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マーベル初のムスリムスーパーヒーロー、イマン・ヴェラーニインタビュー

『ミズ・マーベル』はディズニープラス(Disney+)で配信予定。(提供)
『ミズ・マーベル』はディズニープラス(Disney+)で配信予定。(提供)
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26 May 2022 08:05:46 GMT9
26 May 2022 08:05:46 GMT9
  • 『ミズ・マーベル』の若きスターが、ディズニープラスの新シリーズでカマラ・カーンを演じる「シュールな」経験を語る

ウィリアム・ムラリー

ドバイ:2014年、イマン・ヴェラーニという少女は、地元カナダの書店でマーベル・コミックを立ち読みしていたとき、それまで見たことのないものを目にした。自分の顔に似ているそのキャラクターの名前はカマラ・カーン。彼女は新しいミズ・マーベルであり、同社の数十年にわたる歴史の中で最初のイスラム教徒のスーパーヒーローであった。その時ヴェラーニは、19歳でディズニープラスの『ミズ・マーベル』シリーズで、カマラ・カーンに命を吹き込むことになるとは想像もしていなかった。

「彼女を演じることは、これまでの人生で最もシュールなことです。私がコミックに夢中になったのは、彼女の中に私のような女の子を見たからです。彼女はパキスタン系イスラム教徒であり、スーパーヒーローの熱狂的ファンでした。そして私も同じくパキスタン系イスラム教徒であり、スーパーヒーローの熱狂的ファンだったんです。こんな話、ありえないって思ったし、今まで見たこともなかったから、本当に不思議でした。このコミックは、私の目の前に置かれた鏡のようでした。私は完全に彼女に恋をしてしまったのです」とヴェラーニは最近のメディア懇談会で語っている。

ヴェラーニ自身、まるで素晴らしい夢のような体験の中で、自分に起きたことをまだきちんと整理できていない。しかし、それも無理はないだろう。高校在学中にプロとしての経験の無いまま、無名の新人としてキャスティングされ、異国の地に飛ばされて、彼女のヒーローであるマーベル・スタジオの社長、ケヴィン・ファイギと対面することになったのだから。

ミズ・マーベルは、同社の数十年にわたる歴史の中で最初のイスラム教徒のスーパーヒーローであった。(提供)

「1年半の間、基本的にショックを受けっぱなしでした」と彼女は言う。

しかし、大好きなキャラクターを演じることは、彼女が形成期を通じてオンラインで熱心に感想を投稿していた「シネマティック・ユニバース」の世界とつながるチャンス以上のものであることが判明した。それは、イスラム教徒であり、パキスタン人である自分自身のアイデンティティを探求することでもあったのだ。自分の文化とは異なる友人たちと一緒に成長することは、彼女にとって簡単なことではなかったという。

「パキスタン人であることは、私の人生の中で非常に軽視されている部分であり、この作品に出会うまでは、自分の文化から切り離されたように感じていました。私はパキスタンで生まれましたが、1歳の時にカナダに引っ越しました。イスラム教徒やパキスタン人の友人はいませんでした」とヴェラーニは語る。「理解されない、という孤独を感じていました。学校の友だちと親しくしても、彼らは私の経験を知ることはないし、私も彼らの経験を知ることはないのです」

彼女は、大好きなキャラクターを演じることで、イスラム教徒であり、パキスタン人である自分自身のアイデンティティを探ることができた。(提供)

撮影現場では、ヴェラーニはテレビで見て育った南アジアの俳優たちに囲まれた。このキャラクターの共同クリエイターでマーベルのコンテンツ・キャラクター開発ディレクターのサナ・アマナットもパキスタン系アメリカ人であり、ヴェラーニを連れてきたのも彼女である。

「正直なところ、私にとって最も大きなことのひとつは、人生で初めて“褐色”の友人を持ったことです」と、ヴェラーニは座談会の後でアラブニュースに語った。「共演のリッシュ・シャーとセットでボリウッド音楽を聴いていたんですが、これは両親以外とはしたことのない経験でした。自分と同じようなバックグラウンドを持つ人と付き合う機会がなかったので、本当に新しい視点で物事を見ることができました」

座談会では、撮影現場でのアマナットのことを「お姉さん」と表現し、称賛していた。「映画界から遠く離れているように感じていた私は、幼い頃から映画界に入りたかったのです」と彼女は語る。「カメラの向こうで、たくさんの女性や有色人種と一緒に仕事ができて、本当に感謝しています。マーベルがより包括的になるためのステップを踏み、カマラのようなキャラクターが存在する場所を作っていることは、私にとってこれ以上ない幸せです。多くの扉が開かれることを願っています」

