

ドバイ:日本人アーティスト松田将英氏による超大型絵文字インスタレーション『The Big Flat Now』が、『Global Art Daily』のキュレーションでドバイに登場した。
『The Big Flat Now』は、日本人アーティストによるドバイ最大級のアート・インスタレーションであり、現代アートを楽しむ場所としてショッピングモールの価値を高めるドバイ・フェスティバル・シティ・モールのイニシアチブに沿ったものである。
高さ7メートルの『The Big Flat Now』は巨大な絵文字バルーンである。過去10年間で世界的に最も使用された絵文字であり、2015年にはオックスフォード・ディクショナリーズが選ぶ「今年の言葉」にも選ばれた人気の絵文字「泣き笑いの顔」を3Dで再現している。
松田氏のコンセプトによるこのインスタレーションは、情報やコンテンツが過飽和状態にあり、ソーシャルメディアが瞬時に拡散するこの時代において、絵文字の広範なアクセス可能性を称えるものである。
インスタレーションに付随して、同アーティストがデザインした『The Big Flat Now』の拡張現実(AR)インスタグラム・フィルターが展開されている。観客は作品とインタラクションを行い、自分の顔に「泣き笑い」の絵文字マスクをつけることができる。
この展示でアーティストが目指したのは、インターネットが地球上の何十億人にも導入した匿名性、著作権、意識というテーマを反映することである。日本人インターフェース・デザイナー栗田穣崇氏は、1999年に日本の通信大手NTTドコモの接続サービス「iモード」の機能の一部として176個の絵文字をデザインし、絵文字の誕生に貢献したと言われている。
『The Big Flat Now』をドバイに持ち込むことで、松田氏は絵文字の世界的なインパクトと、絵文字が生み出した新しい非言語的な世界共通語について触れている。
東京を拠点に活動するアーティスト、松田氏は作品について次のように語った。「私の作品は、人間の感情の10年間を祝福している。泣き笑いの絵文字は、正反対の2つの感情を1つにする。私は、2010年以降、最も使用されている絵文字を現代の象徴として祝福したかった」
『グローバル・アート・デイリー』の創設者、ソフィー・マユコ・アルニ氏も次のように語る。「インターネットの台頭により、芸術性と真実性の風景は世界中で大きく変わってきている。『The Big Flat Now』は、UAEの公共スペース、特にショッピングモールにアートを創り出すというアイデアに基づき、バイラルを念頭に置いて設計されている」
アル・フタイム・モールズUAEのジェネラル・マネージャーであるハイサム・ハジャール氏は、「アル・フタイム・モールズは、日常を非日常に変えることを信条としている。ドバイ・フェスティバル・シティ・モールでの松田将英氏の『The Big Flat Now』は、私たちの施設において最高の顧客体験を提供するという、継続的なコミットメントの証である。絵文字という世界共通の言語を取り入れたこのユニークなアート・インスタレーションは、遊び心と喜びを提供し、モールを訪れるすべてのお客様にとって、真に魅惑的な旅に出るような、忘れられないひとときを演出すると確信している」
松田氏は東京を拠点とするポスト・インターネット・アーティストとして知られている。彼の作品は、インスタレーション、彫刻、版画、ビデオを通して、テクノロジー、ソーシャルメディア、セレブリティ経済を中心としたテーマを探求している。2010年にソーシャルメディアの世界でキャリアをスタートさせた後、日本ではツイッターのニュースフィードアカウントを持つ匿名アーティストとして注目を集めた。
2014年にベルリンに拠点を移した後は、コラボレーションイベントやインストラクション、パフォーマンスなどを積極的に行い、ポスト・ソーシャルメディア時代の主体性や作家性を問いかけながら、都市や社会に直接介入することで新たなコミュニティを創造している。
彼は日本のみならず、オーストリア、ドイツ、香港、チェコなど、世界各地で作品を発表している。
彼の代表的な個展には、渋谷パルコ(東京)の「The Laughing Man Store」、EUKARYOTE(東京)の「Extreme Conceptual」、ギャラリーTOH(東京)の「Magic Number」などがある。また、金沢21世紀美術館での「それは知っている:形が精神になるとき」や、熱海のホテルニューアカオでの「ATAMI ART GRANT」などのグループ展にも参加している。
2016年、松田氏は「プリ・アルスエレクトロニカ(Prix Ars Electronica)」で優秀賞を受賞、ISEA香港に選出された。また、ドイツで「A Field Guide to the Snowden Files」、オーストリアで「Cyberarts 2016」などの共著がある。