


フッサム・アルメイマン、アシール・バシュラヒール、リヤド
ワールド・レスリング・エンターテイメント(WWE)初のサウジ人スター、マンスール・アルシェイルが先週、故郷の観衆の前で別のキャリアの節目を祝った。
このルーキーは10月31日にリヤドのキング・ファハド国際スタジアムで開催されたイベント「WWEクラウン・ジュエル2019」において、初めて1対1で対戦したベテランのスイス人レスラー、セザーロを破った。
マンスールは6月、印象的な形で世界中のWWEファンに自分を紹介した。ジッダのキング・アブドゥッラー国際スタジアムで行われ、テレビ放映もされたイベント「スーパー・ショーダウン」において、WWE史上最大のバトルロイヤルに出場し、他の50人のレスラーよりも長くリングに残って勝利したのだ。
この24歳は、レスラーになるためのトレーニングは彼がもっと若かった頃に関わったスポーツとは全く異なる体験だったと述べた。
「私のスポーツ歴はサウジアラビアでのフットボール(サッカー)と、アメリカでのフェンシングです」と、マンスールは言う。
彼のフェンシングへの興味は、映画『スター・ウォーズ』への愛から生じた。特にライトセーバーでの剣術風の闘いが元となっている。
「フェンシングは私が期待していたものとは異なりました。良い意味で」と、マンスールは言う。「もっと多くの巧みさと、驚異的なフットワークとバランスコントロールが必要でした。一方でフットボールはコンディション調整や正確さ、そしてフットワークも、もっと異なるレベルのものでした」
彼がレスリングへの転向を決心した時に求められたトレーニングは、それまでの2つのスポーツのどれとも全く異なるものだった。
「私たち(レスラー)がすることを見て、『なあ、俺にもできると思うぜ』と言う人たちがいます。しかし、私たちのかなり多くが特別な訓練を受けており、上手にやることができます。簡単に見えるようにやっているのです。それは意図的なものです」
マンスールは2018年に開催されたイベント「グレイテスト・ロイヤルランブル」の前にジッダで行われたトライアウトでWWEのスカウトに見いだされ、フロリダ州オーランドにあるWWEパフォーマンス・センターでのトレーニングに招待された。彼は同センターでボクシングやアメフトなど他のスポーツ出身のアスリートたちに会ったが、その多くがレスリングリングのトレーニングはそれまで行ってきた訓練の中で一番ハードだと話したという。
「それは情熱と愛が必要な種類のものです。そうでなければ、経験する酷い扱いや痛みは単純に割に合いません」と、彼は言う。「もし私たちがしていること、スポーツに対してそのような愛を心にもっていなければ、体が酷い扱いに耐えられなくなるでしょう」
「精神的にくたくたになるプロセスという意味で異なっています。説明することすらできません。肉体的に申し分のない絶好調な状態へ自分を持って行ってくれます。コーチングやプログラムの中に組み込まれた筋トレやコンディション調整は、(WWEパフォーマンス・センターへ)来る前には決して出会ったことのないようなものです」
「私は本当に厳しいトレーニングを受けたわけではありません。ある意味私はアスリートみたいなものだったので、かなりたくさんの訓練を自然にこなすことができました。その点には非常に感謝しました。しかし、(コーチが)やり遂げさせる限界と、押し上げてくれる最大ポテンシャルは、驚くべきものです」
26,000平方フィートの訓練施設を持つパフォーマンス・センターは、WWEの人材開発プログラムの心臓部だ。同センターにはフルサイズのレスリングリングが7つ、フル装備の筋トレ・コンディション調整室、スポーツ医療施設がある。また、プライベートスタジオを持つプロモーション室もあり、そこでキャラクター開発やパフォーマンス技術などの撮影テクニックを完璧に仕上げている。スタジオとナレーターブースを持つ最新鋭の制作編集室もある。
マンスールは、そこで受けたトレーニングのおかげで、今はレスリングの動きが自分にとって習性になったと話す。
「リングにいる時、次に何をしようとしているか考えることはそれほど多くありません。それはこれまでにとてもたくさんやってきたことなので、どんな状況でも、いつでも、どんなシナリオでも、やるべきことは自然に分かっています」と、彼は説明した。
「それこそが、私が最も感謝していることだと思います。レスリングを習性にする能力、リングの中でやることを予め考えておくのではなく、もっと直感的なものにする能力。長い目で見れば、その能力が私を大いに助けてくれると考えています」