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アンディ・リー:禅アートとポップカルチャーを融合させた独特の芸術的美意識

日本の漫画・欧米コミックのための作品を複数手掛けたアンディ・リー氏。
日本の漫画・欧米コミックのための作品を複数手掛けたアンディ・リー氏。
日本の漫画・欧米コミックのための作品を複数手掛けたアンディ・リー氏。
日本の漫画・欧米コミックのための作品を複数手掛けたアンディ・リー氏。
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21 Mar 2023 02:03:17 GMT9
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アミン・アッバス

アブダビ:香港出身のアーティストであるアンディ・リー氏は、東洋と米国の間を往復し、禅アートとポップカルチャーを融合させた独特の芸術的美意識を生み出した。

同氏の作品には、「ドラゴンボールZ」、「犬夜叉マガジン」、「DCコミックスvsトレーディングカード(ブロンズタイガー、センセイ)」、「Kindred of the East」の「Vampire the Masquerade」、「アルティメット・マーベル・チームアップ(スパイダーマンvsマスター・オブ・カンフー)」などのイラストを含む。

リー氏は、アラブニュース・ジャパンによる独占インタビューで、ポップカルチャーへの愛を語った。「若い頃、私は毎日図書館に行って、無料で読めるたくさんの漫画、特に『ウォッチメン』のグラフィックノベル、フランク・ミラー氏の『ダークナイト・リターンズ』、『エルフクエスト』などを楽しんでいました」

「フランク・ミラー氏は私が最初にファンになった漫画家兼・作家で、『ダークナイト・リターンズ』(バットマンの物語)の後、キャラクターに命を吹き込む同氏の能力により『ウルヴァリン』のファンになりました。ドイツを舞台にしたミラー氏の『スパイダーマンvsウルヴァリン』は、10代前半にスパイダーマンをたくさん描いていた私の視覚的ロマンスへの最後の足がかりとなりました。それはたまたま、黒い墨と竹の筆を使う画法を紹介されたときでした。竹と梅の花を描くために(筆さばきやマークメイキングについて)受けたレッスンは、家でひそかにスパイダーマンを描くのに応用しました。次の日、伝統主義の教師たちには恥ずかしくて見せられませんでした」

「禅画は(視覚的にも文化的にも)現代的な環境を利用して、その時代に一般的に存在する認識可能な近代的風景や物、さらには幻想さえ描き上げます。したがって、特に10〜20年ごとにリメイクされる(それによって、現代の大衆映画や製品販売を保証する)現代においては、過去を手放さず、それを他者に共感して関連付けるための言語として使用し、比喩や冗談に大衆の知識を用いることは私にとってメリットしかありません。したがって、過去に自分に喜びをもたらしたものを思い出すことは、コンテクストを求められるアート・コミュニケーションにおいて優れた視覚的リソースです」と付け加えた。

イラストレーターとしてのキャリアの確立について、リー氏は次のように述べた。「私は人に喜んでもらうのが大好きで、私の描き方を見るのが好きな人たちが喜んでくれることで、上手に絵を描く能力が常に強化されました。一見ランダムなしぶきを散らした後に描きたいイメージをすばやく明らかにするプロセスと、作品を完成させるまでに指から肘、筆に至るまで何でも完全に奔放に使うデモンストレーションの両方においてです。私のイラストの描き方は非常に動的であり、観客がいてもいなくてもそうなっていたでしょう。それが、絵を仕上げるとき(ルールを持たない)禅の原則だからです」

イラスト分野における初期のプロジェクトについて、リー氏は次のように述べた。「私の叔父であるサム・リー氏がプログラムした、コンピューターオーディオエディター用のボタンやデジタルコンソールの設計など、いくつかの小さな作品があります」

「しかし、イラストの分野で最初に手掛けた人気作品は、『East Vampire the Masquerade』シリーズのゲームブック『White Wolf Kindred』の表紙、表紙裏、スポットイラストでした」

