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アーティストら、「I Love You, Urgently」にて環境危機を訴える

15 Feb 2020
マルワ・アルムガイト氏の動画は、力強いパフォーマー集団による動きや歌を通し、危険に晒された生物の反射的で無意識な防御メカニズムを彷彿させるようなものである。(提供あり)
マルワ・アルムガイト氏の動画は、力強いパフォーマー集団による動きや歌を通し、危険に晒された生物の反射的で無意識な防御メカニズムを彷彿させるようなものである。(提供あり)
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Updated 15 Feb 2020
15 Feb 2020
  • ‘21’39 Jeddah Artsの最新の展覧会では、観覧者に対して変化を呼び掛けている。

レベッカ・アン・プロクター、ジェッダ

アル・バラドは、ジェッダにある歴史的な地区である。そこの曲がりくねった道を奥に進んでいくと、数多くあるユネスコ世界遺産の伝統的な家屋の中の1つに辿り着く。その中に入ってみると、思ってもみなかった光景が広がっている。サウジアラビアや世界の環境危機をテーマとした、映像作品やインスタレーションが数々並べられている。

これらは、‘21’39 Jeddah Artsによる第7回目の展覧会のメインを飾る「I Love You, Urgently」の作品たちである。会は4月18日まで、ここで開催されている。マヤ・エルカリル氏が主催するこの展覧会では、現地や世界各国から21名の芸術家の作品を展示している。これらの作品は、どれも地球の世界的な危機に焦点を当ててたものだ。

部屋の1つを覗くと、国の東部やリヤドにある色鮮やかなの親水公園の景色がスライド映像として映し出されている。公園内の滑り台や遊具の楽しそうな雰囲気は、それらの写真を見た者をすぐに夢中にさせる。しかし、これらには一つ違和感がある。写真には誰一人として人物が映っていないのだ。

サウジアラビアのアーティストであるアラア・タラブゾウニ氏とファハド・ビン・ナイフ氏の作品「Al-Manakh, You Will Be Missed」(2019)では、ヤママーセメント工場の話を紹介している。

「1056%」という作品は、東部からのアーティストであるアジズ・ジャマル氏による今年作のインスタレーション作品である。ここでは、元々は手を込んで作られ活気のあった親水公園が、今では放棄され無目的な場と化した様子を記録している。どうしてそんな状況になったのだろうか?これらの荒涼とした映像は、サウジアラビアの裏に隠された危機を叫び出している。その危機とは、サウジアラビアでは世界水危機回避のしきい値である20~40%を超え、総再生可能な水源の1056%の水を使用しているということだ。国は、水の負債を負っているのである。

今、王国はその急速な発展を続けている。今年後半にオープンする予定のジェッダタワーは、高さ3,280フィートを誇り、世界で最も高い建物となる見込みだ。そんな中、地域の景観を脅かすような水の緊急事態に国がどのように取り組むのか、答えは出ていない。ジャマル氏は、自身の作品を通してこの問題に焦点を当てている。

「『I Love You, Urgently』に参加して分かったことがあります。それは、私たちの体や環境との関係を築くときに連結性がとても重要だということです。」とジャマル氏は述べる。「水危機のような問題は、私たちの生活のあらゆる部分に影響を及ぼし、私たちの未来のほぼ全ての側面において中核となります。」

「1056%」はアジズ・ジャマル氏による今年作の作品である。(提供あり)

また、特別展の主賓は有名ドイツ人建築家フライ・オットー氏となっている。彼の作品からインスピレーションを受けた、地域のアーティストによる作品(ビデオ、彫刻、インスタレーションなど)も展覧会に見られる。オットー氏は、1970年代と1980年代にサウジアラビアに数多くのプロジェクトを建てた人物である。彼は生物学や芸術の分野を取り入れながら、実験的な建物を作ってきたことで有名である。

「この展覧会は、オットー氏の遺産から発想を得ています。」そうアラブニュースに伝えるのは、学芸員であるエルカリル氏。「これらの作品は、アーティストによる個人的な訴えなのです。今、サウジアラビアは非常に大きな変化を遂げており、数多くのプロジェクトを発表しています。そこで、頑丈な構造物を王国に作り上げてきたことに対する、もう一つの声を発していけたら面白いのではと思いました。」

