
カンヌ(フランス):高名な日本人映画製作者の是枝裕和氏は木曜、カンヌ国際映画祭の最高賞を競うコンペティションにおいて、韓国のオールスターキャストと組んだことで、おそらく韓国の監督達の羨望を受けるため、成功しなくてはならないというプレッシャーを感じていると述べた。
2018年に『万引き家族』でパルムドールを受賞した是枝氏が、議論を呼ぶ望まれない赤ん坊のための「赤ちゃんポスト」についての映画『ベイビー・ブローカー』を携えて、再びカンヌに戻ってきた。
同氏は韓国のトップ俳優らに会った後で同国をロケ地に選んだ。キャストには韓国の大スターが勢ぞろいしている。
2019年にカンヌで最高賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』に出演したソン・ガンホの他、カン・ドンウォン(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)、ぺ・ドゥナ(『復讐者に憐れみを』、『センス8』)、K-POP スターのイ・ジウンがキャストとして名を連ねる。
「超一流のキャストと国内最高の技術スタッフが集まっていることは承知していて、韓国の監督達は少し羨ましがるかもしれません」と同氏はAFPのインタビューで語った。
「それはつまり、もし映画が失敗したり、観る人の期待を裏切るものだったりしたなら、明らかに私の責任だということでもあります。それがプレッシャーになると冗談めかして言ってはいますが、実際のところその通りだと思っています」
この映画はパルムドールを競う2本の韓国映画のひとつ。もう1本はパク・チャヌク監督の『別れる決心』だ。
『ベイビー・ブローカー』は、母親が父系社会の中でシングルマザーとなる不名誉や困難を回避するため匿名で赤ん坊を置いていくことができる、いわゆる赤ちゃんポストを題材としている。
多くの場合孤児院に送られる子ども達は、後に望まれない赤ん坊だった自分は生まれないほうが良かったのではないかという疑問を抱く。
55歳のソン氏は、オスカー作品賞を外国語映画として初めて受賞した『パラサイト 半地下の家族』で家長を演じて世界的注目を集めた。
同氏は韓国の映画製作者らに長く愛され続けており、吸血鬼となる自己抑制の強いカトリック神父から我が子を餓死させる李氏朝鮮時代の王まで、さまざまな役柄を演じてきた。
『ベイビー・ブローカー』で彼が演じたのは借金を抱えた男。男は置き去りにされた赤ん坊を発見し、進んで赤ん坊の新たな家族を探すが、それは金と引き換えの行為だ。
女優でK-POPスターでもあり、IUの名でも知られるイ・ジウン氏は、赤ん坊を置き去りにする年若い母親を演じる。
同世代で最も成功しているK-POPアーティストのひとりである29歳の彼女は、2018年の連続テレビドラマ『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』の中で膨大な借金を抱えた 若い女性を演じ、大絶賛を受けた。
是枝氏は、韓国と日本の緊張関係をものともせずに韓国の才能ある人々と強固な関係を築き、貿易戦争の最中の2019年に釜山国際映画祭を訪れて多くの人を驚かせた。
AFP