



モハメド・アブ・ザイド
カイロ: エジプトのギザのピラミッド付近に位置するサッカラ地域で発掘作業を行っているエジプトの考古学調査団は、ファラオの埋葬殿を含む数十の考古学上の発見をした。
エジプト考古最高評議会は、同評議会とザヒ・ハワスエジプト学センター(Zahi Hawass Center of Egyptology)の合同調査団が発見したものには、紀元前3000年にさかのぼる新王国の木製の井戸や棺が含まれていると発表した。
同評議会のムスタファ・ワジリ事務局長によると、これらの発見があったのは、古王国時代第6王朝の初代王であるテティ王が埋葬されているピラミッド近くのサッカラの墓地。テティ王は、紀元前2323年から2291年の間にエジプトを統治していた。
エジプトの考古学者で同調査団の責任者であるザヒ・ハワス氏は、これらの発見は地域の歴史、特にテティ王が崇拝されていた18〜19代の新王国の歴史を書き換えるだろうと述べた。
ハワス氏によると、今回の調査では、テティ王の妻であるニアリット女王の埋葬殿(その一部は今回の調査の数年前に発見されていた)だけでなく、南東側では女王の信条を復活させる儀式に関連した供え物や道具を保管する3つの泥レンガ倉庫も発見されたという。
同調査団はまた、52の井戸 (深さ10メートルから12メートル) を発見し、その中には新王国時代の木棺が50個以上入っていた。紀元前3000年にさかのぼる棺がサッカラ地域で発見されたのは今回が初めてとなる。
棺の表面には、死者があの世に行くのを助ける『死者の書』からのテキストに加えて、その時代に崇拝されていた神々にまつわる様々な場面が描かれている。
井戸の中からは、プタハ神の像や、死者の書の第17章を表す長さ4メートルのパピルスで、持ち主の名前が記されているもの など、多数の遺物が見つかった。また、4体の像には同じ名前が記されていた。
他には、木製のマスク、死者があの世で遊ぶゲーム(その1つはチェスに似ている)、死の神アヌビスの像と神殿なども発見された。
また、調査団は銅斧も発見した。これは、持ち主が新王国時代の軍のリーダーの一人であることを示すもので、死者とその妻の情景が描かれた絵画や象形文字も発見された。
新王国時代の陶器も大量に出土した。その中には、エジプトとクレタ、シリアやパレスチナとの貿易関係を築いた陶器などが含まれている。
ハワス氏は、この発見によって、サッカラ遺跡地域は後期だけでなく、新王国時代にも埋葬に使われていたことが確証されたと説明した。
同調査団は、地中海熱または豚コレラと呼ばれる病気にかかっていることが判明した女性のミイラを調査した。この病気は、動物と直接接触することで発症し、肝膿瘍を引き起こす。
ハワス氏は、この考古学上の発見は今年の最も重要な発見の一つであり、サッカラは重要な観光地および文化の発信拠点になるだろうと強く主張した。今回の発見により、新王国時代のサッカラの歴史は書き換えられ、第19王朝時代のテティ王の崇拝の重要性が確証されるだろう。