
Mohamed El-Shamaa
カイロ
ギザに新しくオープンする巨大博物館の建築は大幅に遅れていたが、エジプト政府担当者と日本のプロジェクト支援者の間で会合が持たれ、完成に一歩近づいた。
カイロでは最近、エジプト遺跡省のKhaled El-Anany大臣と能化正樹駐エジプト日本大使が会談し、大エジプト博物館 (GEM) の展示に関する進捗について話し合った。
この巨大博物館の建築は 2006年の建築開始以来繰り返し頓挫してきたが、ようやく2020年第四半期に開館の運びとなった。大エジプト博物館は日本とエジプトの文化協力事業の一環であり、日本からは7億5000万ドル相当の融資が行われている。
さらに能化大使を代表とする在カイロ日本大使館代表団と日本国際協力機構 (JICA) 担当者らを迎えてエジプトの首都で一連の会合が持たれたが、これは博物館開館に向けての準備の総仕上げを目的とするものであった。
会合ではまた、オープン後の日本の技術協力の可能性についても検討された。
日本からエジプトへのプロジェクト関連融資は2006年当初2億8000万ドルであったが、博物館完成を目指し2016年末までに4億6000万ドルの追加融資が行われた。エジプト政府との間では25年で融資を返済することで合意がまとまっている。
プロジェクトへの追加融資についても現在交渉が進行中であるが、これがまとまれば融資総額はさらに大きく膨らむだろう。
大エジプト博物館は当初2015年の開館が予定されていたが、エジプトでの抗議活動激化とそれに伴う観光客の激減によって工事は大幅に遅れていた。
しばしばエジプトから世界への贈り物とも言われる大エジプト博物館はこの北アフリカ国家の巨大プロジェクトの一つであり、文化・考古学分野におけるエジプトと日本の協力関係のモデルとなるプロジェクトでもある。
博物館にはすでに48,000点を超える遺物が運び込まれており、日本は遺跡修復や最新テクノロジーを用いた展示などについて幅広い支援を行っている。
考古学者Ahmed Nabih氏は日本の協力によって「博物館の建設は大きく進展した」と語り、博物館は世界中から観光客を集める「偉大な場所」になるだろうと述べた。
経済分野のジャーナリストAmira Gad氏は博物館完成のために行われるエジプトへの新たな融資はエジプトにとってさらなる重荷となり、すでに1兆ドルを超えている対外債務がさらに膨らむことになるだろう、と述べる。
ただし同氏は、事態が順調に推移すれば、博物館オープン後の収益がコストをカバーしさらには利益を生むことも期待できるとも語っている。