
ロンドン:産業の脱炭素化に向けた世界の動きが加速している。世界経済フォーラムと米国政府の協働イニシアティブであるファースト・ムーバーズ・コアリション(FMC)は、96の参加企業による120以上のコミットメントを締結したと発表した。
これにより、FMCは新興気候技術の発展に取り組む世界最大の民間セクター団体となり、2030年までにCO2排出をほぼゼロに抑えた商品とサービスの調達を実現するという目標に向け、確固たる意思を表明した。
世界経済フォーラムのボルゲ・ブレンデ総裁は、「ファースト・ムーバーズ・コアリションは、効果的な気候変動対策の推進には民間セクターの協力が不可欠であることを裏づけるものだ」と述べた。
「FMCメンバー企業は、CO2排出量の多い業界やセクターの脱炭素化を進めるのに不可欠な新興技術への投資と技術開発を求める、前例のない要請を表明している」
2050年までに必要な排出削減の半分は、まだ大規模利用が始まっていない技術によって実現しなければならないという事実を念頭に、FMCメンバーは画期的な気候技術を採用し排出量ほぼゼロを実現した商品とサービスの購入を2030年までに達成するという全体目標を掲げる。
このコミットメントは、いずれも排出量の多い業界である7つの重要セクター(アルミニウム、航空、二酸化炭素回収、セメントとコンクリート、海運、鉄鋼、陸運)に関するものだ。
2030年までに、FMCのコミットメントは新興気候技術に推定約160億ドル相当の年間需要をもたらすと予測され、年間3100万トンのCO2排出削減が実現される見込みだ。
ジョン・ケリー米大統領気候特使は、課題に直面するセクターにおけるFMCの取り組みを称賛した。
「ファースト・ムーバーズ・コアリションは、もっとも対策が困難なセクターにおける中核的な動きを推進している」と、ケリー特使は述べた。
「メンバーはコミットメントを支える脱炭素プロジェクトへの投資を通じ、市場の地盤を固めて成長を加速させ、排出量の多いセクターの抜本的な脱炭素化に重要な役割を果たす」
COP26で35社が参加して発足したFMCは現在、メンバーを96社にまで拡大した。最近になって加盟した企業には、カタール航空、ベルックス、コカ・コーラ、GEベルノバなどがある。
各企業のコミットメントに加え、FMCは航空および鉄鋼セクターにおける脱炭素化ブレイクスルー技術の特定と支援を目指す新たなイニシアティブを発表した。また、セメント・コンクリート業界における持続可能な調達ガイドを開発し、製品カテゴリールールと調達部門の重要課題を明確化することも表明した。
昨年12月にドバイで開催されたCOP28において、FMCは食品業界におけるファースト・ムーバーズ・コアリションを設立した。これは、参加企業の持続可能に生産された農業製品の購買力を統合し、持続可能農業の普及、イノベーション、転換のための投資を加速させることを目的としたイニシアティブである。