
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金パーティー収入を巡る事件で、パーティー券販売のノルマ超過分を議員側が派閥に納めず裏金化する「中抜き」の疑いがある金額が、2022年までの5年間で1億円近くに上るとみられることが2日、関係者への取材で分かった。裏金総額は6億円規模に膨らむ可能性がある。
安倍派では、ノルマ超過分の約5億円を議員側にキックバック(還流)し、政治資金収支報告書に記載しなかった疑いもある。東京地検特捜部は、議員側の中抜き分についても派閥の収支報告書に記載する必要があったとみているもようだ。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職によってノルマを設定。それを超えて売った収入を議員側に還流させ、裏金化していたとされる。
還流する方法とは別に、議員側が購入者に送金先として派閥の口座ではなく自身の関連口座に入金させ、ノルマ超過分は派閥に納めず中抜きするケースもあったとみられている。
中抜きにより、収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない18~22年の5年間で、少なくとも十数人が裏金化に関与していた疑いがあり、総額は1億円近くに上るとみられることが新たに判明した。
特捜部は、還流と中抜きの2パターンによる裏金化の詳細について調べを進めている。
時事通信