

パリ:『ONE PIECE』が麦わら帽をかぶった向こうみずな海賊を世に送り出してから20年以上が経過し、この日本のアニメシリーズのファンは目を回して今週末の第1000話の放送を待っている。
1997年に漫画として連載が開始された『ONE PIECE』は2年後にアニメ版の放送が始まった。
以来この作品は数々の記録を打ち立て、世界中にファンを持つ文化界における世界的現象となっている。
だが作品はすぐに人気が出たわけではない。
放送回数1000回は「奇跡です」と話すのはアニメシリーズを手掛ける東映アニメーションの河内隆次氏だ。
「開始時より困難がある作品でした。テレビに移行するのは容易ではありませんでした」と同氏はAFPに対して語り、ファンの支持を広げることも簡単ではなかったと付け足した。
帽子のヒーロー、モンキー・D・ルフィの冒険が始まってから13年という長い月日をかけてアニメ版はカルト的な人気を手にした、と河内氏は述べた。
現在では数億人のファンが作品名の由来となる「ワンピース」という全ての海賊が追い求める秘宝をめぐる紆余曲折に固唾を呑んでいる。
アニメ版の人気が高まるのと並行して漫画版も人気作品であり続けている。
作者尾田栄一郎氏は「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」としてギネス認定されており、その総発行部数は正確には4億9,000万部である。
アニメ版の第1,000話は計80ヶ国で今週末放送される。
首都東京有数のターミナル駅である渋谷駅にはメインの登場人物が描かれた巨大な幟が立ち並んでいる。
米国各地では特別放映が計画され、日本に次ぐ規模の漫画・アニメ市場を持つフランスでは100軒以上の映画館でシリーズ作品のマラソン上映が予定されている。
ファン向けサイトにはアフリカからヨーロッパ、中東にいたるまで世界各地のファンの記念回を祝う自撮り写真が2万枚も投稿されている。
記念回を待ちきれないある日本人ファンは「私はファン歴20年です!」とツイートした。
「中学生の頃から観ており、大人になってからも大好きです」という。
オンラインプラットフォーム「Discord」上の漫画ファングループを管理する「ワンピ好き」フランス人アレクシス・ポリエルさんは『ONE PIECE』の視野の広さが人気の秘密だ、としている。
「社会問題を扱い、アクション・ユーモアもあります」と26歳のポリエルさんは述べた。
「『ONE PIECE』は人種問題から地政学的な陰謀論まで社会が抱える問題と本質的に繋がります」とポリエルさんは語った。
本作品は古代エジプトや中世日本といった地理的・文化的レファレンスにも富んでおり、それが普遍性をもたらせている。
将来的にはNetflixが実写版の公開を予定しており、ファンの間では『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』のように世界的に誰もが知るフランチャイズとなることを期待する声も上がっている。
今月初めにNetflixがルフィ役にメキシコ人俳優イニャキ・ゴドイを配したキャストを発表した際にソーシャルメディア上は火が付いたかのような騒ぎであった。
AFP