
Shams El-Mutwalli、ドバイ
日本の建築家・丸山剛史は、海外移住の夢を叶えるために日本からUAEに移住し、その建築への情熱と知識をアメリカン大学ドバイ校の学生たちに伝えている。
丸山はUAEで、ドバイのサファ公園にあるコンセプト図書館とカフェの店「アーカイブ」やブラウンブック出版社のオフィスなど、注目すべきプロジェクトを手掛けて建築家としての地位を確立した。
丸山は、ブラウンブックからいくつかのプロジェクトを受注した経緯について次のように語った。「クライアントがプロジェクトについて明確なビジョンを持っていたので、仕事をしていてとても快適でした。デザインの方向性が一致していたし、彼らの日本のトレンドに関する知識が、共通のターゲットを構築するのに役立ちました」
また丸山は、アラブニュースジャパンの独占取材にこう語った。「ブラウンブックのオフィスのために、スチール階段の最小限のデザインに挑戦しました。ドバイでは簡単ではありませんでしたが、私はそれを実現しました」
丸山はアーカイブについて、「既存の構造物を使って、非常にユニークなフローティング効果を出すことができたと思います。プロの建築家でも構造の仕組みを理解するのは難しい場合があります。またこのプロジェクトは、ドバイでのリノベーションにおける先駆的なプロジェクトとしても注目されました」と語った。
丸山は1975年の建物をリノベーションして現代的な仕上がりにした。
カフェと図書館は、コミュニティイベント、文化ワークショップ、映画上映会、たくさんの本が集まるソーシャルスペースとして認識されていた。
丸山は、 建築家としての本質をモダン、ミニマリズム、そして実用的と定義し、長年の経験と、エール大学のブリティッシュ・アート・センターを設計したアメリカ人建築家ルイス・カーンや、彼の設計哲学の形成を手助けした同級生の藤本壮介、そして建築家としての意味を明確にしてくれた指導者の原広司など、彼が尊敬する建築家からの教えによって洗練されたスタイルを確立した。
最近では、丸山はArchidentity社と提携し、プライベートヴィラやドバイ国際博覧会のライブパビリオンなどを手がけている。また多くのレストラン、日本のサロン、ドバイのアルセルカルアベニューにある衣料品店CHI-KAなど、他のスペースのインテリアを形作る役割も果たしている。
中東の建築シーンへの融合は、丸山にアラブと日本の建築的要素の違いや比較についての理解をもたらした。
「正直なところ、感性に関して言えば、この地域で私が見つけたものは、日本のものとはかけ離れています。私たちに共通していることは、ここで働く人たちには共通していない。だからこそ、日本の建築の質は、日本の職人技がベースになっていると認識したのです」と、彼は語った。
丸山は、2つのスタイルのギャップを埋める努力をしてきた。特にカイロの日本食レストランで仕事をしているときには、アラブのデザインにinfamousな桜を融合させたパターンをデザインするなどの取り組みをしてきた。
日本の建築を評する時、丸山は自らの基礎を誇らしげに語った。
「私にとって日本の建築は、繊細な感性で構成されています。清潔さや仕上がりの正確さは、あまり多くを語りませんが、日本人は無意識のうちにそれを感じていて、それが心地よさにつながるのだろうと思います。これらの要素は、日本の職人技の上に成り立っていて、私はそれを尊重しています。日本の一流の職人は決して妥協しません。彼らが作ろうとしているものは、最高の品質以外の何物でもないのです。だから、形や形状、要素ではなく、その背後にある魂が日本の建築をユニークなものにしているのです」と丸山はアラブニュースに語った。
日本人の美意識とは別に、床で食事をする、共同で食事をする、客をもてなすなどの文化的慣習を考慮すると、生活様式には重なりがある、と丸山は強調した。
「どちらも西洋文化よりも近い。そういう類似性のようなものを空間構成に取り入れようとしています」と語った。
丸山は、建築学の学士号と修士号の両方を東京大学で取得した。
2006年に、「2000年代前半に日本の景気が悪くなったとき、私が関わったプロジェクトのほとんどがうまくいきませんでした。若い頃から海外で働きたいという夢があり、当時は多くの友人に話していました」と丸山は語った。
彼の友人の一人は、UAEの建築家と一緒に仕事ができるチャンスがあることを彼に教えてくれた。
丸山はアラブニュースジャパンにこう語った。「ドバイに興味があったので、直ぐに飛行機に乗って会いに行きました。彼は良い人で、優秀な建築家であり、一緒に仕事をしていて好感が持てた」丸山はその後、チームへの参加を決めた。
丸山はまた、AUD建築学の准教授として25年のデザイン経験を持つ。彼は卒業していく生徒に講義をする際、4つの大切な教訓を伝えている。現場を訪れること、寸法を意識すること、実物のモデルを作ること、そして常にデザインが機能的且つ魅力的であることを確認すること。
教えることで、丸山は建築への情熱をさらに深めることができるだけでなく、建築の原理原則をしっかりと学んだ、次世代の優れた建築家の育成にも貢献している。