
ハラー・タシュカンディ
リヤド:1つの世代全体を形成したTVチャンネル、スペース・トゥーンが先週、21周年を迎えた。SNSは、アラブ地域で人気のアニメネットワークに対する愛情と感動に満ちた賛辞でいっぱいとなった。
アラブ全域で無料放送されているこのチャンネルは、20年以上にわたり、子ども向けのアニメ番組を地域全体に放送してきた。
ドバイに本社を置き、カイロとリヤドにオフィスを構えるこのチャンネルは、2000年3月15日に放送を開始し、以来、アラブのポップカルチャー界で確固たる地位を築き、視聴者の心を掴んできた。現在、このチャンネルは世界22カ国以上で放送され、さらに多くの国でオンラインストリーミングを行っている。
スペース・トゥーンは、日本のアニメ漫画をこの地域に紹介したことで幅広く知られている。このチャンネルは、アラビア語で吹き替えを行い、主題歌も再録音し、「ポケモン」、「グレンダイザー」、「シンドバッドの冒険」、「名探偵コナン」など、アラブの視聴者に最も愛されているアニメを紹介してきた。
28歳のライアン・アル・ムーサは、次のように語った:「学校が終わると、真っ先に好きな番組に間に合うように、テレビの前へと走って行ったものです」
「スペース・トゥーンは私にアニメを紹介してくれました。私は『ポケモン』、『ドラゴンボールZ』、『デジモン』を見て育ちました。これらはどれも、今でも大好きです。これらのシリーズのグッズを今でも集めています」。
スペース・トゥーンについて忘れられないのは、彼らが私たちのことをどのように表現したかということです。
ライアン・アル・ムーサ
彼はこう付け加えた:「少し陳腐な言い方ですが、あの番組は私の世界観を形成してくれました。レジリエンス、忍耐力、そして決して諦めないという価値観を教えてくれました。今は日本語で見ていますが、時々アラビア語の吹き替え版を見て、懐かしさを感じることがあります」。
他の多くのチャンネルファンにとって、番組の感動は単なるノスタルジーを超えたものであり、中にはスペース・トゥーンと一緒に育って人生が変わったという人もいる。
31歳のリーム・アル・マンスールも、スペース・トゥーンを見て育ち、「Ana Wa Akhi(兄と私)」という番組を振り返った。この番組は、自動車事故で母親を失った2人の若い兄弟が、母親なしで生きていく方法を見つけなければならないという、心が痛む物語だ。
「私の母は、私がとても幼い頃に亡くなりました」とアル・マンスールは語った。「この番組の中では、自分自身の苦悩の多くが映し出されていました。『Ana Wa Akhi』は、私がこのような暗い日々を過ごし、新たに抱えることになった責任に対処するのを本当に助けてくれて、さらには喪失感と折り合いをつけるのにも役立ちました。今でも主題歌を聞くと感動します」。
テレビの視聴方法が変化しているにもかかわらず、スペース・トゥーンは、ストリーミングサービスやYouTubeチャンネル、番組の放送時間を記録したオンラインスケジュールを提供することで、新しい標準に適応してきた。
昨年5月、スペース・トゥーンはMBCグループのストリーミングサービス「シャヒード」との新たな提携を発表し、プラットフォームに独占コンテンツを提供して、ディズニーやフォックスといった他の大手子ども向けエンターテイメントプロバイダーの仲間入りを果たした。
アル・ムーサは、多くのスペース・トゥーンのファンと同様、この変化を歓迎し、将来の世代もかつて自分が見たのと同じ番組を楽しめるようになると、喜びを示した。
「これにより、多くの若い人たちがコンテンツを利用できるようになり、いつの日か自分の子どもたちと青春時代の番組を共有できるようになるかもしれません」と、彼はアラブニュースに語った。
また、今の世代は昔の番組の懐かしい品々も欲しがっており、需要が急増している。
レトロなピンを専門に扱うサウジアラビアの会社Pinnizerは、「宝島」「シンドバッド」「マロコ」などの過去のアニメや、その他のスペース・トゥーンの古典番組に特化した全コレクションを有している。Pinnizerのオーナーであるラビード・アッシドミは、アラブニュースに対し、自身が所有するレトロなピンは、オンラインショップで最も需要の高い商品の1つになっていると語った。
同様に、アラブニュースが2019年にマンガ家の永井豪氏に独自の独占インタビューを行った。永井氏は現地でのアニメ人気を知り「グレンダイザー」復活の可能性について議論したのだが、これにより、多くの人に愛された70年代の名作への関心が再び高まることとなった。
「スペース・トゥーンについて忘れられないのは、彼らが私たちのことをどのように表現したかということです」と、アル・マンスールは語った。
「Shabab Almostaqbal(未来の若者)。スペース・トゥーンが私たちを信じてくれたおかげで、私たちは自分自身を信じることができました。あのチャンネルを見て育った世代の人たちなら、そうじゃないと言うことはないでしょう」。