アメーラ・アビド
ジェッダ:歌手のこやすなほみ氏は、自身の日本のルーツとアラビア語を駆使した歌唱で、レバノンの伝説的アーティスト、ファイルーズの日本版として知られるようになった。
「ファイルーズ・アル・ヤバニーヤ」(日本のファイルーズ)は、何年も前からアラビア語の歌に親しんでいたという。 そして、1970〜80年代のポップスの名曲を日本語に翻訳し、原曲に合わせて歌うようになった。
こやす氏は、大学時代からアラブの器楽曲や歌謡曲を聴いていたという。
https://www.youtube.com/watch?v=6Vcjeue-w0U&ab_channel=NahomiKoyasuOfficial
「美しくすばらしい曲らは私にとって懐かしさ、心地よさを感じさせてくれます。アラブ音楽の歌の表現の緻密さによるものです」
「最初の頃は、聞こえる音を真似たり、日本語でアラビア語を書いてみたりしていましたが、文字だけではアラビア語の発音を表現できないことにすぐに気づきました」
彼女は東京のアラブイスラーム学院で学び始め、2つの言語の違いに驚かされた。
「日本語は終戦前まで右から左へ書いていた、というのが唯一の共通点です。それ以外は、日本語とアラビア語は、発音も語順も全く違います」
音楽文化の授業を担当していた彼女の教授が、北アフリカのチュニジアに赴いてその歌唱様式を学ぶ機会を与えてくれたことで、彼女の音楽の旅路は彼女をチュニジアに導いた。
「2010年に起きたジャスミン革命の影響で、残念ながら3カ月しか滞在できず、中断せざるを得ませんでした」
その後、訓練を重ね、日本語でアラビアの歌を歌うことで、彼女は評判になり始めた。
また、人気テレビ番組「アラブ・アイドル」第3シーズンに出演し、ファイルーズの曲を歌うアラブ歌謡歌手として評価を得た。
彼女が翻訳曲を歌うようになったのは、自分の情熱を日本の人々に伝えたいと思ったからだ。
「人々がアラビア語の歌を聴かないのは、意味がわからないからかもしれないと思い、自分が一番好きな歌を翻訳しました。それはユニークで、日本人に馴染みのある欧米スタイルの歌や日本のポップスとは全く違います」
文字通りの意味だけでなく、その人の気持ちが伝わるように歌詞を訳したいと考えたため、翻訳にはかなりの時間と労力を要した。そこで彼女は、日本語を話すアラブ人に意見を求め、言葉を選んでいったという。
こやす氏は、両方の文化が融合することで、面白いコントラストが生まれると考える。
「お互いを尊重し、好奇心を持って相手の文化に接すれば、とても興味深いものになると思います。違いを知り、それを楽しむために文化交流は必要なのです」
彼女は、アラブ人と日本人の両方から好まれるようなオリジナル作品を作りたいと考えている。
「アラブの文化をもっと日本に紹介したいです。そのためには、サウジアラビアに滞在して、現地の人たちとコミュニケーションをとることが必要です」