ナダ・アルトゥルキ
リヤド:サウジアラビアの芸術の世界的な認知度を高めるため、テクノロジーと伝統的な慣習の融合が進んでいる。
没入型体験の開発会社の協力のもと、サウジアラビアで開催される主要なイベントに参加するアーティストたちが、拡張現実、仮想現実、複合現実の技術を駆使して作品を展示している。
ジェッダを拠点とするMIDWAM社は、ヌール・リヤド、MDLBEAST、アル・ウラー・デーツフェスティバルなどのフェスティバルで、公共・民間セクターのブランド促進に取り組んできた。
MIDWAM社の共同設立者兼CEOであるハーリド・アル・ムアワード氏は、アラブニュースに次のように語った。
「私たちは基本的にシーン全体を見て、人間中心のアプローチから捉え、何が人をその業界へ惹きつけ、引き込むことができるかを考えています」
ヌール・リヤドとのコラボレーションでは、4人のサウジアラビア人アーティストと協力して、彼らの作品にハイテクの視点を取り入れている。
MIDWAM社の制作部門のシニアメンバーで参加アーティストであるモハメド・アル・サニー氏は、アラブニュースに次のように語った。
「私たちの取扱商品では、あるいはアーティストと仕事をする場合でも、テクノロジーはイネーブラー、あるいはツールと考えるのが普通です。テクノロジーは、私たちの活動の主役になるべきものではなく、私たちが活用するツールであるべきなのです」
ニューメディア・アーティストであるアル・サニー氏の作品は、主に1980年代のレトロSFやシンセウェーブという電子音楽ジャンルに影響を受け、過去を通して現在と未来を説明することを目指している。
作品の一つ『Dreams in Color』は、屋外に設置されたLEDインスタレーションで、木材、金属被覆材、発泡スチロールの足場で組まれたスクリーンに映し出されるループ映像によって、リヤドの別バージョンを提示するものである。
同氏は次のように述べた。「これはレトロスタイルの美学なので、すぐに頭に浮かんだのは、祖父母が持っていたことを多くの人が覚えているであろうブラウン管(CRT)テレビでした。テレビの画面は現代のもので、新しいテクノロジーと古いものを融合させた彫刻作品の制作を思いつきました」
同氏のアイデアは、1950年代から60年代のモノクロテレビをベースに、暖かな色調とネオンのアクセントで構成されレンダリングされた3Dの世界で未来に新たなイメージを与えるというものだった。
「この作品のタイトルである『Dreams in Color』は、その情報をもとに、ポジティブでハッピー、シュールかつ想像力に富んだ方法で、人々の夢に影響を与えようとする試みです」とアル・サニー氏は付け加えた。
アートフェスティバル「ヌール・リヤド」は「We Dream of New Horizons」をテーマに開催され、さまざまなメディアを通じて光のイノベーションを提唱した。
アル・サニー氏は、自身の作品はデジタルとフィジカルのバランスを取ることを目的としており、レトロフューチャー的な描写によって新旧のリヤドを比較するものだと語った。
また、MIDWAM社は他のアーティストと連携して、コンテンツの開発やユーザーの体験のストーリーボード作成を行っている。
サウジ・アート・カウンシル(SAC)の「21,39」イニシアチブの一環として、マルワ・アルムガイト氏と共同で、3D映像プロジェクションマッピングのパフォーマンスを制作した。
アル・ムアワード氏は次のように語った。「その体験を作り出す際には、その芸術の指針を視野に入れておく必要があります。彼らは、その体験の道のりがどのようなものであるかについて、極めて正確かつ詳細に把握しているのです」
マルチメディア・アーティストの、ダニア・アル・サレー氏の「ヌール・リヤド」の作品では、MIDWAM社はスケッチ、ビジュアル化、映像作品のマッピングに協力した。
保守的な社会において公に愛情を表現することへの抵抗感を、社会的な解釈を通じて探求した。
AIで生成された複数のフェイクの人物が柱に投影され、アラブの有名なラブソング26曲を口パクで歌い、公共の場で愛を宣言するというものだ。
アル・サレー氏はアラブニュースに次のように語った。
「MIDWAM社は、ウード・スクエアの私の作品『Love Stories』の制作を担当しました。私の作品にはマッピングが少し含まれていたので、彼らが担当したのですが、本当に実践的でした。私の要望を正確に理解していただくまで、何度も打ち合わせをしました」
また同社では、携帯電話を使った観客参加型の作品『With Light I Create a Hand of Love and Extend it to You』を制作したモハマド・アルファラジ氏や、歩行者の動きで点灯するインタラクティブな街灯『Walking Lights』を発表したモハメド・アル・ハムダン氏と共同で制作した作品もある。
サウジアラビアを世界的なプラットフォームに位置づける取り組みとして、パブリックアートのイニシアチブ、コミュニティに影響をもたらすこと、環境問題を温かみのものにすることなど、アートシーンを活用することは、同社にとって重要な鍵となった。
「これらはすべて、ソフト・パワーと呼ばれる要素です。ある人々や国に対して、完全に限定された特定の視点がある場合、アートが入ってくると、それが完全に変わってしまうのです」とアル・ムアワード氏は付け加えた。
アル・サニー氏は次のように語った。「アーティストが作品に自分のナラティブを吹き込みます。さらに、訪問者や観覧者が自分の認識を発揮することで、作り手と鑑賞者の間の見えない会話になるのです」