「そのコンセプトは、当時の編集者ローレンス・スネリー氏の指示で、非常に自由なものでした。スネリー氏は、私が学んだ技法を使ってアートを創作することを許可してくれました。主題を暗示しながら、わざと不完全に見える筆致で描く禅の絵画技法です。これを意図的に行った僧侶は見る人の心が絵と相互作用し、完全な絵を作成するためだと信じていました。このアジアの技法は、骸骨、トラ人間、ドラゴン、中国のキャラクターなどの吸血鬼や他のトピックを描くためにポップカルチャーに借用されました。私のスタイルと描き方にぴったりでした。この伝統的なスタイルが、大衆文化や現代のテーマに目を向けて応用するときに提供できる無限の可能性に気づかされました」と付け加えた。

アンディ・リー氏は、日本の漫画雑誌でのイラストレーションで知られており、アラブニュース・ジャパンにそうした雑誌での仕事についてこう語った。「そのプロセスは、仕事で私を雇った編集者や出版社の思いやりとエチケットのおかげで、常に大変スムーズでした。『犬夜叉』は、地図を作る必要があったので大変でした。『ドラゴンボールZ』は、絵具のしぶきを散らしてよかったのでとても楽しかったです。1つは3ページで、数週間かかり、もう1つは、1分で色塗りを終えた表紙でした。特に、レイヤーで着色すると数時間かけても最終的に美しくなると信じているので制作時間とコストのパラダイムを考慮していますが、一筆描きの技法では、上手く描くチャンスは1度しかありませんから……スキルがもっと必要でしょうか。したがって、私が引き受ける仕事の中で最も記憶に残る部分は、クライアントが本当に望んでいる自分自身のバージョンをさりげなく見極めることです。それに最も配慮が求められるからです」

中東訪問について、リー氏は次のように述べた。「昨年の3月、アブダビで開催された中東フィルム・コミコンに初めて参加し、いくつかのアートワークショップを指導しました。素晴らしい経験をして、一生涯の友人とたくさん出会いました。禅アートの技法を新しい人々や異なる文化と共有できることをいつも光栄に思っています。皆とても親切でした。幸運にも、自宅から14,000キロメートル離れたこのような素晴らしい人々とつながることができました」

日本への訪問について、リーは次のように述べた。「『ドラゴンボールZ』の作者が育った場所で、そのスタイルの起源となった愛知県の名古屋ですね。LEDのキャラクターとその幻想が世界を支配したなら限界のない渋谷、そして言うまでもなく東京です。今でも、私の好きな監督である(『乱』、『羅生門』などを監督した)黒澤明の行きつけだった場所やロケ地の足跡をたどりたいと思っています。また、刀の鍛冶場を見学したかったのですが、ちょうどよいつてがありませんでした」

「幸運なことに、トヨタのハイブリッド用プラスチック部品を製造している愛知県の工場で短期間働くことができました。クリアブルーのプラスチック製ギアノブ・シフトレバーの部品が、工場塗装された白いフォントを介してドライバーが使っているギアを読み取ります。この国の静かだが揺るぎない労働倫理は、実際にその経験の中に示されていました。どんなに面倒で些細な行動であっても、意欲を維持する労働者の能力です。誰もが非常に集中しており、クリアブルーのプラスチック製ギアシフターノブ・ギアシフトインジケーターすべての品質と完璧さに強い関心を抱いています。1ヶ月後、私は小さなプレゼント、手作りのコマをもらいましたが、これはとても深遠なメタファーでした。早起きして輪になって運動し、一日中全力を尽くした経験を共有してくれたことに対する感謝のあまり、泣きました。

自動化された成形プレスから出てくるプラスチック成形品に関しては、1,000個に1つか2つの不良品しかありません。私たちの仕事は、それを見分けて排除し、完璧な製品を箱詰めすることでした。名古屋のブルーカラー労働者たちと共に働き酒を飲むこと以上に、日本人の気概について教えてくれたものは、典型的な観光地にはありませんでした」と付け加えた。

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