カマラ・カーン役を演じることは、ヴェラーニにとって最初は困難な作業だった。(提供)

彼女の旅は、コミックに登場するカマラ・カーン自身の旅とよく似ている。ヴェラーニはこの偶然を見逃さなかった。

「カマラと私の間に多くの類似点があることはとてもクールだと思います。私たち二人は自分探しの同じ旅をします。ドラマが進むにつれて、自分の家族、自分が受け継いだものを学びます。そして今、私はイスラム教徒であること、パキスタン人であることを、これ以上ないほど誇りに思っています。安っぽい言葉に聞こえるかもしれませんが、本当です」とヴェラーニは語った。

カマラ・カーン役を演じることは、ヴェラーニにとって最初は困難な作業だった。憧れのキャラクターを自然に演じることに苦労したのだ。

カメラの前に立つことに慣れていないとはいえ、ヴェラーニはこのドラマの脚本家たちに欠けている貴重な経験をしている。それは、2022年の今、ティーンエイジャーの少女であることだ。(提供)

「“私は演技をしているのだから、そのキャラクターになりきった”顔をしなければならないような気がして、本当に大変でした。そして、これは私にとって初めてのキャラクター、つまり初めての役でした」とヴェラーニは説明する。

このときもまた、マーベルの女性たちが彼女を助けてくれた。

「マーベルの素晴らしいキャスティング・ディレクターであるサラ・フィンが、ずっと私の手を握ってこう言ってくれました。『いい、私たちがあなたをキャスティングした。私たちはあなたが欲しいのよ。自分らしくいればいい。顔色をうかがう必要はない。それはあなたじゃない。あなたはもう既にカマラなんだから』って。それだけで私は安心することができました」と彼女は言った。

カメラの前に立つことに慣れていないとはいえ、ヴェラーニはこのドラマの脚本家たちに欠けている貴重な経験をしている。それは、2022年の今、ティーンエイジャーの少女であることだ。

『ミズ・マーベル』は、イスラム系アメリカ人の経験を描くだけのドラマではない。ティーンエイジャーであること、そしてそれに伴うあらゆる痛みと恥について描いているのだ。(提供)

「この番組は30歳が脚本を書き、16歳のキャラクターを描いています。ハリウッドでは、それが最も現実的な方法とは言えないことがよくあります」とヴェラーニは語る。「クリエイターが私たちを同じ人間として話してくれたことに感謝しています。監督から電話がかかってきてこう聞かれました。『君のことを聞きたいんだ。君の高校時代の経験を聞かせてほしい』と。最終的には、彼らはドラマに、私や他の人の実体験をたくさん取り入れてくれました。このような会話をすることがいかに重要であるかを示していると思います」

結局のところ、『ミズ・マーベル』の一部には、確かにアイディンティティの要素がある。しかし、このドラマは単にイスラム系アメリカ人の経験を描くだけではない。ティーンエイジャーであること、そしてそれに伴うあらゆる痛みと恥について描いているのだ。

「青春時代の“イケてない”感じをどうしても取り入れたいと思いました。ティーンエイジャーというのは、時に恥ずかしく、“イタい”ものだからです。ティーンエイジャーの頃は、すべてが高揚しています。小さな不都合でも、世界の終わりのように感じてしまいます」

サナ・アマナット(提供)

この番組が公開されれば、ほぼ一夜にして世界的なスターとなるヴェラーニの学びの日々は忙しい。彼女は『ミス・マーベル』の撮影から、ブリー・ラーソンと共演する2023年公開予定の映画『ザ・マーベルズ』の撮影に直行している。

「私は本当にペースを落とし、自分自身を大切にすることを学ばなければなりませんでした。作品への参加はとても素晴らしく、そして疲れる経験でした。立ち止まって自分自身のニーズに気を配らなければ、やっていけなくなるでしょう」と彼女はアラブニュースに語っている。

ヴェラーニは、“マーベル初のムスリムスーパーヒーロー”の座を射止めたことで、そのフレーズに一生縛られることを十分承知している。しかし、彼女は賢く、この言葉で自分を定義させることはない。

「マーベルが私を信頼して、彼女を生み出したことは名誉であり特権です。でも、毎日『あ、私、初のムスリムスーパーヒーローだ』なんて思いながら仕事に行くことはありませんよ。そんなことでは、何もできなくなってしまいます」

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