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ロンドン:サウジアラビア人アーティストのアジュラン・ ガレム氏が、イスラムの伝統に触発された現代アートやデザインを対象とした権威ある賞、第6回Jameel Prizeを水曜日に受賞した。
ガレム氏は、建築インスタレーション「Paradise Has Many Gates」が評価され、Art Jameelの会長兼創設者であるファディ・ジャメール氏から25,000ポンド(34,580ドル)の賞金を授与された。
リヤドを拠点に活動する学際的アーティストで数学教師でもある氏は、作品において、グローバル化が進むなか、サウジアラビアのコミュニティが自分たちの文化や遺産をどのように理解し、表現しているのかを追求している。
「Paradise Has Many Gates」は、伝統的なモスクのデザインと機能に似ているが、国境の壁や難民収容所に使われている檻のような亀甲金網で作られている。
ヴィクトリア&アルバート博物館の取締役で、審査委員長を務めたトリストラム・ハント氏は、「私たちは最終選考に残ったすべての作品に非常に感銘を受けました。彼らの革新的で想像力に富んだプロジェクトは、イスラムの伝統と現代のデザインを強く結びつけています」と語った。
「今年のJameel Prize受賞者であるガレム氏の作品は、世界情勢や移民の経験を物語っているだけでなく、ローカルな文脈においても特に大きな影響力を持っています」
「今回のJameel Prizeは、現代のデザインを称えるものですが、ガレム氏の作品は、素材の斬新な使い方と野心的なスケールが際立っています。透明なワイヤーフレームは、国境のフェンスを参照していますが、イスラム教徒ではない鑑賞者にモスクを理解してもらう効果があります」
「また、この作品を異文化間のつながりやコミュニティの集いの場として活用している点も評価できます」と氏は付け加えた。
Jameel Prizeは、Art Jameel社との提携により、ヴィクトリア&アルバート博物館のJameel Gallery of Islamic Artの改修後に創設された。第6回目となる今回は、新たな時代の幕開けとして、現代のデザインをテーマにした作品が選ばれた。
400件以上の応募の中から最終選考に残った、UAEやレバノンのアーティストを含む8名のファイナリストの作品は、ヴィクトリア&アルバート博物館で9月18日から11月21日まで開催される展覧会「Jameel Prize: Poetry to Politics」展で展示された後、世界各地を巡回する。
ガレム氏の「Paradise Has Many Gates」は、大判の写真プリント、ビデオ、モスクのドームの再現などのかたちで展示される。
Art Jameelのディレクター、アントニア・カーベル氏は次のように述べた。「今年のファイナリストたちは、美的配慮に細心の注意を払いながらも、このテーマに批判的かつ深く関わっている作品を発表してくれました」
「ヴィクトリア&アルバート博物館とのパートナーシップは、Art Jameelが地域や世界で行っている活動の延長線上にあり、現代の活動と歴史的な動きとの関係について、批判的な会話をもたらすものです」
「最終選考に残ったすべての作品を誇りに思うとともに、JameelのキュレーターであるRachel Dedman氏が、美術館全体で幅広くダイナミックなプログラムに日々取り組んでくれていることに感謝しています。最後になりましたが、話題とインスピレーションを与え続けているAjlan氏の作品に心から祝福を送ります」と氏は付け加えた。