ロンドン:バービーの映画がこのような混乱を引き起こすとは誰が予測しただろうか? この象徴的な人形は、近日公開予定のグレタ·ガーウィグ監督の映画の題材となっているが、その制作には膨大な量のピンク色の塗料が必要だった。あまりにも大量だったため、ある企業の全世界の供給が枯渇してしまったほどだ。
監督は最近、プロダクションデザイナーのサラ·グリーンウッド氏や舞台装飾を手掛けたケイティ·スペンサー氏とともに、米国のデザイン誌「Architectural Digest」のインタビューを受けた。そしてその中で、道路から街灯の柱に至るまですべてが蛍光ピンクに塗られた風変わりな世界「バービーランド」の構築について語っている。
インタビューの中で、6回アカデミー賞候補になったことのあるグリーンウッド氏は「バービー」がピンク色の塗料の不足を全世界で引き起こしたと明かした。
「世界は『ピンク切れ』となりました」と同氏は言う。
この出来事はいくつかのメディアで報じられた。映画で使用された塗料を提供したRosco社のバイスプレジデントであるローレン·プラウド氏は、「ロサンゼルス·タイムズ」である見方を示した。
同氏は映画で「手元にある塗料をすべて使った」ことを認めた。だが、新型コロナにおける世界的な供給網の問題やテキサス州の異常気象が「バービー」の制作と重なり、塗料に必要な資材に影響が出たのだと説明した。
「そうした物資の不足がありましたが、私たちはすべてを提供しました。彼らが自分たちのせいだと言えるかどうかは分かりません」。プラウド氏はそう言いながらも、「映画のせいで在庫がすべてなくなった」と認めた。
ガーウィグ監督は、目の飛び出るようなピンクが映画の美術面での「子供らしさ」の鍵となっていると「Architectural Digest」で述べている。
「バービーランド」のデザインは、パームスプリングスにあるカウフマン邸やウェイン·ティーボーの絵画、それに「ピーウィーの大冒険」や「巴里のアメリカ人」といった映画からヒントを得ている。
監督は「とても明るいピンクにしたかったのです。そして、全体的にやり過ぎ感を出したかったのです」と語り、「子供の頃にバービーに夢中にさせてくれたものの本質を捉えたかった」という思いを力説した。
「プールに滑り落ちることができる状況で、どうして階段を下るのでしょう? ドレスに合ったエレベーターがあるにもかかわらず、どうして階段をとぼとぼ上るのでしょう?」と監督は言う。
幸いなことに、舞台デザイナーは映画制作に必要なだけの塗料を確保できた。制作の大部分は、英国の「ワーナー·ブラザース·スタジオ·リーブスデン」で行われた。
「バービー」にはスターが勢ぞろいしており、バービー役にはマーゴット·ロビー、ケン役にはライアン·ゴズリングというトップ俳優がキャスティングされている。その脇を固めるのは、ウィル·フェレル、シム·リウ、デュア·リパ、ヘレン·ミレン、イッサ·レイ、アメリカ·フェレーラ、ケイト·マッキノン、マイケル·セラ、ヌクティ·ガトワといった面々だ。
当初は中東および北アフリカで上映できない可能性の噂もあったが、制作会社は、今年最も待望の作品である当作品が7月21日に全世界で公開されると発表した。