
ワシントン:日米、オーストラリアなど14カ国が参加する経済圏構想、インド太平洋経済枠組み(IPEF)のサプライチェーン(供給網)分野の協定が24日、発効した。加盟国は、それぞれ重要品目を定め、供給網強化に取り組む。災害などで断絶の危機時には協力し合う体制の構築を進める。供給網に関する初の多国間協定となる。
主導する米国では、11月の大統領選に向けた共和党指名争いでトップを独走するトランプ前大統領が、返り咲いた際には離脱する意向を示しており、先行きに影を落としている。
協定では、3カ国以上が重要と指定した品目に関する行動計画を策定。供給源の多様化や物流上の弱点の強化などを進める。危機時には情報共有し、互いに支援するネットワークをつくる計画だ。関係する労働者の権利保護の仕組みも定めた。
IPEFは、供給網のほか、貿易、クリーン経済、公正な経済の4分野で共通ルールを構築する取り組み。覇権主義的な行動を強める中国への対抗を念頭に、バイデン米大統領が2022年5月に立ち上げを発表した。
昨年11月、供給網協定に正式署名。クリーン経済、公正な経済も実質妥結した。ただ、貿易では、デジタル経済ルールを巡って米国内の意見が割れており、交渉が停滞。全体の合意のめどは立っていない。
時事通信