運営する東京電力は、発電能力の約40%を失った。

事故直後には史上初の計画停電を実施し、その後数週間にわたって首都圏の電力を断続的に停止させた。最終的には、ガス火力や石炭火力による古い発電所を再稼働させた。

政府はその年の5月、東京と北日本の市民や企業に対し、夏のピーク時に電力を15%削減するよう求めた。日本では今年も、エネルギー供給の逼迫に対処するために同様の措置がとられている。

クールビズ

2011年に東日本大震災が起こったとき、ほとんどの日本企業は直ちに緊縮モードに入り、電気を消してエレベーターを停止させた。

環境省は、ピーク時にプリンターの電源を半分以上切ったり、職員に冷たい飲み物を持参してもらって自動販売機の電源を切るなどして、25%というさらに大きな削減を目標にした。

プロ野球やサッカーチームは照明の需要を減らすために、ナイターを中止して試合を昼間に移した。職場の管理職は設定温度を上げ、夏は薄着になるという政府の「クールビズ」運動を取り入れるよう従業員に呼びかけた。

自動車メーカーの日産自動車は、ピーク時である昼過ぎの配電網への負担を軽減するために工場のシフト時間を変更し、コンビニチェーンのローソンはLED電球に切り替えて多くの店舗でソーラーパネルを追加した。

国民の原子力に対する反感が高まり、2013年後半には、日本の電力の約4分の1を供給していた54基の原子炉すべてが停止したが、その後、少数の原子炉は再稼働している。

日本はエネルギー不足を補うために、液化天然ガス(LNG)、石炭、石油などの化石燃料に目を向けた。震災後、カタールからのLNG輸入は急増し、2012年には2010年の2倍以上の1,566万トンに達した。

エネルギー輸入の増加は、2011年に日本が31年ぶりに貿易赤字を記録した原因のひとつである。地震とエネルギー不足の余波で経済はリセッション (景気後退) に陥り、世界金融危機からの回復の足かせとなった。

国内総生産は事故のあった四半期に0.9%減少し、2011年全体では横ばいとなった。

田中氏によると、東日本と西日本では電圧基準が異なるため、国内での負荷分散さえも困難だったという。

「欧州は配電網でつながっているので、どこかに最後の手段があるという感覚が残っているのかもしれません」と田中氏は語った。「ここ日本ではそんな余裕はありません。自分たちしかいないのです」

ロイター

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