
日銀は19日、前日に続き金融政策決定会合を開き、大規模金融緩和の一環として実施してきたマイナス金利政策の解除を決めた。2007年2月以来17年ぶりの利上げとなる。会合後に記者会見した植田和男総裁は、緩和的な金融環境が継続するとして、「預金金利や貸出金利が大幅に上昇するとは思っていない」と述べた。
また、長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作(YCC、イールドカーブコントロール)の撤廃も決定。異例の金融緩和の正常化に向け、大きな一歩を踏み出した。
植田総裁は、金融政策の大幅修正の理由として、賃金と物価がともに上昇する「好循環」を確認し、2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現が見通せたと強調した。
マイナス金利は16年2月に導入。金融機関が日銀に預け入れる当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用してきた。今回の修正で、この金利を0.1%に引き上げ、短期金利(無担保コール翌日物レート)を「0~0.1%程度」に誘導する。
YCCは撤廃するが、長期金利の急騰(債券価格の急落)を避けるため、大量の国債買い入れは当面継続。規模は現在と同様の月間6兆円程度とする。ただ、植田総裁は市場が金利水準を決めるとの考えを示し、「将来どこかの時点で買い入れ額を減らしていくことも考えたい」と語った。
時事通信