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濱口竜介監督、オスカー受賞に続く最新作

カメラに向かってポーズをとる濱口竜介監督とソングライターの石橋英子氏。(ロイター)
カメラに向かってポーズをとる濱口竜介監督とソングライターの石橋英子氏。(ロイター)
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06 Sep 2023 12:09:25 GMT9
06 Sep 2023 12:09:25 GMT9

ベネチア:日本の映画監督である濱口竜介氏は、アカデミー賞受賞作の『ドライブ・マイ・カー』で歴史に名を刻んだ。次の作品のために、監督は自然の中に引きこもっていた。

4日にベネチア映画祭で『悪は存在しない』がワールドプレミア上映され、都市を拠点とする企業が自然豊かな田舎の村を観光プロジェクトにより脅かす物語は、再び批評家に感銘を与えた。

この映画は、作曲家の石橋英子氏がライブパフォーマンス用に辺境の地の映像を浜口監督に制作依頼したことがきっかけで生まれた。

2022年に日本初のアカデミー賞作品賞にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』をめぐる大騒動の後で、監督にとってはタイミングの良い依頼だった。

監督はベネチアでAFPの取材に応じ、「オスカー受賞後、しばらくは何もしたくなかったが、……これならできると思った」と語った。

「プレッシャーを感じたわけではなく、本当に休息が必要だったんだ!」

抽象的なイメージを撮るだけの資格がないと感じた濱口監督は、物語を書くことにした。

「僕に依頼してきたのなら、僕は自分に忠実であるべきだと考えて、脚本を書いて映画を作り始めた」と監督は述べた。

「僕は都市部にしか住んだことがない」と付け加えた。

「都会の人間なので、都会の人々がこのような自然環境に入るとはどういうことかを語ることができる」

その結果、穏やかなテンポではあるが、最終的には感動的で衝撃的な映画となった。

『ガーディアン』紙はこの映画を、「不気味さとの境界で揺らぐ…謎めいた環境問題の寓話」と評した。

『ハリウッド・リポーター』の批評家は、「じわじわと引き込まれるドラマは独自の催眠的で変化しやすいリズムを構築している」と述べ、奇妙な結末は「不穏な夢と現実の衝突」のようだったと述べた。

物語の結末は、映画祭で多くの人々を困惑させ、濱口監督は自身も困惑していると認めた。

「自分がこういう結末を好きなのかどうか、よく分からない」と述べた。「でも脚本を書くときには、僕にとって退屈なものにはならないよう常に気をつけている」

「この結末は、僕の中で自然に生まれたものだ」と付け加えた。「恐らく言葉にはできないのだが、僕にとってそれが正しいと感じる何かがある」

監督が気に入っているのは、登場人物の複雑さを描いていることだ。

「僕は、いつも人々をこうやって描写する。悪と善の間は、必ずしもはっきりと白と黒に分かれているわけではない」と述べた。

「ひどいことするかもしれないが、その背後に行動や理由がある人々を頻繁に描いていると思う。それは俳優を演出する上でも、本当に重要なことだと思う」

『悪は存在しない』は、9日に決定される最高賞金獅子賞を競う映画23作の1つである。

AFP

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