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「クリンフルエンサー」がTikTokを席巻、数百万人が視聴

人気を集めたTikTok動画のスクリーンショット。(左から)掃除・整頓を実践して見せる近藤麻理恵氏、アウリ・カナネン氏、アビ氏。
人気を集めたTikTok動画のスクリーンショット。(左から)掃除・整頓を実践して見せる近藤麻理恵氏、アウリ・カナネン氏、アビ氏。
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23 Mar 2023 07:03:33 GMT9
23 Mar 2023 07:03:33 GMT9
  • TikTokの世界的流行で、掃除動画はソーシャルメディア上の大人気コンテンツとなり、動画の投稿を始めようと考える人も増えている

ヘルシンキ(フィンランド):近藤麻理恵氏は敗北を認めざるをえなかったかもしれないが、新たな世代の「クリンフルエンサー」がソーシャルメディア上で旋風を巻き起こしている。彼らが汚れきった部屋をピカピカに磨き、掃除のコツを少しずつ共有してくれる姿を、数百万人が視聴しているのだ。

ヘルシンキのアパートの1室でごみの山をかき分けながら、アウリ・カナネン氏は床にあった、腐って虫の湧いたピザを見つけた。

「私は掃除が大好きです。ごみも大好きなんです」と30歳のフィンランド人であるカナネン氏は言い切った。彼女のソーシャルメディア上のフォロワーは、近藤氏(日本人の片付けのカリスマで、3人目の子供を出産後は散らかった状態も受け入れていると認めて話題になった)よりはるかに多い。

カナネン氏は「これ以上ないほど汚れた家」を求めて世界中を旅して、もっとも成功した「クリンフルエンサー」の地位に素早く昇りつめた。

「フォロワーがたった19人だった頃のことを覚えています。その頃でさえ、見知らぬ19人の人が、私の掃除動画を見たがっていると思うと、最高の気分でした」とソーシャルメディア上ではaurikatariinaの名で知られるカナネン氏は語った。彼女はTikTokで900万人、YouTubeで200万人のフォロワーを持つ。

明るく楽しい雰囲気の動画で、カナネン氏はポップミュージックをBGMに、トレードマークとなったホットピンクのゴム手袋をしてほこりをはたき、磨き、整理整頓をして見せる。

彼女自身の声で、汚れた部屋の住人が惨めな生活を送るに至ったかを説明するナレーションが入る。

「通常、彼らは精神疾患を持っているか、人生で何らかの悲劇を経験しています」とカナネン氏はAFPに説明した。

上記のヘルシンキのアパートの住人は、鬱状態の若い男性で、彼の兄弟は多発性硬化症で苦しんでいる。

カナネン氏によると、彼女自身も鬱を経験したため、悲惨な状態で暮らす人々の気持ちが分かるという。

「打ちのめされて動けなくなるという経験を、身をもって知っています」と彼女は話す。

だが同時に、彼女は経験からどんな状況にも希望があると学んだという。

カナネン氏の動画のコメント欄は、自分が抱える困難と向き合う力をもらったとして、彼女の相手を批判しない態度を称賛する声であふれている。

「彼女がゴミ屋敷の住人を理解し、責めるのではなく助けようとしているところに心を打たれます」とあるコメントは述べている。

TikTokの世界的流行で、掃除動画はソーシャルメディア上の大人気コンテンツとなり、動画の投稿を始めようと考える人も増えている。

「掃除動画を見ていたら、これは私が家でしていることじゃないかと気づいたんです。そこで、撮影を始めました」と27歳のアビ氏(200万人のフォロワーにはcleanwithabbiの名で親しまれている)は回想する。

イギリス人のシングルマザーであるアビ氏は、リバプール近郊のハイトンにある赤レンガ造りの自宅で部屋を片づけ、皿を洗い、掃除機をかける様子を動画にしている。

アビ氏の一番下の子供、ビリー君は感覚処理障害を持っているため、掃除は彼女の生活の重要な部分である。

「彼は決まった日課を守ることが本当に好きで、すべてがきれいに片付いている状態が好きなんです」と彼女は説明する。

アビ氏は本名を明かすことを望んでいないが、現在はTikTokの動画で生計を立てている。

メーカーが提供する製品を動画の中で使うことで、動画1本当たり720ドルから1,200ドルを得ている。

アビ氏と、息子のジャック君とビリー君(6歳と5歳)は、携帯電話の撮影ボタンを押すと、素早くベッドを整え、ぬいぐるみをきちんと並べる。

「掃除にはリラックス効果があります。セラピーのようなものです」と彼女はAFPに話した。

「私にとって、心配事から逃れる手段なのです」

イングランド南部で暮らす、フルタイムの掃除婦であるアン・ラッセル氏は、また違ったアプローチを取っている。
黒い犬のホリーと一緒にソファに座り、携帯電話で自分の顔を撮影しながら、彼女はTikTokフォロワーの1人からの質問に答える。

木のテーブルに付いたフェルトペンのインクを、ニスを傷めずに落とすなら、イソプロピルアルコールがお勧めだとラッセル氏は教える。「綿棒をアルコールに浸して、そっとふき取るんです」

ラッセル氏によれば、人々は正しい掃除の仕方を知らない。

「誰も教えてくれなければ、どうやって知ればいいのでしょう」と彼女はAFPに話した。

ラッセル氏は1日に4本から12本の動画を撮影し、230万人のフォロワーからの質問に単刀直入に答えていく。

「スイッチを入れ、携帯電話に向かって話す。それで終わりです。できるのはそのくらいで、私はそれほど有能ではないので」と彼女は笑いながら言った。

ラッセル氏によると、動画が成功している背景には掃除による「満足感」があるのかもしれない。

ラッセル氏やアビ氏の動画の視聴者の大半は女性とミレニアル世代、そして掃除をする気になれず苦労している人々である。

「靴下を洗い、両足分をそろえ、引き出しにしまう。それだけで、仕事を仕上げたという満足感を与えてくれます」とラッセル氏は指摘した。

「掃除と整頓は、自分が身の回りのことをしっかり管理できているという感覚を与えてくれます。私生活が管理できていると感じられれば、外の世界もより安全に思えるのではないでしょうか」

AFP

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