
ハム・サレ ドバイ
ジュエリーデザイナーは煌めくゴールドや人目を引くダイヤモンドのことばかりを誇らしげに話すことが多い。だから創作の中心に人道的理念があると聞くと爽やかな気持ちになる。
その一例がサウジアラビアのデザイナーでジュエリーブランド「Sheen」を設立したノシーン・バフシュである。彼女はドバイに本拠を置く自身のブランドに芸術的才能を傾けているが、その芸術性を社会的理念に結び付けて熱心に活動している。
[caption id="attachment_3072" align="alignnone" width="375"]カシミール地方出身のバフシュはアラブニュースにこう語っている「(ジュエリーの世界に入って) 目指したのは、自分の中にあるいろいろな強い願いを互いに結び付けることでした。私は完璧な仕事とは何かと考えました。そして創業の理念を『デザイン、文化、人間性』としてブランドを立ち上げたのです」
バフシュはまた、「何をやるにせよクリエイティブであることが必要なのは分かっていました。私は自分のクリエイティビティを発揮する場が欲しかった。けれど同時に何かお返しがしたかったのです」と述べた。
[caption id="attachment_3073" align="alignnone" width="376"]彼女のコレクションの作品はすべて様々な文化を下敷きにしたものである。彼女は目的とする活動や組織を選び、品物が売れたらそれらに売上の一定割合が行く仕組みを作った。彼女が選んだのは国連高等難民弁務官事務所のシリア危機アピール、ロヒンギャ緊急募金、国境なき医師団、カシミール再生のための長期経済成長計画「Revive Kashmir」などである。
サウジの建国記念日にバフシュの最新コレクション「Kenza」が発表された。宝を意味するアラブの言葉「Kenz」から名付けたコレクションである。
「このコレクションはアラビア湾にインスピレーションを得たものです……サウジで今起きている全ての変化、UAEやサウジで大きなことを実現している全ての女性たち、ハイライトが当たっている全ての事柄を考えた時、私はこの地域に捧げるコレクションを創るのにふさわしい時がついに来たと思いました」
[caption id="attachment_3074" align="alignnone" width="402"]バフシュはどの作品を作る時もそれぞれの文化が受け継いだものをよく調べて臨む。今回発表された作品でもその姿勢に変わりはない。
「非常に旧くからあるハリージ・ジュエリーは通常銀製でとても大ぶりなものですが、今回のコレクションのいくつかはこれにインスピレーションを得てデザインしたものです。ただ、この試みでも私のスタイルは健在です。私のは非常に華奢で従来のものよりずっと複雑な左右対称のデザインとなりました」
バフシュは自分のバックグラウンドを広告に使って2013年にブランドを立ち上げた。コレクションのほとんどは18金ゴールドにダイヤなどの貴石や半貴石をあしらったものだ。以前のコレクションの一つ「Chandi」では実験的に銀も扱っていた。