エルカリル氏は、選定したアーティストらに対して、あるコンセプトについて説明しそれを追求するよう求めた。一つは、バイオミミクリーという、自然からインスピレーションを得ることで、健全な地球や適応性を目指していくものだ。もう一つは、地域レベルで見た特異性のあるアイデアである。

マナル・アルドワヤン氏の作品「Ephemeral Witness」(2020)では、別の緊急問題を取り上げている。それは、サウジアラビア人女性の社会参画による女性の地位の変化についてである。(提供あり)

「I Love You, Urgently」で展示されている作品では、引き続いて起きている環境危機の個人的な性質を映している。アラア・タラブゾウニ氏とファハド・ビン・ナイフ氏は、サウジアラビアのアーティストらである。彼らの「Al-Manakh, You Will Be Missed」(2019)という作品では、1960年代にリヤドのアル・マナフに建設されたヤママーセメント工場の話をインスタレーションという形で紹介している。一日あたりのセメントの18600トンを生産するこの工場は、ほぼ独力で、今の首都の建設需要を担っている。しかし、今では閉鎖の危機に面しており、2人の建築家はこの作品を通して、その消失の影響について考えさせるものとしている。一つは、工場の存在によって引き起こされた地域の生態学的危機について。もう一つは、何世代にもわたって工場で働いていた労働者のコミュニティの行方についてである。

「私はこの作品を通して、環境の成長や劣化に関する法律を変えていくためのきっかけを作りたい」とビン・ナイフ氏はアラブニュースに述べた。「環境問題の解決は急務であり、これは(展示会の)テーマにも関連があります。環境保全について早く、人々の心に訴えかけていかなければいけません。」

マルワ・アルムガイ氏は、リヤドに基点を置くアーティストである。彼の「I Lived Once」(2020)と呼ばれる11分間の長編映像作品では、力強いパフォーマー集団による動きや歌を通し、危険に晒された生物の反射的で無意識な防御メカニズムを彷彿させるようなものとなっている。「共同作業者と共にこの作品を作り上げていく中で、自然環境がどれほど貴重であり、無条件で私たちに与えてくれているかについて、様々な気付きをすることが出来ました」とアルムガイ氏は述べる。「私たちが動きによって自然や環境につながっていると共感できたことに美しさを感じました。」

「I Lived Once」(2020)という11分間の長編映像作品は、リヤドに基点を置くアーティストであるマルワ・アルムガイ氏によるものである。(提供あり)

展示されている他の作品では、王国で起こっている変化の速度について提議している。サウジアラビアのアーティストであるマナル・アルドワヤン氏の作品「Ephemeral Witness」(2020)では、別の緊急問題を取り上げている。それは、サウジアラビア人女性の社会参画による女性の地位の変化についてである。作品は、砂漠のバラを天然シルク、インク、ロープを使って大規模に再現したもので、‘21’39の別の海上であるGold Moor Mallの天井に吊られている。アルドワヤン氏によると、砂漠のバラは魅惑のミステリーを表すものとして描いたとのこと。この作品は、地質学者の間では珍しい結晶を表す「ephemeral witness to time」に対する比喩なのだと述べる。彼女の作品は、その名の通り、王国の急速な発展と環境や女性への影響を表している。アルドワヤン氏は、ここでCommsMEAの2019年の報告書を引用し、サウジアラビアの女性就業率が10年強の間に3%から20%に増加したことを述べた。

この変化により人々の行動や社会の両方に影響が出ている。それに加え、物理的な共有空間の性質をも変えている。私たちが未来の新しい社会に向けて駆け出す時、過去とどのように調和していくべきか?ということを、アルドワヤン氏は問うているように感じる。

同じことは、環境についても言える。「私たちが今直面しているこの緊急事態は、単なる一つの集団で解決できるようなものではありません」と彼女は述べる。「私たちや私たちの未来に差し迫る危機を対処していくためには、アーティストの参加や彼らの活動空間の提供が必要です。」

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