
カンヌ(フランス南部)時事: フランスで開催された第74回カンヌ国際映画祭で17日夜(日本時間18日未明)、コンペティション部門の授賞式が行われ、「ドライブ・マイ・カー」の脚本を共同で手掛けた濱口竜介監督と大江崇允さんが脚本賞を受賞した。最高賞のパルムドールはフランスの女性監督、ジュリア・デュクルノーさんの「チタン」に決まった。
濱口監督は、今年のベルリン国際映画祭で「偶然と想像」が最高賞(金熊賞)に次ぐ審査員大賞(銀熊賞)に輝いており、世界三大映画祭で連続受賞の快挙となった。カンヌ映画祭では、2018年の「寝ても覚めても」以来2度目のコンペ入りで受賞を果たした。
濱口監督は、授賞式で「最初にお礼を申し上げなければならないのは、物語を与えてくれた村上春樹さん」と語り、観客に「海の向こうにいる役者やスタッフにも、大きな拍手を送ってほしい」と呼び掛けた。
「ドライブ・マイ・カー」は村上さんの同名短編小説を原作に、濱口監督と大江さんが独自の視点を交え脚本化。妻を亡くし喪失感にさいなまれる主人公が、ある過去を抱える寡黙な運転手の女性と出会い、自分自身を見詰め直す姿を描く。西島秀俊さんが主演を務めた。日本では8月20日に公開予定。
授賞式に先立ち、「ドライブ・マイ・カー」は国際映画批評家連盟賞など、映画祭の主要賞とは別に贈られる三つの独立賞も受賞した。
濱口監督は神奈川県出身の42歳。昨年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清監督の「スパイの妻」の共同脚本も務め、国内外で高く評価されてきた。大江さんは映画監督で、ドラマの演出や脚本も手掛けている。
時事通信