


東京: 日本の漫画の主人公キャプテン翼は、リオネル・メッシ選手など世界中で数多のサッカーのスター選手を鼓舞してきた。 キャプテン翼の作者は、ペンを置いて オーナーを務める実際のチームでトップを目指そうとしている。
高橋陽一氏は、サッカーの天才である11歳の大空翼を描く漫画の連載を1981年に始めた。 漫画は世界中で大ヒットし、アニメ映画やゲームが作成され、東京東部の生まれ故郷には像まで立つことになった。
イタリアでは『オーリ・エ・ベンジ』、スペイン語圏ラテンアメリカでは『スーペル・カンピオーネス』として知られるキャプテン翼シリーズは、メッシ選手やアンドレス・イニエスタ選手などがスーパースターの地位を得るまで、熱心に読んだり観たりした作品だ。
いま高橋氏は漫画のシリーズを締めくくり、別の情熱に集中する準備をしている。 オーナーとして、地元のリーグ外チームを日本のプロリーグであるJリーグに加盟させようと挑戦しているのだ。
高橋氏がチームに加わってから、クラブ名は キャプテン翼に登場する架空の学校のチーム名から、南葛SCとなった。
「 ここから何か新しいことができます」と62歳の高橋氏は、東京にある自身の作業場でAFPに語った。 そこにはイニエスタ選手や、元スペイン代表のチームメイトであるフェルナンド・トーレス選手など、有名なファンからもらったサイン入りのサッカーシャツが飾られていた。
「 あらゆるクリエイティブな仕事を完全に辞めてしまうという意味ではありません。まだエネルギーがあるうちに、自分なりに新しいことを始めたいんです」
高橋氏は1978年のワールドカップをテレビで見てからサッカーに夢中になった。
当時プロリーグがなかった日本で、サッカーを人気にさせる一助となりたいという思いから、キャプテン翼は生まれた。
今では、100カ国以上でキャプテン翼は 注目を集めているようで、 漫画は日本で7,000万部以上、世界では1,000万部以上売り上げている。
「 世界中で読まれるなんて 想像していませんでした」
次のシリーズがおそらく、最後に描くシリーズになるだろうと 高橋氏は言うが、愛されたキャラクターは形を変えて生き続けるだろう。
毎週の締め切りから自由になれることを楽しみにしていて、辞めることについては「悪い気持ちは何もない」と言う。
高橋氏が地元のクラブに参加したのは10年前で、2019年には オーナーとして引き継ぎ、日本サッカーの リーグ構成において5番目に 上がる ため尽力した。
南葛は2回昇格するだけでJリーグ3部のJ3に届く位置にいる。
チームがトップリーグにまでたどり着けると高橋氏は 信じているが、 所属するリーグよりもクラブの本質の方が大事なのだと言う。
「 ヨーロッパでは地元のクラブを応援することが至って自然なことなのに、日本にはそうした文化はありませんでした」
「 地元には クラブチームがなかった ので、自分で作りたかったんです」
Jリーグ30周年となるシーズンが今月後半にキックオフする。 1993年に10チームだったリーグは、3部合わせて60チームにまで増加した。
南葛の本拠地の葛飾区は先月、チームが新しいスタジアムを建設するための用地を購入すると発表した。 スタジアムはJリーグに加盟するために必要となる施設だ。
「キャプテン翼スタジアム」 という名称になるかもしれなく、 世界中から旅行者を惹きつけるため、 キャラクターの記念グッズミュージアムを付設する計画もある、と高橋氏は言う。
プロモーションを推し進めるため、チームは有名選手の 加入さえ行い、 元日本代表選手の稲本潤一選手と今野泰幸選手と契約を結んだ。
高橋氏は言う、クラブオーナーになることは「楽しいこともあるが、難しいことの方が多いです」。
「漫画なら、部屋に閉じこもって見た通りを描けばいいのですが、オーナーになったらたくさんの人に会わなければならないし、計画も考え出さなければなりません」
高橋氏は日本にサッカー文化を根付かせる上で大きな貢献をしてきたが、さらに成長させる余地があると信じている。
そして、生きているうちに日本がワールドカップで優勝できると考えていて、代表チームの若いフォワード久保建英とキャプテン翼の間に 類似点を見出している。
高橋氏はカタールで昨年のワールドカップ決勝を観戦し、メッシ選手が何年もの挑戦を経てついにトロフィーを掲げた様子を見られて喜んだ。
しかし キャプテン翼の鼓舞する能力は「スーパースター選手だけに向けられたものではありません」
「本心では、漫画というのは子どものためにあると思っています」
「 1冊の漫画が、とある年代の子どもに大きな良い影響を与えられたら、とても幸せなことです」
AFP